4月に入ってから建築資材関係が15%以上も値上がりしています。物によっては40%近く値上がりする資材もあると聞いています。
そうなると今後、新築のRC賃貸物件を土地から購入して建築する投資手法は妙味が減ります。現在までに高値が続いている土地価格と、値上がりする建築費のダブルパンチです。
オイラも先月3月末に12階建の新築RCを建築するために決済した土地がありますが、これは建築費が値上がり前の状態で建築会社に資材を抑えてもらっていたため、何とか6.8%くらいの表面利回りを確保しています。
しかし、昨年末から着工していて今年8月末に完成予定の物件では建築費の2%程度を資材値上がり分として差額請求をされています。来年完成の高層の2物件も請負契約通りの金額で竣工できるか分かりません。
細かいところの仕様を下げて擦り合わせして、なんとか予算内で良いものが出来るようにしたいところです。
■ 自己資金回収年数を7年までとする理由
そもそも、新築RCは借入金利分を差し引きして7%程度のイールドギャップがなければ手元にお金が残りません。
単純に利回り6%の新築であれば、金利が1%で借入できたとしても20%の自己資金が必要ですし、それが2%の借入金利に上がると30%の自己資金が必要になります。そうしないと借入金に対しての利回りが7%にはなりません。当然、返済比率があがるので事業としても安定しません。
もっとも借入金利回り7%というのはかなり厳しい状態だと思いますし、返済を安定させるならば新築RCだとしても借入金総額に対する物件の利回りで9%は欲しいところです。( 1億円の借入をするなら家賃年収は900万欲しいということです )
しかし、その為の30%以上の自己資金投入は厳しいものがあります。1億円の物件で3千万円、3億円ならば9千万円も必要となるのですから。そして、投入した30%の自己資金回収には10年くらいの時間がかかることになります。
この10年の自己資金回収期間をどのように考えるかは、人それぞれの投資基準と投資判断になるのでしょうが、オイラの投資基準では自己資金回収年数は基本的に7年までとしています。( 直近の高層案件ではそれ以上かかりそうですが )
なぜに7年ならOKで、10年はダメなのか? その3年の違いは何かと言われると、非常に曖昧なのですが、7年あれば恐らく市況が変わっているだろうし、7年間くらいは何となく自分の姿も想像できる範囲と考えるためです。
10年先はもしかしたら鬼籍に入っているかもしれませんし、自分がどうなるか見渡せないという個人的な感覚があります( 7年先は想像できると書きましたが事実は明日の事さえ不確定なのですが )
それが合理的なのかはまったく分かりませんが、売却する時も同じような基準を持って判断をしています。それは単純に売却時には投下した自己資金を回収した他に7年分のキャッシュフロー合計分が手残りするなら検討するというのと同じ類の感覚です。
その判断は所有している不動産によっても違うものだと思いますから、それが正解だと言うつもりはありません。生活圏、生活環境、年齢、性別などによって、求めるものも答えも違ってきます。
もし、融資を使わず新築RCで利回りが6%のものを現金で購入したとしても、実際の手残りは諸経費を引くと4%あるかないか程度です。それならば上場リートを購入した方がよっぽどマシといえます。
30%の自己資金を投入して、融資を使って購入することにメリットがある場合があるとすれば、収益不動産に実勢流通価格と相続評価額で大きな乖離がある時になります。
いわゆる、相続対策とされる不動産売買のスキームになりますが、収益不動産は取得してから3年事業年度を超過すると相続評価は建物なら簿価から固定資産評価まで下がりますし、土地は簿価から路線価以下に資産圧縮効果があります。
資産家が3億円の資産の相続税をゼロにして次世代に渡すことを計画したとします。自己資金3億円を入れて7億円を借入して収益不動産を取得すると、取得後3年超過した時に30%投入した自己敷金は借入残債と物件の評価減によって相続評価をゼロとすることが( 一時ですが )可能になります。
この方法はどんな物件でも通用するわけではなく、あくまでも首都圏や政令指定都市で不動産が万年、利回りが低くても売買されるエリアなどに限って有効な方法です。タワーマンションもこれに準じた節税として広く知られています。
その目的なら、利回りが6%でも購入対象になる個人や法人があるでしょう。しかし、それはあくまで資産保全や資産評価の圧縮を求めるニーズです。我々のような資金効率を求める投資家に、この考え方は当てはまりません。
投資家ならば自己資金のリターン最大化を求め、自己資金の利回りが高い投資を探さなければなりません。そして、複利で増やすお金の回し方を考えるべきでしょう。
今、オイラには新築RC不動産投資ではなかなかそのチャンスが見えなくなってしまいました。そのチャンスが見えないのであれば、見えるまで投資はお休みになると考えています。ただし、市場を見続けることや、次の歪みがどこにあるかを捕らえる努力は継続します。
株式投資の格言である「 休むも相場 」とは、本来は、「 お金は休ませて投資しないが、相場は見続けること 」という意味があるそうです。オイラも今は、「 休むも不動産投資 」という気持ちです。
■ 若い人なら時間をかけて負けない投資ができる
そんな今の市況でも、若い人なら買った方が良い物件や個人属性によっては買いだと思える物件を稀に見る事もあります。殊に土地値のアパートは立地が良ければいつでも買いだと思います。ただし、利益を出すまで時間はかかりますし、その間のキャッシュフローはあまり見込めません。
ローンと減価償却を使いながら土地の簿価程度まで残債が減れば負けはありません。そうなれば取り壊して新築のアパマンを建てる時に建築費が多少高いとしても、賃貸事業として成り立つ可能性は高いでしょうし、単純に土地として売っても利益は出るでしょう。
以前も書きましたが時間軸を長くとって投資をするならば、不動産投資も株式投資も負ける可能性はかなり低くなります。今オイラが休むのはオイラのポートフォリオが完成しているからで、何もない状態ならばやはり時間軸を長くとって投資をするでしょう。
オイラの最初の不動産投資では自己資金回収に目途が立つまでに13年以上かかりましたが、37歳で初めていたので問題ありませんでした。投資は若い時から早く始めることが肝ですね。