今回の大家対談は、ポールさんとユーチューバーとして活躍中のタイマンさんにご登場いただきます。築古DIY動画が好評で6万人のチャンネル登録者数を持つタイマンさんは、最近新築を始められたそう。新築の先輩でありインフルエンサーのポールさんからどんなことを学ぶのでしょうか。
■ 自分の力を試したい!何も考えずに会社を辞めて不動産投資の道へ
タイマンさん
はじめまして。タイマンと申します。岡山市在住で、岡山と東京で16棟150室、戸建23戸所有の大家をしております。ボロ物件DIYなどの動画でユーチューバーもやっています。現在法人の家賃年収は4,000万円くらいです。
ポールさん
タイマンTV面白いからよく見ていますよ。僕もYouTubeやっていましたけど、最近お休みしておりまして(笑)。
タイマンさん
最初僕は別にユーチューバーになりたいという気は全くなかったんですよ。ペットの動画とか何てこと無いものをアップロードしていたんです。
あるとき不動産の内見に行って携帯でメモ代わりに録っていたんですが、当時まだ携帯の容量が小さくて、そのまま保存できなかったから、とりあえずYouTubeをストレージ代わりにしてアップしたんです。
そうしたら、いつの間にか知らない人がその動画を見てくれていて。こんなものに需要があるのか!? と当時ビックリしました。最初は再生回数も100回とか200回ですごく喜んでいました。
そこからどんどんアップするようになると、多くの人に見られ始めて。そこからちょっと本格的にやろうと思ってナレーションも入れるようにしました。そうするうちに、ある時『 20万円の家買ってみた 』動画がいきなり200万再生いってバズって。それで一気に登録者が1万人いったんです。
ポールさん
そんなスタートだったんですか。しかもバズって200万再生はすごい!
タイマンさん
そこでこれはちゃんと真面目にやらないとダメなんじゃないか!?という感じになって、そこから今に至る流れになりました。
ポールさん
不動産投資はいつごろから始めたんですか?
タイマンさん
1番最初に買ったのが2007年なんで、ちょうど15年ですね。
ポールさん
それだとふんどし王子と一緒ぐらいかもしれないです。僕は法人8期が終わったところなんで。
タイマンさん
最初オーナーチェンジのボロ戸建を250万円で買いました。売り出しが500万円で、不動産屋に問い合わせたら、安くなると言われて。よく聞いてみると、任意売却の物件で、銀行がOKを出せば下がるということで、500万円から一気に250万円まで下がりました。
それまでは不動産の世界にあまり興味がなかったので、数百万円が半額になる世界に衝撃を受けました。僕は20代の時はサラリーマンをやっていたんですが、本当は起業したかったんです。でも3つほど興した事業はことごとくうまくいきませんでした。
ポールさん
当時サラリーマンの現状には満足しなかったんですか?
タイマンさん
いや、会社は給料もそこそこ良くてボーナスもちゃんと出ていましたし、社内の雰囲気も良くて何も不満はなかったんですよ。でもこのままずっとサラリーマンを続けても先が見えているし、ぬるま湯に浸かって一生が終わるのも違うなと思って。それで29歳の時に何も考えずに辞めたんです。
ポールさん
ええ!それはすごい選択でしたね。
タイマンさん
どこかで自分の力を試したいようなところがあって。上司にも何でこんないい会社辞めるんだ?と言われました。しかも次やることは何も決まってない、無職ですからね。
ポールさん
辞めたときに貯金はあったんですか?
タイマンさん
しばらくは食べていけるぐらいのお金はありました。あと当時は株もやっていて、株で食いつないだこともありました。
ポールさん
僕の場合、遊ぶお金とか、車やスニーカーが欲しいとか、やりたいことがあって仕事の後にバイトをしていた経緯があったんですが、そういうのはなかったんですか?
タイマンさん
なかったんです。単純に自分の実力を試したかったんです(笑)。就職した時点で、ここに10年も勤めないだろうと思ってひとまず就職して、いずれは起業する気だったんです。
ポールさん
僕は逆で、一生児童養護施設で働こうと思っていたんですが、お金がなくて苦しくて不動産投資始めたんですよ。不動産投資家って、そういう人が多いじゃないですか。
一生サラリーマンやろうかな、と思ってやったら、現実との乖離でお金がなくて、なんとかしなくちゃという現状打破で不動産投資を始める人が、僕の周りにはたくさんいます。
タイマンさん
辞めてからもう一度勉強し直して考えようと思って、いろんな本を読みました。『 金持ち父さん貧乏父さん 』も読みました。でもそこですぐ不動産投資を始めたわけではなくて、そういう世界もあるのか、ぐらいにしか思わなかったんですよ。
動き始めたのはその後に金森重樹さんの本を読んでからです。レバレッジをすごく効かせてやられている手法に感化されて、未経験で無職なのに、岡山駅前の1億5,000万円のビルを銀行に持ち込んだんですよ。あまりに無知だからこそできたことですよね(笑)。
金森重樹著『 1年で10億つくる!不動産投資の破壊的成功法 』
ポールさん
いきなりすごい行動力ですね(笑)。銀行の対応はどうだったんですか?
タイマンさん
案の定コテンパンに言われまして、意気消沈しました。そこで視点を変えて、キャッシュで買えるボロ戸建に軽く問い合わせてみたら、先ほどのような展開で買えることになって。
こういう世界もあるのかと驚いて、その2007年のうちに2戸現金で買いました。でも根が小心者なんで、大丈夫かな、騙されているんじゃないかという疑念はまだありました。
150万円で買った2戸目の戸建。積極的にリフォームして再生後の利回りが21%に
その翌年、中古1K8戸の木造アパートを融資を引いて買ったんです。無職でしたが、銀行にキャッシュで買った3つの戸建の実績を見てもらえて。それで不動産を本腰入れてやる覚悟ができました。ポールさんの1棟目はどうだったんですか?
■ ポールさんの新築1棟目、カオスな図面のアパートを作ってしまった!
ポールさん
最初は区分から入りました。僕もお金がなかったんですけど、車を売って貯金を500万円ぐらい作りました。そこで650万円で売りに出ている区分を、350万円で指値して、4LDKの某大学前の物件を買ったという、そこからですね。
タイマンさん
よくその激安の指値が通りましたね。
ポールさん
お金がなくて350万円しか払えないって正直に言ったんです。営業マンがたまたま僕と同世代で、かけあってくれて。おかげで、まさかの半額ぐらいになったのには、ビックリしましたね。
この物件、評価はすごく高かったんです。当時は評価時代で、それを共同担保に入れたことによって、大学前の新築の木造1棟目の資金が出たんです。それで、ポンポンと区分と1棟目新築、行きましたね。
タイマンさん
新築行くのがずいぶん早かったですね。
ポールさん
そうですね、失敗していますけど(笑)。僕にも心の師匠として、吉川英一さんやふんどし王子とかいましたけど、当時始めたばかりでまだ仲良くありませんでした。だから何かあっても誰にも聞けないじゃないですか。クレクレ君みたいに教えてください、とか言えないでしょ。
だから本を見ながらやりましたが、最初からそんな上手くいかないですよね。その物件は1月に完成したんですけど、新築は竣工前に行列ができて、すぐ埋まるものだと思っていたんですよ。でも蓋を開けてみたら全然埋まらなくて。
その物件は大学前エリアにあって、その大学の入試が3月の第1週と第3週が合格発表だったんです。そこの2週にたくさん人が来るんですが、最初それを知らなくて。
いずれ支払いが発生するから、どうなってしまうんだろうと怖くなって、当時サービスが始まったばかりのメルカリやネットオークションを始めました。海外からいろんな物を取り寄せて売りまくりました。
やがて3月末が来た頃には、物販の利益が10〜20万ぐらい取れるようになっていました。そうこうしているうちに全部埋まり、僕はそのエリアの特性を知ったんです。無知でしたが結果オーライでしたね。
おかげで無事メルカリという収入の柱もできたし、新築の収入もできたんです。それが僕の1年目でした。生きた心地しませんでしたけど(笑)。今思えば融資も4,000万円ぐらいなんで、住宅ローンだと思えば正直大したことないんですよね。でも当時は怖かったです。
タイマンさん
その1棟目はどんなアパートだったんですか?
ポールさん
1部屋25〜30平米ぐらいの、狭い部屋のアパートです。対面キッチンとサンルームが人気らしいと聞いていたので、それをつけようと思って全部、取り入れました。ただ、それがよくなかったです。
8畳の真ん中にキッチンがあって、サンルームも1.5畳くらいあって、巨大なウォークインがその奥にあって、何でこうしたの? って感じのカオスな間取りになってしまったんですが、素人なので気づかなかったんですよ。
完成した頃にはふんどし王子とも仲良くなっていたので見に来てもらったんですが、そこで初めてその間取りのおかしさに気づいたんです。「 これどこで寝るの? ウォークインがめっちゃ大きいからそこで寝る? ドラえもんスタイルやな! 」って言われて(笑)。
タイマンさん
それは設計会社が最初にプランを出してきたけど、それをポールさんがカスタムしたのでおかしくなったということですか?
ポールさん
まぁ、そうですね。設計会社はオーナーの注文通り言われた物を作るのが仕事ですよね。そこをあまりわかってなかったんです。
今だと洗練された設計会社が多いから、タイマンさんが言うような進め方もあると思いますが、当時の工務店は最初に設計図を出されて、僕がバーッと言った意見を、全部詰め込んでおきますからという感じで進むんです。
でも平面図を見ても、素人だと建ち上がりが想像できない。言ったことは全部入っているんだけど、動線も一切無視だし、扉ばかりで壁がない図面になってテレビを置く場所もないし。そういうことを、図面だけ見てもわからなかったんですよ。
タイマンさん
その工務店さんってどういう業者なんですか?
ポールさん
僕の家に最も近い工務店で、自分で開拓しました。窓口はおじいさんでメモも取らないので、ノウハウの蓄積もそんなにない。その会社で何棟も作っていますが、それじゃ困るから、僕の物件だけはポールプランとして絶対記録に残してくれと言って、ファイリングしています。
タイマンさん
何棟くらい建てて満足いくポールプランができたんですか?
ポールさん
10棟目ぐらいで完成されましたね。ふんどし王子に「 ポールも10棟建ててやっといいもの作れるようになったね 」と言われました。だから納得いくまで4億円かかっていると思います(笑)。
タイマンさん
ふん様が上から目線でおっしゃっているところに愛を感じます(笑)。
ポールさん
ふんどし王子はもう洗練されていますから(笑)。洗練された投資家に褒められてなんぼみたいな部分がありますからね。タイマンさんもそういう失敗、あるんじゃないですか?
■ 中古から新築へ!タイマンさんの大きなターニングポイント
タイマンさん
僕は最近まで新築をやったことがなくて、最初に中古のうまみを知りましたからね。今回計算したら、今までの全物件の平均利回りが13%だったんです。30%超えるやつもありまして、5年や10年ローンで組んで短期返済するような形でやっていたんです。だからそこまで借金して新築をやらなくてもいいかな、という考え方でした。
今では資金を借りて新築をやる、短期拡大の為の重要さはすごくわかるんですけど、当時まわりに誰もいなくて。一人でやっていたからこれはいけると勝手に自分で思い込んでいた部分があるんです。だから利回りが出る中古のRCばかり買っていました。
ポールさん
でもトータルで見たら成功しているんじゃないですか? YouTubeを見ると中には結構失敗とか怖い経験もあるようですけど、結果的に投資としては回っていますよね。
タイマンさん
そうですね、借り入れの割には利益が出る、筋肉質な投資にはなっていると思います。でもこの借金を返したらもうやめようと思っていた時期もあったんです。十分これで利益が出ているし、これで生活できるんですけど、そういうタイミングに限ってすごい投資家の人に会って、刺激を受けて考え直すんです。
ポールさん
特に大きな出会いのポイントは誰でしたか?
タイマンさん
それこそ某不動産塾に入ったのもそうですね。それまでは東京で新築なんて自分には絶対無理だと思っていたので。もちろんその前に塾の先生のスタイルも見ていたし、気にはなっていたので調べていましたが。
でもたまたま東京にいるときにセミナーがあったので、ちょっと何かの運命かなと思ったんですよ。で、僕は興味持ったらすぐ行動してしまうタイプなので、すぐその塾に入ることにしたんです。
( 編集後記 )
サラリーマンを辞めると決めたらスパッと辞めたタイマンさんの思い切りの良さに驚きました。そして今はたくさんの新築を手がけているポールさんも最初は失敗の連続だったんですね。次回はそれぞれの地元の不動産事情などを伺ってまいります、お楽しみに!( 担当:T )