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米銀行の破綻が示すもの。過去の世界の失敗に学ぶ4つの注意点

極東船長さん_画像 極東船長さん 第161話 著者のプロフィールを見る

2023/3/21 掲載

アメリカでシリコンバレーバンクとシグネチャーバンクが破綻したとのニュースが入ってきました。特にシリコンバレーバンクは全米16番目の資産規模で、日本でいうと大手地銀クラスの銀行だそうです。

ここに預金を預けているスタートアップ企業が金融アドバイザーから「 預金を引き出すべき 」と助言されたという話がSNS上に広がり、取り付け騒ぎに発展したようです。預金者からの取り付け騒ぎが起きたことによる資金ショートですので、どこの銀行でも起きえる話です。

債務超過に陥った要因は、銀行が払い出し資金の確保のために所有する債券やMBS証券( 不動産担保証券 )を売却し、損を出したことで株価が暴落。その後の増資もできなくなったことで、流動性資産が足りなくなったためといいます。

シリコンバレーバンクは主に米国債券や不動産担保証券に投資していました。債券は平常時であれば比較的安定している投資先といわれますが、金利が上がると債券価格は下がります。ご存じの通り去年、アメリカでは利上げがありました。

このタイミングで取り付け騒ぎが発生。価格が下がったものを売り流動性資金を確保しようとしたため、損失を計上することになり、株価が80%以上下落、結果的に信用を毀損し、増資もできない状態となって破綻です。

昨年のFRBの利上げスタートから1年ほどで銀行の破綻につながったわけですから、金利というのは恐ろしいものです。

SVBが債券ではなく通常の事業融資を主に行なっていたならば、金利上昇はプラスに作用したはずです。しかし、事業融資の貸出先がなかったのでしょう。短期資金を長期である債券に投下していたのが破綻要因だった、とも報道されていました。

この出来事について、「 海を隔てたアメリカで起こったことで我々には関係ない 」と感じるでしょうか? 私自身の答えは「 NO 」です。借入をしている不動産投資家ですから、他人事とはとても思えません。

■ 人間はいつだって判断を間違える

金利の上昇や下降というのは不動産価格にもっとも影響を与える最大のファクターです。金利が上がれば不動産価格は下がり、金利が下がれば不動産価格が上がるということが、過去に繰り返されています。

金利上昇は金利の安い時に発行された債券価格を暴落させます。債券利回りが上がるため、投資家から見ると相対的に、不動産よりも債券が有利になります。

日米問わず、低金利時代には債券利回りよりも上場REITの方が分配金利回りが高めです。しかし、変動金利での調達の割合が高い場合、金利上昇によって早晩、配当利回りが下がることになります。そうなれば当然、REIT価格も下落するでしょう。

REIT価格が下がるということは回り回って不動産価格も下がるということです。不動産投資家には不動産価格下落と金利上昇のダブルパンチとなります。

アメリカでも金利が上がった現在、下落まで言わずとも、不動産価格には足踏みのバイアスがかかっているでしょう。上がり続けた賃料もそろそろ頭打ちになるはずです。

どんな指数も数値でその方向性が確認された時には既に方向転換がされてから時間が経過しています。不動産価格の指標や数値が下がったと世間に認知され始めた時には、既に転換点を超えてしばらく経過したことになります。

現在の日本は微妙な立ち位置で金融政策を行なっています。いつとは断言できませんが将来的に金利は上がる方向でしょうから、日銀の政策金利には常に注意を払わなければなりませんね。

フルローンで物件を購入していて、借入金利が2%以上も上がるようなことが起きれば、そのまま何もしないでいると返済を滞らせることになってしまいます。

固定金利やキャップ型の変動金利で借りていれば直ちに返済に窮することはないでしょうが、どんな形でも金利上昇はレバレッジ投資家には最大のリスクと言えますし、その弱点を常に自覚して不動産投資をしなければなりません。

もしかしたらこれから10年先まで金利の急上昇は起きずに、オイラの杞憂に終わるかもしれません。そうであればラッキーなことですが、ラッキーなことをただ祈るのは経営自体を何も考えず、リスクになにも手立てを打たないのと同じです。

日本には西側諸国のように金利を上げるだけの政策余力がないと見る向きもあります。しかし、もしも資源のない国の通貨である日本円が暴落すれば、トルコのように金利を上げての通貨の防衛をせざる得ない時代が来るかもしれないと頭の隅に置いておくことは重要です。

歴史や経済を勉強する度に思うのですが、人間はいつも判断を間違えます。

日本のバブル期、大半の人が「 不動産は常に上がり続ける 」と思い込んでいたため、投資家や企業が転換点を見誤りました。ノーベル賞受賞者等の最高の頭脳を集めたアメリカのヘッジファンド、ロングターム・キャピタル・マネジメントも過度のレバレッジが原因で破綻しました。

テック企業であれば全ての起業に薔薇色の未来があると皆が信じた頃に、ITバブルが崩壊しました。サブプライムローンでは複雑な仕組みでリスクを希薄化して見えないようにし、誰もが「 自分は損をしない 」と信じて疑いませんでした。

笑い話のようですが、当時、アメリカでは飼い猫にも住宅ローンがついたといいます。そんな状態の中、リーマンショックが起きました。

常々、オイラは「 自分は間違っているのではないか? 」と自問しますが、その時点では答えは出ません。なぜなら実際に、間違えたことが分かるのは損失を被った後だからです。「 損を出した 」という事実が「 あの判断は間違いだった 」と自分に知らせます(笑)

■ 過去の世界の失敗から学べる事

過去の世界の失敗から学べることがあるとしたら、以下のようなことに注意すべき、ということでしょうか。

@過度なレバレッジを使う投資
A一方通行や狭い方向への投資
B複雑で理解できない投資
C現状が続くと思う感覚と脳の弛緩

自問を続けることが大切です。レバレッジは過度になっていないか? 一つの方向にだけ投資が向いていないか? 自分で理解しているものに投資をしているか? このままの状態が何時迄も続くと思っていないか?

今回のSVB破綻のきっかけも誰かがSNSで呟いたことによるバタフライ・エフェクトとも言えるかもしれません。今回はオイラ自分への戒めとしてコラムを書きました。「 今がうまくいっているからこの先も当然、うまくいく 」とは思わないことです。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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プロフィール

極東船長さん

極東船長さんきょくとうせんちょう

北海道の東の町出身、現在は札幌在住
専業大家

プロフィールの詳細を見る

経歴
  • □1958年、北海道生まれ
    高校卒業後、家業である漁業を継ぎ乗船、24歳から船長になる

    □1993年(35才)
    船の転覆を機に陸の仕事に就く。
    収入が激減し、投資の勉強を開始。

    □1995年(37才)
    1棟目、札幌市内の中古APを購入(1DK×8戸、築5年)⇒売却

    □1998年(40才)
    2棟目、札幌市内の中古APを購入(1K×14戸、築10年)⇒売却

    □2004年(46才)
    3棟目、新築APを札幌市内に建てる(1DK×15戸、土地から取得して新築)⇒売却

    □2005年(47才)
    4棟目、苫小牧市内の中古APを購入(1DK×10戸、築7年)⇒売却
    5棟目、苫小牧市内の中古APを購入(1K2戸×2DK×4戸、築10年)⇒売却

    □2006年(48才)
    6棟目、札幌市内に新築APを建てる(1LDK×8室、新築)

    □2007年(49才)
    7棟目、道東某市内に中古APを購入(1DK×12室、築3年)

    □2007年(49才)
    8棟目、道東某市内に中古APを購入(1DK×20室、築4年)

    他にも都内区分、中国区分、苫小牧の中古AP等、様々な物件の売買を続けながら、徐々に規模を拡大。
    個人で借入3億を目の前にして拡大の壁に当たる

    □2010〜2021年(51〜62才)
    札幌に法人設立し個人物件をほぼ売却し法人として規模拡大

    □2022年(63才)
    所有物件
    木造AP10棟
    低層RCマンション22棟
    高層 RCマンション 4棟
    合計39棟836室

    □2023年9月(65才)
    総投資額130億超
    借入残100億 家賃9.5億 税引前CF3億 元利返済4.7億

    売却済み21棟352室
    売却益10億

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