第三回のテーマは、日本人学校、インターナショナルスクールと、種類こそ違えど同じマレーシアでお子さんが教育を受けているお二人に、その理由や満足度等を伺います。その他、現地での生活費など、気になるコスト面について詳しく教えていただきました。
■ 初のマレーシア視察の数カ月後に移住
張田ミツルさん
塾長はお子さん二人をマレーシアのインターナショナルスクールに留学させているそうですね。きっかけはなんですか?
江古田島平八さん
私自身は英語を喋れないのですが、同年代で稼いでいる人はだいたい外資系企業で働いたりしていますよね。個々人の能力以前の問題で英語が喋れないとそういう仕事すらさせてもらえないこともあります。
私はそうなってしまいましたが、子ども達には英語を身に着けてほしいと漠然と思っていました。しかし、日本のインターナショナルスクールは学費が非常に高く、一人あたり数百万円かかります。
張田ミツルさん
そうそう、日本のインターに通わせるとなると学費はかなり高額になりますよね。
江古田島平八さん
はい、そこで、海外で学ばせることに興味があったんですが、私自身は新婚旅行のハワイとその他にも数回海外に行ったことがある程度で、情報も持っていませんでした。
きっかけになったのは、友人の大河内薫税理士と飲んでいる時に、「 最近マレーシアの人で知り合いになった人がいて、マレーシアの富裕層向けに税務業務をやったら面白そうなんですよ 」というような話を聞いたことです。
そこで、「 面白そう。自分もマレーシアに行きたい! 」と言うと、その場で彼がマレーシアの知り合いにコンタクトを取ってくれて、飛行機のチケットまで予約してくれたんですよ。それで、家族も連れてマレーシアに行ったんです。
張田ミツルさん
おお、すごい行動力ですね!
江古田島平八さん
最初はすぐにどうこうする気はなかったのですが、マレーシアでお会いした人が移住や留学のコンサルもやっていたので、現地のインターナショナルスクールを何校か見せてもらいました。
一目で「 通わせたい! 」と思いました。学費も現実的なレベルでした。「 どうする? マレーシアにくる? 」と妻と子どもに聞いたら「 行きたい! 」と言うのですぐに準備を始め、その数か月後には母子で移住しました。私は当時、会社員だったので、「 時々遊びに行くね 」という感じでした。
張田ミツルさん
すごいスピード感ですね( 笑 )。まあでも、何か決断する時ってそのくらいのスピード感ですよね。私もそうでした。
江古田島平八さん
要は、できるかできないかじゃなくて、やるかやらないかということなんですよね。物事を進めようとすると、お金の問題に行きつきますが、そこは家賃収入がありますからね。私は当時、家賃で得たお金の使い方を模索していたところで、ちょうどそこに留学が合致した感じでした。
稼いだお金でまた不動産を買ったって、資産は増えるけれど、生活は何も変わりません。それどころか、買うたびに頭金を使って現金が減るじゃないですか。私はもっと有意義な使い方をしたいと思っていたんです。
■ マレーシアに移住を決めた理由
張田ミツルさん
分かります。不動産に集中すると貯金は減る一方ですよね。マレーシア以外の選択肢はありましたか?
江古田島平八さん
そもそも海外に行った経験がほとんどないので、なかったです。ただ、その時に調べた情報では、英語と中国語の両方を学ぶには台湾かマレーシアが良いと。私は子ども達に英語と中国語を勉強させたいと思っていたので、ちょうどいい環境だと思いました。
あとは、シンプルに子供が通っていた日本の地元の小学校に通い続けるのと、マレーシアの学校に通わせるのはどちらがいいか比較して考えた時に、マレーシアが勝ると思いました。
お金の面でいえば、日本の小学校の方が断然かかりません。でも、日本で教育に50万円使った場合とマレーシアで50万円使った場合の費用対効果を考えると、海外に出た方が得られるものが多い。奥さんが行きたくないと言えば話は別でしたが、幸い、妻も気に入ってくれました( 笑 )。
張田ミツルさん
確かに、マレーシアは色々な意味で費用対効果が高いと思います。商売と一緒で、生活も収入より支出が少ない方がいいじゃないですか。その点、日本と同じお金を使って、より多くの経験ができるところは魅力ですよね。
ヨーロッパなどの先進国も好きですが、住むには語学力もお金も必要です。それに、私は成熟した先進国よりも、古き良き日本的なイメージで、みんなが未来を向いて成長していっているエネルギッシュな場所で娘たちと暮らしてみたい、と思っていたので、その点でも東南アジアがぴったりでした。
それと、娘が3人いるので治安の良さは何よりも重要でした。他にも、時差や日本との行き来のしやすさや日本人の多さ等、バランスを考えた時にマレーシアがピッタリだなぁと思ったんです。
■ インターナショナルスクールと日本人学校
江古田島平八さん
ハリーさんのお子さんは日本人学校に通っていますよね。それはなぜですか?
張田ミツルさん
私の場合、マレーシア移住時に上の子が6歳で下の子はまだ1歳でしたので、まずは日本語の読み書きからということで、日本人学校にいれました。入ってみると素晴らしい環境なので、結局そのまま日本人学校に通わせています。
私も妻も英語が苦手で、初めての海外暮らしでしたので、インターへのハードルが特に高く感じたという面も正直ありましたね。今、上の子が中2で一番下の子が3年生になったので、上の子はちょくちょくインターに見学に行ったりしています。
ただ、この件に関しては正解はなく、結局どこに重きを置くかなんですよね。海外移住した日本人の保護者にとって、子どもをインターに入れるか日本人学校に入れるかは永遠のテーマだと思います。
江古田島平八さん
私はそもそも日本人学校に入れる選択肢はありませんでした。その中でも今通っているインターに決めたのは、英語が母国語ではない生徒向けの英語学習クラス( ESL )があるからです。インターの中でもそういった補習授業をやっている学校とやっていない学校があります。
張田ミツルさん
学費が高いイメージがありますが実際はどうですか?
江古田島平八さん
実際にかかっている費用を全てお伝えしますね。数字は一人当たりの金額です。
授業料:20,500RM 553,500円
ESL:1,590RM 42,930円
入学金:3,000RM 81,000円
デポジット:6,000RM 162,000円
施設費:1,400RM 37,800円
入学試験:500RM 13,500円
一年間トータル:32,780RM 約88万円
<二年目以降>
約64万円(入学金等がなくなり安くなる)
今年、上の子が中学校に入学したので約20万円プラスでかかっています。どの学年から入っても、初年度は、2年目以降よりも10万円以上余分にかかりますが、日本でちょっとした習い事をさせるとそれくらいになるので、そこまで高くないと思います。
マレーシアには80以上のインターナショナルスクールがありますが、学費が高いところは200万円を優に超えます。そういう学校を見学したら、ビバリーヒルズ青春白書に出てくるような立派な設備でキラキラしていました。
うちの子の通う学校は地味ですが、子供たちは楽しく通っているので満足しています。日本人学校だとどれくらいかかりますか?
張田ミツルさん
月に一人2万円くらいです。それと、学校までのバスの送迎費用が一人約6,000円ですね。習い事は、英語教室や絵の習い事に通っていますが、一回1,000円くらいです。
江古田島平八さん
習い事はひと月幾らではなく、10回で幾らというのが多いですよね。私の子どもはゴルフとサッカーを習わせています。
張田ミツルさん
日本人には始めたらやめてはいけない感覚があると思いますが、こっちでは習い事でも学校でもなんでも、途中で辞めてはいけないルールも、やめにくいという同調圧力もありません。それが心地いいですね。
江古田島平八さん
張田家のマレーシアでの生活費はどのくらいですか?
張田ミツルさん
コンドミニアムは120㎡でプール付きですが、家賃は月に8万~9万円です。家賃以外の生活費は家族5人で30万円もあれば余裕です。どこまで生活費に入れるかにもよりますが、日本で暮らすより安いです。そもそも、日本には120平米の賃貸やプール付きの家ってあまりないですよね。豊かさの基準が違うんでしょうね。
逆に、日本ではお金があればありとあらゆることができますが、マレーシアでは選択肢が多くありません。例えば東京に住んでいれば、文化的な催しや世界中の料理を楽しめるじゃないですか。マレーシアはそういうものは限られます。その分、のんびり暮らすのであれば最適です。
江古田島平八さん
うちの場合、年間の学費と日本への飛行機代も含めて、月に50万円あれば足ります。生活費は家賃を入れても月に30万円もかかっていません。もう少し学費にお金をかけることはできますが、学費にかけすぎると最初にお話しした50万円ずつの三権分立が崩れてしまうので、そこは今後、どうしていくか思案しているところです。
編集後記
マレーシア移住に興味を持ってから移住するまでのお二人の圧倒的な行動力に驚かされました。実際にかかる生活費や学費など、数字が分かると移住へのハードルがそこまで高くないと感じますね。最終回、第4回ではお二人の今後の目標や読者の皆様へのメッセージをお届けします。お楽しみに。