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知恵は何よりの財産、自分の代で絶やすのはもったいない【第2回】

大家対談/渡邊浩滋×赤井誠さん_画像


税理士で2代目大家の渡邊浩滋さんと、息子さんたちへの事業継承を進める方法を考え中の赤井誠さんの対談2回目。子供たちが一つずつ引き継げるように、二つの合同会社を所有する赤井さんに、渡邊さんからダメ出しが? 赤井さんの事例を元に、節税と事業継承を両立させるポイントを学びます。

⇒前回:自分の死後、アパートはどうする?「事業継承」に無関心な投資家たち




絶対に必要なのは、資産を棚卸した「 資産管理表 」

赤井誠さん
家訓の他には、どんな準備が必要ですか?

渡邊浩滋さん
絶対に必要なのは、「 資産管理表 」です。すべての資産を棚卸して、エクセル等にまとめたものですね。物件別に、建物の情報や修繕履歴、銀行や不動産会社、リフォーム会社の情報と担当者、保険の状況など、様々なデータを記録します。

細かいところですと、パソコンのパスワードやポストを開けるためのナンバーなどもまとめておく必要があります。暗証番号系はオーナーが亡くなって一番困るところです。自分の頭の中にしかデータがないという状態から、「 これを見ればわかる 」という状態に切り替えることが大切です。

赤井誠さん
確かに、それは重要ですね。うちは隠し財産はないので、決算書を見れば全部わかるんですが、一応、物件ごとの資料や銀行の担当者などはまとめてあります。ただ、自分にしかわからないこともありますね。だけど、これをきっちり作るって、けっこう大変ですよ。

渡邊浩滋さん
大変です。



赤井誠さん
でも、避けては通れないですよね。大家仲間とも、この作業をすぐに進めなくては、と良く話をします。

渡邊浩滋さん
そのファイルに、経営の手法を明文化したものも入れてください。「 空室が出たときの埋め方 」「 原状回復の方法 」など、これまでに身に着けたノウハウをまとめておきましょう。知恵は何よりの財産ですから、自分の代だけで絶やすのはもったいないですよ。

赤井誠さん
そういうことも書くんですね。

渡邊浩滋さん
赤井さんは現在、事業継承について具体的に準備していることはありますか?

赤井誠さん
息子たちがやりたいといえば、1社ずつ引き継がせるつもりで、法人を二つ所有しています。子供たちが引き継がない場合は、元気なうちに会社を処分して、お金にするつもりです。

億のお金を相続させたらすぐに子供たちの人生が変わりダメになってしまう可能性があるので、信託銀行に預けて、家族信託として月に何十万ずつ、何十年と渡すというやり方も考ています。突然大金を手にすると賭け事に狂っちゃう人もいますし、家一軒分くらいづつ遺すくらいがいいのかなあと思います。

渡邊浩滋さん
ご自身の仕事のやり方については、どう考えていますか?

赤井誠さん
僕はあと3年で60才なので、サラリーマンなら定年です。自営業なので、定年を決める必要はないんですが、どこかで線を引くことは必要かな、と感じています。

遊び惚けるつもりはないですが、60才を過ぎたらライフワークバランスのライフの方に重点を置きたいですね。今は横浜に住んでいますが、夏は北海道、冬はハワイという風に、複数の拠点を持つ生活をしたいです。


赤井さんが所有するハワイ物件

事業継承に備えて、合同会社を株式会社に変えた方がいい?

渡邊浩滋さん
それはいいですね。ところで、赤井さんの会社は、株式会社ですか? 合同会社ですか?

赤井誠さん
合同会社で、家族みんなが出資している形です。

渡邊浩滋さん
うーん、合同会社は複数の出資者が対等の立場にあるので、相続の際にもめる可能性があります。税金対策と事業継承対策って、矛盾するところがあるんですよ。今は税金対策に力が入っている運営方法ですので、このままだと、事業継承のときに大変になるかもしれません。

赤井誠さん
確かに、今までは節税中心で考えてきたので、所得を分散させるために、二つの会社に家族全員が役員で入っています。でも、これからは息子一人につき一つの会社という風にした方がいいのでしょうか。方向性が見えればやりようがあるんですが、まだ見えません。

きちんと準備している方は株式会社を作り、最初から株の持ち分を「 子供100対親1 」くらいにして、議決権だけ親を大きくしていると聞きました。そうすれば、決定権は親にありながら、自分が死んだときに税金がかかりにくいんですよね。

渡邊浩滋さん
確かに、そういう方法もあります。節税は分散が大事ですが、事業継承は集中がカギになるんです。事業継承にはポイントが二つあって、一つ目は継承先を決めたら、そこに議決権を集中していくこと、二つ目は自分が第一線から退くことです。

まずは、その継承者に家訓と事業計画を伝え、資産を「 継承者にとって、引き継ぎたい資産 」にするようにします。その間に、徐々に承継者に議決権をまとめるよう移転していきます。そして最後に、オーナーは一線から退きつつ、具体的な行動を通じて、事業を継承していくのです。

赤井誠さん
なるほど。合同会社を株式会社に変えることも考えた方がよさそうですね。株式会社にして、議決権を一人に集中させることで、意見が対立して相続争いになるということを防げますよね。

渡邊浩滋さん
はい。合同会社を株式会社にすることは難しくはないので、それもいいかもしれません。

赤井誠さん
教えて欲しいんですが、例えば、5億の資産があるA社を長男に、1億の資産があるB社を次男に渡して、それぞれが社長に就任する場合、次男は5分の1しかもらえず、不平等ですよね。

そうならないように、2つの会社の価値を平等にしたくても、それができるとは限りません。その場合、価値が違うことは問題になりますか?

渡邊浩滋さん
会社として渡す場合、資産価値が違っても税務的には何も問題はありません。価値に差があって問題が生じるとしたら、「 公平感 」という気持ちの面ですね。次男が納得すれば、それでいいんです。ぴったり同じ価値の会社を作るのも難しいじゃないですか。

不公平感をなくす方法としては、代わりになる資産を次男に渡すのもいいですし、保険金の受取金を長男にして、受け取ったお金を代償金( 不足分 )として、次男に払うというようなこともできます。



会社を渡す際の節税のコツとテクニック

赤井誠さん
質問ですが、会社の渡し方を間違えると、そこでも税金がかかってきますよね。

渡邊浩滋さん
はい、かかります。でも、節税の方法はあります。退職金を出して赤字を増やし、株価を下げてから、相続や生前贈与するというようなことです。来年の決算が終わったら子供に渡すと決めたら、それ用に決算を作って承継していく、という考え方ですね。

また、不動産は買って3年経つと、純資産価額が購入額から相続税評価額へと変わりますから、そのタイミングを利用するのもポイントです。相続税ってテクニックなんですよ。節税のために、年に100万円ずつ、生前贈与をする方もいます。ただ、何をするにしても準備が必要です。

赤井誠さん
株価が下がった年に生前贈与するとおっしゃいましたが、上場していない会社では、株価は決まっていませんよね。どうやって計算するんですか?

渡邊浩滋さん
過去3期分の決算書を基に決めます。正確にいうと、純資産価額を出して計算するんですが、それ以外に、類似業種比準価額という上場株に類似する価格と自社の株を比較して調整することもします。ちょっと難しい話になってしまいますが。

赤井誠さん
決算書から出すということは、毎年、変わるわけですね。

渡邊浩滋さん
はい。毎年、変わるので、先ほど話したように、ある程度は調整できるわけです。

赤井誠さん
なるほど。会社の価値が毎年変わるなら、こまめに遺言書を作る必要がありますね。そのあたりを知っていて相続を迎える人と、そうでない人とでは、大きな差がつきそうです。節税のために色々とやりようはあるんだ、ということはよくわかりました。

渡邊浩滋さん
そうなんです。ただ、テクニックで節税することはできても、誰に何を渡すかは税理士には決められません。それについては、しっかりと考えて決めておいてください。


編集後記
渡邊税理士の「税金対策と事業継承対策は、矛盾するところがある」という指摘は、多くの投資家にとって、今後の方向性を考えるヒントになるのではないでしょうか? 次回は、2代目大家の渡邊さんが、突然アパートを引き継いで苦労したお話や、現オーナーに知らせたいこと等を語ります。


○ 全4回のテーマ
第1回【 自分の死後、アパートはどうする?「 事業継承 」には無関心な投資家たち 】
第2回【 知恵は何よりの財産、自分の代で絶やすのはもったいない 】
第3回【 赤字アパートを相続した2代目大家の苦悩と学び 】
最終回【 大事業継承の最大のネック?「自分が現場から退く」時期と方法 】

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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 渡邊浩滋(わたなべこうじ)さん

渡辺税理士

税理士・司法書士・大家
渡邊浩滋総合事務所代表
ブログ「がけっぷち大家の挑戦」

■ 経歴

大学在学中に司法書士試験に合格

大学卒業後総合商社に入社。法務部にて契約管理、担保管理、債権回収などを担当

商社を退職後、税理士試験に合格
その頃、実家のアパート経営(5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚。 経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出する

資産税専門の税理士法人に勤務する

2011年12月、独立開業

2011年、「行動する大家さんの会」を設立

2013年、「一般社団法人節税大家さんの青色申告会」代表理事就任

資格専門学校の講師、賃貸住宅フェアでの講演等、幅広い分野で活動中

■ 著書


「大家さんのための超簡単!青色申告」


「税理士が教える 節税Q&A」

「行動する大家さんが本気で語る選ばれる不動産屋さん選ばれない不動産屋さん」

「Q&A固定資産税は見直せる」

「相続対策の常識ウソホント〜6人の専門家が導く正しい対策への道しるべ〜」

【2015-2016度版】大家さんのための超簡単!青色申告

「大家さん必携!ライフサイクルから考える賃貸住宅経営の税務Q&A」


■ 赤井誠(あかいまこと)さん

赤井誠

神奈川県在住
DIYと旅を愛する不動産投資家
赤井誠さんのブログ

■ 経歴

□196X年
横浜で誕生

□198×年
北海道大学大学院卒業後、某電機メーカーに就職

□2005年
不動産投資をスタート

□2013年
退社し専業大家となる

□2017年
家賃収入は約1億円


■ 著書

赤井誠
ゼロからの不動産投資(すばる舎)

赤井さん2冊目
本気ではじめる不動産投資(すばる舎)

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