• 収益物件掲載募集
  • 不動産投資セミナー掲載募集
  • 収益物件 売却査定

42,756アクセス

フルローン・低金利時代は終焉へ。「頭金3割」が求められる近未来に起こること。

大家対談/川村龍平×岡元公夫さん_画像


今回の対談のテーマは、投資家なら誰もが気になる融資動向。登場いただくのは、元金融機関勤務で現在は不動産投資家である岡元公夫さんと川村龍平さんのお二人です。

過去には金融機関の内側から不動産投資業界を見続け、現在も銀行マンたちとの交流から最新の情報を得ているというお二人は、昨今の状況の変化をどう見るのか? 全4回の初回です。




「 頭金が3割必要 」になっても、以前の状態に戻るだけ

岡元公夫さん
このところ、不動産投資をとりまく環境に変化が見られます。昨年より融資が引き締め傾向にあるといわれ、健美家の調査では、下がり続けていた利回りが4月に入って上昇に転じたそうです。川村さんは、この動向が不動産投資家にどんな影響を与えると考えますか?

川村龍平さん
最近までフルローンを出していた銀行のバンカーが、「 今後は頭金3割が必要になる 」と話していました。ただ、環境に変化がみられるといっても、何かが後退するわけではなくて、融資がじゃぶじゃぶだった時代から、以前の状態に戻ると捉えるのが正確だと思います。

下がっていたハードルが元に戻ると、入る人が減るだけでなく、出口がなくなるため、退場する人も増えます。これから何年かで、市場のサラリーマン投資家は半減するのではないでしょうか。

岡元公夫さん
厳しくなるのではなく、元に戻るという考えは同感です。最近、不動産投資を始めた方は、サラリーマンにフルローンがつく状況を普通と思っているかもしれませんが、私や川村さんのように、平成初期からこの業界にいる人間から見たら、ここ数年が特別という印象でした。

川村龍平さん
銀行はもともと、地主にしかアパート用の資金を出していませんでした。それが2000年以降、メインの融資先であった大手企業が自社で債券を出して資金を調達するようになり、お金の貸先がなくなったため、一部の金融機関がサラリーマン大家に貸し出しを始めたわけです。

そこにアベノミクスによる金融緩和と低金利が加わり、ここ数年はサラリーマン投資家にとって借りやすい状況が揃っていました。ただ、この時代のサラリーマン大家がラッキーだったかというと、私はそうは思いません。

「 買わない方がいい物件 」を買えてしまった人たち

岡元公夫さん
それは、買わない方がいいような物件も買えてしまったからですか?

川村龍平さん
そうです。フルローンで物件を買った人たちの中には、低利回りの物件に低金利で長期の融資を引くことでキャッシュフローを出せているだけで、税引き後は全然お金が残っていないという人が多くいます。

ここ数年は、セミナーや書籍でも、「 自己資金ゼロで買えた 」とか、「 たった何年で資産何億円 」といったテーマが増えていましたが、家賃収入は公開しても、手残りや純資産をは言わない人が多いのは、そのためでしょう。



建物を買ったら20年、30年と維持をして、運営していくのが本来の賃貸経営です。今の人はダメなら売ればいいと思っていますが、相場が下落するこれからの局面ではそれができなくなる。この先、持ち続けられなくなる人も増えるはずです。

少なくともこれからは、30年のローンを組むなら、30年分の税引き後経費控除後キャッシュフロー分析まで行って、厳しく検討する必要があります。金利についても2%、3%、現状から上がる想定でシミュレーションをするべきです。

岡元公夫さん
金利が上がる話をしても、多くの人はピンと来ないようです。私が入行した平成2年は、金利が8%でした。それでもみんな、借りていましたし、返していました。

川村龍平さん
我々にはその記憶があるので、今の低金利が当たり前ではないとわかりますが、投資家の多くは、違います。上がらないことがイメージできないし、したくもないのでしょう。

金利の急上昇は現実味が薄いが、リスクヘッジは必要

岡元公夫さん
ただ、私は今の世界情勢から見て、金利の急上昇は現実味が薄いと思います。長期金利は上がるかもしれませんが、短期金利はそこまでは動かないかな、と。

とはいえ、金利の予想は難しいものですから、楽観視は危険。上がり始めてから手を打つことはできないので、今のうちに半分を固定金利にしておくなどのヘッジは必要かもしれませんね。


平成初期の金利は8%、現在の低金利は「特別」といえる

川村龍平さん
量の問題もあります。頭金を入れない場合、「 資産=負債 」です。そういう状態で35年のローンを引いた人は、10年後に金利が上がれば儲けはパー。それで済めばまだよい方で、持ち出しになる人も出るはずです。その時、借りている金額が大きいほど、ダメージも膨らみます。

岡元公夫さん
期間を延ばすことでキャッシュフローを出している人は、なかなか残債が減りませんからね。一方で、建物は古くなるほど、賃料が下がり、修繕費などの経費が上がる。

簡易的な計算ですが、フルローンなら表面利回り12%はないと最後まで黒字にはなりません。それ以下だと、途中でデッドクロスが来て、赤字が発生します。

川村龍平さん
それを知って買っているのか、ということです。私は税務、財務、キャッシュフロー分析の知識がない人は、不動産を買ってはいけないと思っています。数字がわからない状態で始めるから、儲からない物件を買ってしまう。書籍や投資スクールなど、勉強する方法はいくらでもあります。

ストロー現象で地方の人口が都会に吸い上げられる

川村龍平さん
ただ、全国で一斉に状況が変わるかというと、そうとはいえません。
@人口減で不動産賃貸業が構造不況業種になる、A日本人の給与が下がっている、B新築物件がどんどん供給されている、C地方の人が田舎の広い土地を売って都内に資産を買っている。

これらの背景を考えると、地方から首都圏へと、徐々に厳しさが増してくるはずです。

岡元公夫さん
ストロー現象ですね。東京23区は新築プレミアが減っているとはいえ、まだ満室経営は成り立ちます。それは、埼玉、千葉、神奈川などの周辺の人たちが都内に集まってきているからです。



川村龍平さん
昔は柏や木更津は通勤圏でしたが、今の人はそこまで遠い距離は通いません。都内の家賃が下がっており、初期費用も軽くなったため、昔と比べると気軽に引っ越してきます。

岡元公夫さん
賃貸だけでなく、都内に家を持つ人も増えていますね。60坪の土地に建っていた一戸建てが壊されれば、そこに20坪の家が3軒建ちます。中央区、江東区、港区ではタワマンが増えて、学校が不足しているとニュースになっています。都内に人が集中しているんです。

川村龍平さん
本当ですね。ただし、東京でもエリアによって差はあります。特に人気が高いのは、山手線の下側。ここ数年、地方の地主が田舎の1,000坪を売って都会の30坪を買うという動きが活発ですが、彼らが狙うのもこのあたりです。



ただ、このエリアでも家賃は下がっています。私は世田谷区三宿に物件を持っているんです。三宿は昔から若い人たちの憧れの場所で、ワンルームでも10万円はしました。でも、今は安いところは6万円くらいで住めてしまいます。

岡元公夫さん
三宿の最寄り駅は三軒茶屋ですので、田園都市線ですよね。人気エリアとはいっても、やはり山手線沿線とは事情が違うのでしょう。世田谷は土地が広く、新しい物件も建ちやすいので、古い物件、駅から遠い物件から安くなっていく。

意外かもしれませんが、山手線の上の方は30年前から家賃は変わっていないんですよ。家賃自体は城西地区よりは安いものの、昔より賃料が上がっているところもあるくらいです。

川村龍平さん
山手線は昔から東京の中心部を走る路線ですし、企業もたくさんあるので強いですね。そこにつながる私鉄の沿線で家賃が下がっているということは、どんどん都心が小さくなっているということでしょう。

リニアモーターカーの完成で名古屋支社が消える可能性

岡元公夫さん
名古屋、大阪、福岡でも同じように、中心部から離れたところの賃貸需要が低下しています。それだけでなく、リニアモーターカーができれば、地方都市そのものの存在意義が問われることになります。

川村龍平さん
同感です。最近も名古屋で何回か講演をしていますが、その際に、「 リニアモーターカーの駅が完成したらどうなると思いますか? 」 と質問されたときは、「 きつくなります 」と答えています。

東京から40分で名古屋まで行けるようになったら、普通に通えるので、転勤で引っ越してくる人は減るでしょう。名古屋支社自体がいらなくなるかもしれません。


編集後記
「これからは頭金3割が必要」という川村さんの言葉で口火を切った本対談。金利の動向やストロー現象など、見逃せない話題が続きましたね。明日の次回は、融資の引き締めで影響を受ける人々、悪質な業者や大家をカモにするコンサルタントなどが誕生した理由、大家の会の活用法などを紹介します。お楽しみに。

健美家サイト会員登録で最新コラムやニュースをチェック!

健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 川村龍平(かわむら りょうへい)さん

川村さん

不動産賃貸業(家主業)
東京築古組代表理事
東京都在住

■ 経歴

□1987年
横浜国立大学経済学部卒業
第一勧業銀行入行

□1994年
第一勧業証券 市場営業本部 債券営業部に出向
債券トレーダーとして主に地方の機関投資家を担当、先物・国債・オプション・政地債を商い、売買高及び取引先数を四倍に拡大する

□2001年
モルガン・スタンレー証券入社
債券トレーダーとして機関投資家向けビジネスを行う

□2002年
渋谷に一棟ビルを購入し、サラリーマン大家となる
U
東京23区内を中心にビル、アパート、駐車場、バイク駐車場、ワンルーム等、約100戸を購入
U
□2005年
家賃が6,000万円になったのを機に専業大家となる
サラリーマン時代も現在も一貫して自主管理を行う

□2018年
現在の投資による収入は約1.2億円
不動産収入(100室で6,000万円)、太陽光発電(1メガで4,000万円)、金融資産の運用(2,000万円)

□2020年
全てのローンが完済する予定



■ 岡元公夫(おかもときみお)さん

岡元さん

亡き父と2代続けての元メガバンカー
実家は祖父の代からの小規模ながらの大家さん
東京築古組理事
東京都在住

■ 経歴

□1990年
学習院大学法学部卒業

三井住友銀行入行
銀行員時代は、東証一部上場の大手不動産会社から 個人の大家さんまで、融資主体に幅広く担当

□2004年
実家の跡を継ぎ、東京城北エリアでマンション・アパート・戸建を取得開始

□2008年2月
不動産賃貸業の修行の為、不動産開発・運営会社に転職し、プロパティマネジメントの責任者となる

□2009年10月
不動産収入が年間6,000万円ほどになり、デッドクロスもクリアできる目途がついたことから、サラリーマンを卒業

□2011年
東京エステートバンク株式会社(東京房屋R)を設立
国内・台湾・中国の投資家・会社経営者の方にコンサルティングを行っている

□2018年
東京23区内に、マンション、アパート、猫の飼えるシェアハウス、築古戸建、区分マンション、バイクガレージ等、様々な物件を所有。
家賃年収は約8,000万円

■ 著書

岡元さん1冊目
元手100万円から! 気軽で手ごろなマンション投資で年800万円稼ぐ方法(明日香出版社)

岡元さん2冊目
はじめての不動産投資1年生 儲かるしくみと損する理由(わけ)がわかる本 (アスカビジネス)


ページの
トップへ