ポールさんとタイマンさんによる対談の第2回目です。それまでは東京で新築なんて絶対無理だと思っていたタイマンさん。たまたま東京で気になっていた某不動産塾のセミナーがあることを知り、入塾に向けて動きます。
■ 人口が増え続ける岡山市。タイマンさんから見た岡山の新築事情
ポールさん
タイマンさんが入られた塾には面談があるんでしょう?
タイマンさん
そうですね。最初はセミナーに行かないといけないので、先生にすぐツイッターで入塾希望のDMをしました。まずはセミナーに行って、その後面談して入塾という流れです。ちなみに塾は毎月あって、その後に懇親会があるんですけど、それがすごく充実していて楽しいんですよ。
ポールさん
タイマンさんはその塾のために毎月東京に来ているんですか?
タイマンさん
そうなんです。その懇親会には、ある程度事業でも成功して、ひと財産を作っている方がたくさんいらっしゃいます。不動産は初めてで右も左も分からないけれど、財産を運用したいというような方が結構いらして。とても新鮮で、いろんな話を聞いて情報交換ができることが刺激的で楽しいんです。
洗練された方々と会うことによって、自分をより高められるということがあると聞きますが、まさにこれだなという感じです。
ポールさん
ところで岡山と富山の違いみたいなところはありますか?
タイマンさん
岡山は土地が高いのに家賃が安い部分があって、富山はその逆だと思いました。そこがもう決定的に違いますね。建築費はそんなに変わらないんですが。厳しい状況ですが現在岡山で1棟新築をやっているところで、自分がもともと持っていたボロアパートを解体した土地に新しく建てています。
ポールさん
土地は自分で持っていて上物だけの利回りですか、地主スタイルですね!
タイマンさん
そこから一応勉強して、いろんな土地を見つけては、工務店にボリューム入れてもらっているんですが、やっぱり利回りが全然出なくて。
ポールさん
岡山で土地から買ったら何%ですか?
タイマンさん
木造の1LDKで6%ですね。1Kだともうちょっと出るんですけど、1Kはちょっと供給過多で。それでも1Kの新築がバンバン建っているんです、今でも。大丈夫なのかなと思うくらい建っていて。
自分で築古1Kも持っていて客付けもしているから、その厳しさはもう肌で分かっているんですよね。工務店も利回りがいい1Kのプランを出してくるんですよ。でも長期的に保有を考えた場合に、ちょっと1Kはきついと思って1LDKで見積り取ると、やっぱりどうしても利回りが6%台になってしまいます。
ポールさん
それだと手残りがないですもんね。全部返済したらおしまいで、しかも残った土地も岡山の土地ですしね。
タイマンさん
そうですね。東京でやっているとよく分かるんですが、同じ6%でも東京は価値が下がらないじゃないですか。むしろ、上がる。岡山だと確実に価値が下がるのが目に見えているんで、新築を建てても何年後かには安くなっています。
ポールさん
じゃ、今後の戦略としては、地元では中古か、よっぽどいい土地が安く買えた時の新築?
タイマンさん
考えどころですね。新築の値段が上がっているから、中古もつられて上がっているじゃないですか。富山ってその辺いかがですか?
ポールさん
そう、中古もめちゃくちゃ上がっていますね。多分建築費が上がっているから、中古もつられて上がっているんだと思います。それで売れていくんですよね。
タイマンさん
やっぱりそうですよね。いい物件はすぐ売れますよね。岡山でもこんなのを買うか? みたいなやつでも売れるんですよ。営業マンの話を聞くと、新築は属性のいい人は利回り5%台でも、サブリースがついていると融資がすぐつくから、利回りが低くても買うというような話を聞きますね。
ポールさん
富山でも銀行の方からサブリースをつけてくれれば満額で出るというような話をよく聞きますよ。
タイマンさん
でも5%台でサブリースって、相続目的として買っているんでしょうかねえ。やる意味がちょっとわからないような。
ポールさん
富山だったら、儲かっている会社の社長か医者か地主が、ハウスメーカーの値段や利回りよりも高ければ買うような感じですね。ハウスメーカーが3%〜5%だから、築浅だったら7%〜9%で買っていきますね。
タイマンさん
それ、自分で新築を作れる人なら、独り勝ちじゃないですか?
ポールさん
そうですね。だから、僕は富山で一人勝ち!(笑)ってのは言い過ぎですが。でも結局一人デベロッパーみたいになっています。
タイマンさん
岡山にも投資家が結構いて、いいものはすぐ売れてしまうので、結構厳しいです。
タイマンさんが2020年に購入した全空RC。再生後の利回りは16%
ポールさん
人が多いですもんね!岡山はたくさん人が歩いているし、僕から見たら町も都会に見えますよ。
タイマンさん
え、富山に比べてそう見えます?あまりそういう意識はないですが、人口も岡山市中心部に関しては増加傾向にあるみたいです。
2021年岡山市調べ
ポールさん
ほとんどの県で減っている中で、岡山市で人が増えているのはどうしてなんでしょうね。
タイマンさん
地震とか原発の災害がないこともあるかもしれないですね。あと岡山って、四国方面とか関西方面の交通上のハブみたいな感じなので物流倉庫が多いんです。交通の環境がいいのかもしれません。
ポールさん
だからこそ土地もそこまで下がらなくて、高いままだから、利回りが合わないっていうのもあるんでしょうね。
■ ライバルはハウスメーカー。ポールさんは富山でどんなところを買っているのか?
タイマンさん
富山の将来性については、いかがですか?
ポールさん
僕は場所を選んで買っています。中古も新築もガチの駅前しかもう買いませんし、土地が高くても買っていますね。相場は富山駅前徒歩10分圏内で50万ぐらいです。
富山にはコンパクトシティ構想っていうのがあって、行政のからみになるんですけど、基本的にコンパクトシティ構想は車なしの社会を実現しましょうというものなんです。
だから車通勤も禁止だし、富山ではタワマンがそのエリアにしかないんです。だからそこに路面電車が発達するんですよ。会社は車通勤禁止だから、電車の駅近に住みたいという都会的な需要になるんです。駅の近くじゃないと雨と雪がひどい町なんで、そこの近くの徒歩5分圏内だと非常にいいエリアになります。
タイマンさん
そういう良い土地なら、みんな競合するんじゃないですか?
ポールさん
サイズがハウスメーカーとも競合するんですけど、ハウスメーカーはめちゃくちゃでかい土地を欲しがるんですよ。300坪とかで同じ敷地内に駐車場込みで大きなものを作るんです。
僕が買うのは80坪から100坪ぐらいの規模です。それぐらいだと、本来は2つに分けてハウスメーカーで家を売る感じになりますから、競合は彼らのような個人投資家ではない人ですね。融資もつきにくいというのがあるので、個人ではあまり買えないんですよね。
タイマンさん
ポールさんはどうして融資がつくんですか?やっぱり決算書が良いんですか?
ポールさん
そうですね。決算書はすごく良い感じに仕上がっています。売上の伸び率も良くて。
タイマンさん
でも別に良い決算書を作ろうと思って不動産投資をやってきたわけじゃないですよね。ポールさんは遊ぶお金がほしいから一生懸命不動産をやってきた感じですか?
ポールさん
全力で走り抜けて、振り向いたら道ができていた、みたいな感じですね。好きなことやっただけなんですけど(笑)。
タイマンさん
今振り返れば結果的にこれが良かったということ、何かありますか?
ポールさん
やっぱりその時代の流れに合った投資法をうまくやってきたっていうことですね。
■ なぜ融資がついている? 法人は赤字だが個人でほぼ借入れなし!
タイマンさん
そうですよね。僕もちょうどアベノミクスの時にちょうどその流れに乗れたんで、フルローン、オーバーローンの融資が出て、銀行がやりたいって言ってきてくれた時代でした。
時代が違っていたら多分ここまでできていないと思います。今だと、2割自己資金入れろって最初に言われてしまうじゃないですか。始めたばかりの時期に1億円の物件の2割て言われたらもう無理ですよね。
ポールさん
タイマンさんは今どのくらいの借金があるんですか?
タイマンさん
東京プロジェクトの2.5億円込みで、今4.5億円です。元々高利回りを短期間のローンで返済していくっていうスタイルでやってきたんです。だからいくつも返済が終わっている物件があります。個人と法人で不動産投資やっていますが、個人の方はもう借り入れは1,000万円もありません。
だから個人の家賃収入だけで生活していけるんです。法人は1円も自分のために使っていません。ひたすらどれだけ増やせるかのゲーム的な感覚で、法人を育てている感じです。
役員報酬もとっていないので全部内部留保ですが、全部先行投資にしているのでずっと赤字できています。中古で減価償却が5〜6年と短いのを、バンバン融資を引いて買ってきたので。でもそろそろ、今年か来年ぐらいには償却がなくなって、そこから結構課税されていくことになりそうです。
ポールさん
そんなに短期で組んで、キャッシュフローもそんなに出ない状態でも融資がつき続けたのがすごいですよね。
タイマンさん
個人の方は、ほぼ借入れがありませんから。個人で保証人になるから合算で見てくれました。新規の銀行で、最初法人の決算書だけ持っていくと結構な塩対応でした。その後個人の決算書を見せると急に態度が変わって。他の銀行からも借入れているから、他行が何で貸しているのかなと思われていたようです。個人のエビデンスを出すと、納得して貸してくれました。
■ コミュニティのおかげで借金は怖くないと考えが180度切り替わった
ポールさん そうすると、もうお金のためには働かない感じですよね。
タイマンさん
そうですね。現在東京でやっているのは、やりがいの為です。実は個人で一度、もうこれでいいやと思ってやめようと思った時期もありました。不動産はこれでもういいので、何か別のことを集中してやろうかなと。でも法人をスタートさせたら、法人での目標が増えて頑張っていたら、今では個人を上回りました。
ポールさん
いや〜、とにかく借金少なくて羨ましいです(笑)。
タイマンさん
でも、今は180度考え方が変わりました。結局、借金と言っても、実質的には売却時に返ってくるじゃないですか。返済が進むと含み益が増えて、それは貯金のようなもので。
なおかつキャッシュフローもあって、売却時にさらにキャピタルゲインを上乗せして返ってくるみたいなイメージだから、なんかこれは全く借金ではないという感じがしています。
ポールさん
最初に融資を短く組んでいたのは、借金はできるだけしない方がいいっていう考えからですか?
タイマンさん
そうですね。加えて、さっさと借金を終わらせて、全てから解放されて自由に生きたいという思いもありました。
ポールさん
じゃ法人を立てて考えが切り替わったっていうのは、自分のお金の流れを見て、だんだん考えが変わってきたんですか?
タイマンさん
大家の会のようなコミュニティで知り合った、洗練された大家さんの投資スタイルを見て、すごく刺激を受けたことが理由としてあります。一人でやっていたら多分変わってないと思うので、コミュニティの重要性はすごく感じました。彼らがガンガン買っている姿を見て刺激を受けて考え方が変わりました。
最初は一人で始めたのもあって誰も周りにいなかったから、すごく慎重な考えでした。沢山借り入れをしたら怖いという思いもあって。当時銀行が貸すと言って持ってきてくれる物件もたくさんあったのですが、怖くて全然買わなかったんですよ。余計な借金を増やしたくなくて。後から思えばそういうのを全部買っておけばよかったと思いましたが(笑)。仕方ないですよね。
(編集後記)
今回はお二人から見た富山と岡山の不動産事情の違いを教えていただきました。次回はお二人が体験した不動産市況について伺ってまいります。お楽しみに!(担当:T)