前回に引き続き、富山の天才投資家ポールさんと、東京23区内で新築RCマンションを建てている鉄筋たてたろうさんにお話を伺います。東京に新築RC物件を建てたいというポールさんの願いは、果たして叶うのか?



■ 東京に新築RCを建てるために必要な事
ポールさん
僕のように地方に住む人間でも、東京にピカピカの新築RC物件を建てられる可能性はありますか?
鉄筋たてたろうさん
ポールさんの現在の資産規模はどれくらいですか?
ポールさん
新築したアパートが建築中のものも合わせると9棟64室で、他に無借金のボロ物件やアパートが88室あります。家賃年収は空室や工事中のものを除いた現況家賃が5,000万〜6,000万円くらいで、コラムにもたびたび登場している「 無限城 」が埋まればあと1,000万円増えます。満室想定だと8,000万円くらいですね。
現金はウン千万円あって、今、売りに出している物件がいくつかあるので、それが売れればある程度まとまった金額になります。
鉄筋たてたろうさん
なるほど…。ポールさんは富山在住ですので、住民票も富山ですよね。
ポールさん
はい、そうです。やはり、富山に住んで東京に物件を買うというのは、難しいでしょうか?
鉄筋たてたろうさん
今の状況では厳しいと思います。融資を使う場合、富山と東京の両方に支店がある金融機関にお願いする必要があります。東京支店を持つ地方銀行さんは幾つもありますが、東京支店はほとんど個人を相手にしていません。例外として、超大地主の方や元々資産を莫大に持っている人なら可能性はありますが…。
ポールさん
なかなか厳しいのですね。自己資金がたくさんあれば、どうでしょう?
鉄筋たてたろうさん
常識で考えれば難しいと思いますが、ポールさんの場合はその枠にとらわれないでいて欲しいですね。クレイジーマインドがあれば、なんとかなるかもしれません( 笑 )。真面目な話をすると、やはり東京で融資を受けて投資をするのであれば、東京に拠点が必要となります。ポールさんは現在、法人を幾つ所有していますか?
ポールさん
一社です。
鉄筋たてたろうさん
例えば、法人をもう一つ作って東京に拠点を構えるなどの方法が考えられます。不動産の活動は地域密着でやっていると思いますが、それとは別にセミナー活動等で東京に来ることはありますか?
ポールさん
今はコロナの関係で減ってはいますが、コロナ前はよくありました。
鉄筋たてたろうさん
そういった活動の実態と、実際の東京での拠点を併せて伝えていく必要があります。住民票を移すだけでは不十分で、その地域での「 活動実態 」があるかどうかまで見られるんです。
ポールさん
なるほど〜。大変勉強になります。実は僕、ある不動産屋さんに、「 ポールさん、富山で1億円持っていたら、買えない物件なんてないし、車だって何でも買えるよ 」と言われて、それを聞いた瞬間、なんだか富山で投資するのがつまらなく感じてしまったんです( 笑 )。
富山で「 王 」を目指すのもいいんですが( 笑 )、それより都会に物件が欲しい!東京で買えるなら買ってみたい!いう想いが沸き上がっています。ポールが東京で一旗あげれば、後続の若手投資家たちも目指す選択肢が増えると思うんですよね。
鉄筋たてたろうさん
そうでしたか。東京の面白いところは、欲しい物件が次々と出てくるし、すごい人も本当にたくさんいるところです。僕も自分の小ささをしょっちゅう感じさせられます。それにしてもポールさん、富山で1億円作るなんて、すごいですね。
ポールさん
いえ、いま1億円持っているわけではないんです。勝手に持っている気になっているだけです( 笑 )

セミナー中のポールさん
■ 東京の土地はものすごい早さで売れていく
ポールさん
ところで、東京の土地ってどうやって買えばいいんですか?
鉄筋たてたろうさん
不動産会社としては色々な土地の売り方があります。一つは仲介。公開/非公開に限らず、土地の情報を仕入れて買っていただく方に紹介する売り方ですね。不動産会社の利益は通常は3%です。
もう一つは不動産会社が土地を買って、投資家の方に譲るというケースです。この場合、不動産会社は買値と売値の差額が利益となります。実際に東京の収益物件用の土地売買でどちらが多いかといと、後者がほとんどです。
なぜなら、都内の土地はものすごい速さで売れていくからです。いい土地なら、初日に買付が殺到して、その日のうちに売れます。個人投資家の方がプランをはめて、融資付けの結果を待ってというような時間はほとんどの場合、ありません。
ポールさん
すさまじいスピード感ですね。
鉄筋たてたろうさん
いまは投資家のレベルがすごく高いと感じます。僕より土地の見方がうまい人、知識量が半端ではない人が山ほどいます。そういう人が必死に土地を探しているので、良い土地が出ると買い付けが殺到するんですね。もちろん、業者だって同じです。
つまり、普通に仲介で買える土地は、知識がある人達が見送った物件である可能性が高くなります。スピード勝負の仲介の土地を買える知識と資金力を身につけるか、もしくは少し高くなっても、業者が一度購入したものをじっくり検討して選んでいくかのどちらかになります。
■ 土地4,000万円、建物7,500万円の8室物件がミニマムサイズ
ポールさん
東京で新築RCを建てる場合、建築単価の目安はどれくらいですか?
鉄筋たてたろうさん
坪単価で考えるよりも、実際の一部屋をいくらで作れるか考えた方がより正確な数字を出せるので、それで説明しますね。壁式RC造5階建てまでの場合、だいたい20uで一部屋950万円〜1,000万円弱のイメージです。土地込みで一番小さい物件だと、土地4,000万円、建物7,500万円で8室のマンションができます。
ポールさん
あれ? 思ったよりも現実的な価格ですね。僕でも手が届くかも?
鉄筋たてたろうさん
東京の投資家の場合、自己資金2割を出せば融資がおりるというのがだいたいの金融機関の考え方ですが、ポールさんのように遠隔地の場合、もっと自己資金を入れてくれという話になると思います。
例えば自己資金を4割入れられれば、可能性が出てくるかもしれません。このサイズで4割ですと、5,000万円ですね。
ポールさん
自己資金は少なければ少ない方がありがたいんですが…。
鉄筋たてたろうさん
そうですよね。でも、それを実現するためには、まず東京の投資家と同じ土台に立つ必要があります。やはり東京に拠点を作る必要がありますね。
■ 超都心以外の場所で利回り7%を無理なく目指す
ポールさん
都内で新築RCと言えば、過去に僕も対戦させてもらった弁護士の堀鉄平先生がいらっしゃいますよね。堀先生が手掛けられている東京の物件は全国のお金持ちが買っているようなんですが、どういったスキームなんでしょうか?
鉄筋たてたろうさん
おそらくですが、かなり属性の高い人が買っているのだと思います。億単位のお金を大きいと思わない人たちですね。例えば地方の富裕層の方なら、都心の一等地で利回りが5%程度あれば十分で、それを堅い投資と捉える方も多いんです。
僕やポールさんのような、これから資産形成をしていきたい、キャッシュフローを積み上げていきたいという投資家とは異なるスタイルといえますね。
もう一つの違いとしては、富裕層の方たちは、お金だけを出して投資するやり方です。一方で、我々のように頑張って利回りを上げたい投資家は、手間をかけていく必要があります。そうなるとやはり、物件の近くに拠点がないと現実的とはいえません。
ポールさん
地方に住む僕のような人間から見れば、堀先生とたてたろう先生は一見、同じような手法に見えるんですが、実際にはやり方も対象となる投資家も違うんですね。
鉄筋たてたろうさん
そうです。堀先生と僕の手法の大きな違いの一つは立地です。堀先生が港区や渋谷区なら、僕は荒川区や板橋区、江東区という感じです。僕のやり方ですと、ポールさんがイメージするような東京のキラキラした雰囲気とはちょっと違うかもしれません。
ポールさん
なるほど〜。ちなみに、堀先生にライバル意識はありますか?
鉄筋たてたろうさん
全くないわけでもありません( 笑 )。堀先生は新築RCを土地から仕込んで建てるというやり方をさらに突き詰めて、割と尖った提案をされていますよね。超都心部で6%で建てて4%で売る手法で知られますが、これは原価の1.5倍で売れていく計算になります。
上手くいけば、億単位の利益を生むことも可能です。しかし、当たり前ですがそのためには相応の努力が必要です。誰にでもできることではありません。
ポールさん
たてたろう先生、僕、去年、堀先生にリアルに戦いを挑んで負けているんです。ぜひポールの仇を取ってください( 笑 )。

鉄筋たてたろうさん
戦いとかは苦手なんです。ごめんなさい( 笑 )。
編集後記
東京で新築RCを建てるための道のり、なかなか険しそうですね。果たしてポールさんに、秘策はあるのか? 対談の後半戦は明日公開です。お楽しみに。