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沖縄の利回り4%と札幌の利回り7%。空室の多い札幌でも物件不足の沖縄にも、成功大家と失敗大家がいる

極東船長さん_画像 極東船長さん 第82話 著者のプロフィールを見る

2019/8/25 掲載

前回の続きです。今回、宮古島に行く以前から、沖縄の賃貸市場では空室率が非常に低いとことを三浦弘人さんから聞いていました。行ってみると、離島の宮古島は、更に空室など存在しないような既存の大家さんには楽園のような状態でした。

しかし、逆に言えばこれから沖縄や沖縄離島で新たに大家さんとして参入しようした場合には、非常に参入障壁の高い市場だともいえます。

■ 沖縄の利回り4%と、札幌の利回り7%

賃貸住宅を建設できる土地は、沖縄本島では米軍が占拠しているため限定的ですが、宮古島でも同じようにロケーションの良い土地は限られていて、この何年かで海の傍のホテル向きの土地などは高騰して、手に入れるのも大変な状況です。

賃貸住宅用地ですとまだ手に入りますが、建築自体が2年待ちの状況といいます。2年後の賃貸市況の予測は難しいところですし、建築費も東京よりも高いがために、でき上りの物件の表面利回りも低くなります。

三浦さんに教えていただいた沖縄副都心の利回りは、新築賃貸マンションの表面利回りで4%〜5%だそうです。仮に借入をして不動産投資をするとしたら、かなりの比率の自己資金投入が必要になります。

一方で、現在の札幌の新築の建売物件及び企画物の新築賃貸マンションの利回りは7%〜7.5%程度が販売ゾーンですから、一見すると札幌の方が良さそうに見えます。しかし、実際に時間軸を10年間・20年間・30年間で考えてみると、その実態は違ったものになると思われます。

実際のネット収益でみると、10年間の実際の手残りは同じくらいになるかもしれません。さらにこれが20年になると逆転してしまうかもしれません。そして30年後までで見ると更に差は広がっているのかもしれません。



■ 沖縄と札幌で異なるランニングコストと経費率

どういうことかと言えば、単純には賃貸業に関わるランニングコストと経費率が札幌と沖縄では全く違っているからです。札幌では入居から退去のスパンが1DKではおよそ2年間前後というデーターがあります。

退去のたびに現状回復のリフォーム工事を入れた場合、新築から2〜3年後の退去で、1回転目での募集であれば、軽微な美装と修繕で募集ができますが、4〜5年後の2回転目ともなると床材やクロスもそれなりに遣られていて、結構なリフォーム代を要することもあります。

その中にはタバコのヤニで黄色い色と匂いのついたクロスもあるでしょう。現在は東京ルールによって6年経過すると入居者からはほとんど回収できず、場合によっては半年分から1年分くらいの家賃収入相当分をリフォームに導入することになります。

さらに札幌では、入居促進として最低2カ月分の家賃相当を広告費に導入しなれば、仲介業者に案内もされにくいのです。立地やその他条件が悪ければ、更に広告費を上乗せする事が求められますから、募集には非常にコストのかかる都市といえるでしょう。

余談ですが、札幌市は日本の人口平均割合の仲介業者数の3倍にあたる仲介業者が存在するそうで、どうりで札幌にはやたら仲介業者の看板が目に付くわけです。

札幌には他に基幹産業がないために仲介業者が増えたのか、広告費が他の都市よりも多くもらえるから仲介業者が増えたのかは、「 鶏が先か卵が先か 」と同じ類の話だとは思います。ひとついえるのは、莫大な広告費が、日本平均の3倍もの数の仲介業者を食べさせているのでしょう。

一方で、沖縄離島はどうかと言えば仲介業が成り立たないほど案内する空室がないそうです。当然、広告費は皆無で、仲介手数料ですら分かれ折半の土地柄です。加えてランニングコストは札幌とは比べものにならないほど低いところです。

なにせ退去時のリフォーム費用、広告費、空室ロスがないのですから、家賃がそのまま実際の収入になります。表面利回りの数字だけでは低く見えるものの、中身が実際は違ったものがあります。



■ 人の利・地の利

不動産は、利回りが最優先という考え方がある一方で、利回りは大して重要ではないとの考え方もあります。これはどちらかが正解で、どちらかが不正解という事ではなく、どちらも成立する考え方です。

その証拠に、札幌と沖縄のどちらでも不動産賃貸業は成り立ちますし、不動産投資もすることができます。

この二つを比較すると、札幌の不動産投資は参入障壁が低いけれど賃貸経営のコストが高く、沖縄の不動産投資では参入障壁が物凄く高いけれども、賃貸経営のコストは低いとなります。

しかし、両方を比べてどちらなら成功できるというような話でもありません。なぜならオイラには札幌では地の利・人の利があるけれど沖縄にはありません。三浦さんは沖縄で地の利・人の利があったために沖縄で不動産賃貸業を行ったという事でしょう。

■ 離島はニセコになるのか

離島の建築現場を視察して感じたのは、需要が旺盛なのに供給が間に合わない現状です。これがバブルなのかはある程度の時間が過ぎてみなければわかりませんが、ロケーションの良い土地の価格は3年で10倍〜100倍になった所もあると聞きました。

北海道ではニセコがこれで、10年前に土地値が10倍〜100倍になってバブルと言われていましたが、昨年はそれから10年経て、ロケーションの良い場所ではそこから更に10倍も高くなりました。

邱永漢さんが不動産は「 1にロケーション・2もロケーション・3にもロケーション 」と言っていた意味が重みをもちます。ニセコの例でいえば、景観が良いロケーションの宮古島の土地への投資は高騰したといえる今からでも遅くないのかもしれません。

ただし、家賃に関しては、仙台市で震災特需の際に上がった家賃が現在は下がったように、宮古島でも賃貸住宅の建設ラッシュが一段落したら、現在は3倍にもなったという宮古島でも下落する可能性もあるはずです。

そこを俯瞰して見ることが出来て、更に地の利と人の利があれば、投資先として面白い場所だと思います。しかし、そこに地の利・人の利を持たない現状では、オイラには敷居の高い投資先であることは間違いありません。



※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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プロフィール

極東船長さん

極東船長さんきょくとうせんちょう

北海道の東の町出身、現在は札幌在住
専業大家

プロフィールの詳細を見る

経歴
  • □1958年、北海道生まれ
    高校卒業後、家業である漁業を継ぎ乗船、24歳から船長になる

    □1993年(35才)
    船の転覆を機に陸の仕事に就く。
    収入が激減し、投資の勉強を開始。

    □1995年(37才)
    1棟目、札幌市内の中古APを購入(1DK×8戸、築5年)⇒売却

    □1998年(40才)
    2棟目、札幌市内の中古APを購入(1K×14戸、築10年)⇒売却

    □2004年(46才)
    3棟目、新築APを札幌市内に建てる(1DK×15戸、土地から取得して新築)⇒売却

    □2005年(47才)
    4棟目、苫小牧市内の中古APを購入(1DK×10戸、築7年)⇒売却
    5棟目、苫小牧市内の中古APを購入(1K2戸×2DK×4戸、築10年)⇒売却

    □2006年(48才)
    6棟目、札幌市内に新築APを建てる(1LDK×8室、新築)

    □2007年(49才)
    7棟目、道東某市内に中古APを購入(1DK×12室、築3年)

    □2007年(49才)
    8棟目、道東某市内に中古APを購入(1DK×20室、築4年)

    他にも都内区分、中国区分、苫小牧の中古AP等、様々な物件の売買を続けながら、徐々に規模を拡大。
    個人で借入3億を目の前にして拡大の壁に当たる

    □2010〜2021年(51〜62才)
    札幌に法人設立し個人物件をほぼ売却し法人として規模拡大

    □2022年(63才)
    所有物件
    木造AP10棟
    低層RCマンション22棟
    高層 RCマンション 4棟
    合計39棟836室

    □2023年9月(65才)
    総投資額130億超
    借入残100億 家賃9.5億 税引前CF3億 元利返済4.7億

    売却済み21棟352室
    売却益10億

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