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自分の死後、アパートはどうする?「事業継承」に無関心な投資家たち【第1回】

大家対談/渡邊浩滋×赤井誠さん_画像


資産を増やすことに熱心でも、遺すことについては手付かず…。不動産投資家にとって、「 事業継承 」は重要なテーマでありながらも、多くの方が先延ばしにしているのが現実ではないでしょうか?

今回の大家対談では、二人の息子さんへの事業継承を考えながらも、方法がわからないという赤井誠さんに、税理士で2代目大家の渡邊浩滋さんがアドバイス。初回は、何から始めればいいのか? について、失敗例を交えながら説明していただきました。





事業継承の準備をしている投資家はほとんどいない

赤井誠さん
去年の冬、ハワイで友人が急逝したのをきっかけに、事業継承について真剣に考えるようになりました。いつまでも元気でいるつもりですが、それができるとも限りません。

渡邊さんはそういう相談を受けることも多いと思うのですが、自分に何かあったときに備えて、どんな準備をしておけばいいでしょうか。

渡邊浩滋さん
私は税理士であると同時に2代目大家でもあり、顧客の大半が不動産オーナーです。そのため、多くの大家さんの相談に乗る立場にありますが、正直なところ、ご自身が元気なうちから、しっかりと事業継承の準備をしている方はほとんどいません。

赤井誠さん
そうですか。皆、先延ばしにしてしまうんですね。

渡邊浩滋さん
はい。でも、忙しくても、早くから準備した方がいいのは、間違いありません。継承を受けた側の二代目大家さんともよくお会いしますが、彼らはポジティブ大家とネガティブ大家に分かれると感じています。

ポジティブな方はがんばって運営していこうという方で、ネガティブな方はあきらめて売却してしまう方です。

赤井誠さん
そうなんですね。

渡邊浩滋さん
両方と話してみてわかったのが、ポジティブ大家さんは、相続する前から不動産に携わっていた方が多く、ネガティブ大家さんは、引き継ぐまではノータッチだった方が多いということです。

何も知らない物件を相続して、その物件に多額の借金が残っていたり、修繕費がかかったりする場合、持ち続けるのをリスクに感じて売りたくなるんです。

赤井誠さん
ああ、そういう方も多いでしょうね。実際、僕らは、そういう方の物件を安く買ってきたわけですし。

渡邊浩滋さん
でも、亡くなったオーナーさんは努力して物件を買われて運営してきたわけですから、引き継いだ方がそれを簡単に売却しようとする姿を見ると、複雑な気持ちになるんですよね。

基本的に、親側が誰にも相談せずに相続について決めることがよくないと感じています。物件について伝えていないケースもそうですが、借金を増やせば相続税が減ると思っているなど、知識不足のまま行動して、かえって家族に迷惑をかけてしまう例も見られます。

赤井誠さん
ああ、なんとなく想像がつきます。地主さんが埋まらないアパートを建ててしまうも、知識不足が原因ですよね。

渡邊浩滋さん
はい。自分の後継者がネガティブ大家さんにならないためには、早め早めに準備をして、事業を継承していくことが大切です。考えたくはないでしょうが、認知症になる可能性だってあるわけですから。



多くの遺言書には肝心なことが書かれていない

赤井誠さん
なるほど。でも、資産家なら「 遺言書 」を作っている人はいるんじゃないですか。

渡邊浩滋さん
確かに、「 遺言書 」を作成している方は一部います。でも、ほとんどの方は中味も伝え方も不十分です。

赤井誠さん
不十分とは、どういうことでしょうか?

渡邊浩滋さん
まず、多くの方が一人で作り、死ぬまで誰にも見せません。家族は亡くなった後で初めて遺言書を見ることになるので、相続後の心構えがまったくできておらず、慌てて対応することになります。

この物件は自分がもらうとわかっていれば、事前に勉強のしようがあるのに、それができないわけです。相続した物件が投げ売りされるのは、こういうケースです。

赤井誠さん
ああ、そういうことですか。

渡邊浩滋さん
また、多くの遺言書には、「 この資産を誰誰に残す 」と書いてあるだけで、肝心の運営方法や、10年後、20年後にどうしていくかについては明示されていません。

そのため、アパートを相続したものの、物件は荒れ、空室が一向に埋まらないなど、引き継いで困っている例を多く見てきました。赤井さんは、事業継承について、どう考えていますか?

赤井誠さん
今、家賃年収が1億円近くありますが、これまで、銀行や不動産会社とのやりとりは私一人でやってきました。妻は作業を手伝ってくれていますが、経営については何もわかりません。「 もし、今、オレに何かあったら、全部売ればいいから 」と伝えています。妻はそれで充分、生きていけるので。

あと、成人した息子が2人いるので、将来的に彼らが興味を持つようなら継承してほしいですね。それが間に合わない場合の対策として、「 全部売っていいけど、もし物件を残すならこの物件 」「 何かあったらこの人に相談しなさい 」というようなことは、伝えています。

それだけでなく、二人の息子たちには2年くらい前から、OJT( On-the-Job Training、オン・ザ・ジョブ・トレーニング )で私の働き方を見せつつ、掃除などを少しずつ任せるようになりました。

渡邊浩滋さん
そうですか。この業界でOJTを取り入れている方は少ないですよ。よく考えられている方だと思います。赤井さんは、どうしても継がせたいという気持ちはないんですよね。

赤井誠さん
ありません。子供が嫌だと言ったら、全部売ってお金にすることも考えています。この仕事は好きじゃないと続きませんよ。「お前がやるんだよ」と押し付けてもうまくいかないでしょう。



「 家訓 」を作って家族に伝えるところからはじめよう

渡邊浩滋さん
では、息子さんの適性や希望を知るためにも、準備を始めた方がいいですね。

赤井誠さん
何から始めればいいですか?

渡邊浩滋さん
まず、「 家訓 」を作りましょう。企業でいうところの経営理念です。スイスやアメリカにある富裕層向けのプライベートバンクでは、顧客にファミリーミッションステートメントを作らせるんです。これは日本の家訓に当たります。これを作ってもらい、それに沿って、資産運用の方法をアドバイスしているんですよ。

家訓ができたら、家族会議を開いて皆に伝えます。その上で、これからの事業について、どうしていくかを話すという流れです。家族会議は、私のような第三者を交えて記録を取りながら行うのが理想的です。

赤井誠さん
家訓ですか。法人の企業理念はありますが、家訓はないですね。僕は自分自身がまだまだ途上だと思っていて、目指す場所を探している最中なので、これという何かをまだ決める段階ではないようが気がするんです。

渡邊浩滋さん
家訓は、不動産賃貸業のゴールや目標とは少し違います。「 自宅は売るな 」とか、「 入居者には愛を持って接しろ 」というようなことでもいいですし、もっと大きな意味で、絶対に譲れないポリシーのようなものでもかまいません。

赤井誠さん
「 銭金だけで動くな 」「 お金儲けよりも自分の周りの人を大事にしろ 」「 人を騙すくらいなら騙されろ 」など、大切にしている信条はありますね。

「 自分のためにも人のためにも誠実に一生懸命やることが大切で、それが必ず自分の力になる 」という考え方です。口だけではなく、そういう生き方をしてきたつもりなので、妻や息子たちもわかってくれていると思うのですが。

渡邊浩滋さん
その赤井さんの「 思い 」の核となる部分を家訓として文書化した上で、OJTを行うと、赤井家の不動産投資がどういうものか、お子さんにも伝わりやすいのではないでしょうか。財産だけを残しても、事業継承はできません。「 家訓 」と財産をセットにして、経営の引き継ぎをすすめることが大切です。


編集後記
時間があるときに手を付けようと思っていても、なかなか進まないのが事業継承の準備。いざという時、後悔しないために、この春から始めてみてはいかがでしょうか? 次回は、法人を使った事業継承の注意点など、もう一歩、具体的な話に踏み込みます。お楽しみに。


○ 全4回のテーマ
第1回【 資産拡大と節税に夢中で「 事業継承 」には無関心な投資家たち 】
第2回【 知恵は何よりの財産、自分の代で絶やすのはもったいない 】
第3回【 赤字アパートを相続した2代目大家の苦悩と学び 】
最終回【 事業継承の最大のネック?「自分が現場から退く」時期と方法 】

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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 渡邊浩滋(わたなべこうじ)さん

渡辺税理士

税理士・司法書士・大家
渡邊浩滋総合事務所代表
ブログ「がけっぷち大家の挑戦」

■ 経歴

大学在学中に司法書士試験に合格

大学卒業後総合商社に入社。法務部にて契約管理、担保管理、債権回収などを担当

商社を退職後、税理士試験に合格
その頃、実家のアパート経営(5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚。 経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出する

資産税専門の税理士法人に勤務する

2011年12月、独立開業

2011年、「行動する大家さんの会」を設立

2013年、「一般社団法人節税大家さんの青色申告会」代表理事就任

資格専門学校の講師、賃貸住宅フェアでの講演等、幅広い分野で活動中

■ 著書


「大家さんのための超簡単!青色申告」


「税理士が教える 節税Q&A」

「行動する大家さんが本気で語る選ばれる不動産屋さん選ばれない不動産屋さん」

「Q&A固定資産税は見直せる」

「相続対策の常識ウソホント〜6人の専門家が導く正しい対策への道しるべ〜」

【2015-2016度版】大家さんのための超簡単!青色申告

「大家さん必携!ライフサイクルから考える賃貸住宅経営の税務Q&A」


■ 赤井誠(あかいまこと)さん

赤井誠

神奈川県在住
DIYと旅を愛する不動産投資家
赤井誠さんのブログ

■ 経歴

□196X年
横浜で誕生

□198×年
北海道大学大学院卒業後、某電機メーカーに就職

□2005年
不動産投資をスタート

□2013年
退社し専業大家となる

□2017年
家賃収入は約1億円


■ 著書

赤井誠
ゼロからの不動産投資(すばる舎)

赤井さん2冊目
本気ではじめる不動産投資(すばる舎)

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