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赤字アパートを相続した2代目大家の苦悩と学び【第3回】

大家対談/渡邊浩滋×赤井誠さん_画像


税理士で2代目大家の渡邊浩滋さんと、息子さんたちへの事業継承の方法を模索中の赤井誠さんの対談3回目。渡邊さんが親からアパートを引き継いで、困ったこととは? 2代目大家にのんびりタイプが多いのはなぜ? 子供たちへの事業継承は何から始めればいい? 赤井さんが繰り出す数々の質問に、渡邊さんが答えます。

⇒前回:知恵は何よりの財産、自分の代で絶やすのはもったいない




大ゲンカを経て親から引き継いだ赤字アパートを再建

赤井誠さん
親から物件を引き継いだけど、まったくセンスがないという二代目って多いですよね。渡邊さんは二代目としては珍しいほど、うまくいっていると思うんですが、どのあたりに秘訣があるんでしょうか?

渡邊浩滋さん
うちは親が本当にダメ大家だったので、自分がしっかりするしかなかったんです( 笑 )。アパートの立地は悪くないのに、親が入ってくる家賃を全部使ってしまい、リフォームができなくて空室が増えるというひどい経営状態でした。

ある時、母に「 税金を払えない 」と相談されて通帳を見たら、残高がゼロ。そこからは建て直しのために私が経営を引き継いだのですが、親に入る生活費が半分になったことで、大ゲンカもしました。今は順調に経営できていますが、一時はどうなることかと、相当悩みました。

赤井誠さん
渡邊さんが引き継いでからは、V字回復したんでしょう?

渡邊浩滋さん
おかげさまで。借金をしてリフォームをするところから始まり、無駄な支出を削るなど、地道な作業を続けて、安定経営ができるようになりました。アパートの一部屋が、「 海月姫(くらげひめ )」という映画のプロモーションで使われたこともあるんですよ。



引継ぎをしたいけれど「 お前たちに本当にできるの? 」と思ってしまう

赤井誠さん
それはすごいですね。渡邊さんは小さい時から裕福な暮らしだったと思うのですが、こんなにしっかりしているのはなぜなんでしょう。うちもそうなんですが、二代目ってのんびりしたタイプが多いじゃないですか。

渡邊浩滋さん
うーん、言いにくいですが、その通りかもしれません( 笑 )。

赤井誠さん
うちは長男が私の所有物件に住んでいるので管理人を頼んでいて、掃除やちょっとしたトラブル対応を任せています。次男は今も同居ですが、シェアハウスの管理やリフォームなどを手伝ってくれています。でも、経営については一切タッチさせていません。「 お前たちに本当にできるの? 」と思ってしまうんです。

自分が10分でできることを何倍もかかるのを見るとイライラしてしまうので、あえて旅行に出かけたりして近づきすぎないようにしています。

渡邊浩滋さん
確かに、任せてしまって一切見ないというのも手ですよ。皆さん、同じです。何でも自分でできてしまうタイプの方は、「 任せていられない 」と言いますね。でも、それが事業継承のネックになるんです。

「 この物件は長男に任せる 」など、自分の中でルールを決めて、少しずつ判断の機会をあげていきましょう。経営者って判断が大事じゃないですか。そこを任せながら、自分は報告を受けたり、アドバイスをしたりという風に持っていくのがいいと思います。

赤井誠さん
具体的には、どんなやり方がありますか?

渡邊浩滋さん
例えば、管理会社さんから連絡があったら、「 この物件については息子に訊いてくれ 」と返事をすると決めるのはどうでしょうか。赤井さんは会社員時代に部下の教育もされたと思うのですが、やっぱり事情が違いますか?

赤井誠さん
会社の部下たちは、年も立場も近い人たちだったので、指導していてもそれほどストレスはなかったんです。でも、子供の場合は50代と20代ですし、社長が新入社員を見るのと同じですから、自分にとって初めての経験なんですよね。


子供と一緒に掃除した部屋。入居が決まった時の喜びはひとしおだった

渡邊浩滋さん
しかも親子ですから、今まで何かを教えるというより、ダメなところを注意してきたという感じですしね。

赤井誠さん
そうなんです。ダメなところはよく見えてしまい特に厳しく言ってしまうのです。ただ、そのあとにかわいそうになって、逆に助けてあげたくなってしまいますし。他人だったらもっと楽かもしれませんね。

家でゴロゴロしている父を見て、「 こんな大人になりたくない 」と思っていた

渡邊浩滋さん
息子さんたちとの関係で、将来はこうなりたいな、というような理想はありますか?

赤井誠さん
理想は、子供たちがサラリーマンをしながら僕の会社を引き継いで物件を運営してくれて、自分は会長として50%くらいの利益をもらう、という形です。ゼロから始めるのと違って、財務体質がよい状態で引き継ぐわけですから、専業でやってほしいとは思いません。

ところで渡邊さんは、親御さんからアパートを引き継いだ時、「 もっとこうしてくれていればよかったのに 」と感じたことはありますか?

渡邊浩滋さん
うちの話は、参考にならないと思いますよ( 笑 )。一応伝えると、我が家では、ずっと満室経営が続くという前提で、お金を使いまくっていたのが一番困りました。賃貸経営は必ず右肩下がりになっていくので、それを見越して、建物を修繕したり、金融資産を貯めておいたりしてほしかったです。

赤井誠さん
渡邊さんのお父さんは、一代目なんですか?

渡邊浩滋さん
祖父が1代目で、父は2代目なんです。ただ、祖父は相続税対策のために70才くらいで建てただけなので、実質的な経営は父が行ってきました。何もしなくても埋まる時代を知っていることもあって、絵にかいたような放漫経営でした。

しかも専業大家だったので、私は家でゴロゴロしてテレビを見ている父の姿を見て育ったんです。「 こういう大人にはなりたくない。大人になったらバリバリと働きたい 」と子供時代から思っていましたね。

赤井誠さん
親御さんが反面教師になって、いい結果につながったケースですね。

渡邊浩滋さん
はい。うちの祖父や父親がなぜ失敗したかというと、相続対策という頭から始まっているので、建てた瞬間に目的を達成してしまって、その後のことは考えていなかったんですよ。アパートのお金も家のお金もぐちゃぐちゃで、経営とはいえないものでした。

赤井誠さん
まあ、親御さんから見たら、自分のアパートを続けるのも潰すのも自分の勝手だろう、という話なんでしょうね。ただ、潰れてしまったら、親の生活費を子供が見なければいけませんから、そこは口を出してもいいですよ。

自分の若い頃と違い、ハングリー精神が皆無の子供たち

渡邊浩滋さん
うちは全部で5棟あるんですが、借金がすごくて、親が生きているうちに絶対に返せないような金額だったんです。これを引き継ぐ身にもなってよ、とつらかったですね。



赤井誠さん
ああ、借金があったんですね。最悪の場合、相続放棄しかないですよね。

渡邊浩滋さん
でも、なんとか立て直したくて、経営権を親から無理やり引き継いで、綱渡りの末に今に至っています。その時の経験がこの仕事にも生きているので、いい勉強になった、と捉えていますが。

赤井誠さん
ご両親はいい息子さんを持ちましたね。親がダメだけど、子供はしっかりしている。でも、親がしっかりしているとその子供はちょっと…ということって、昔からありますね。隔世遺伝というか。やっぱり、育て方なのかなあ。渡邊さんも、アパートや税理士の仕事を息子さんに継がせたいという気持ちはあるんですか?

渡邊浩滋さん
そうですね。息子が3人いるので、興味を持ってくれるといいなと思っています。ただ、税理士アルアルで、息子が税理士の試験に受からない、という話をよく聞くので、今からちょっぴり不安です( 笑 )。

あと、忙しくて家にあまりいられないので、罪悪感からつい、おもちゃを買ってあげたくなるんです。こういうのは子供にはよくないのかなあと思うことがあります。

赤井誠さん
うちも同じです。僕は幼いころに父親が倒れて生活が苦しい時期が長かったので、自分の子供は不自由なく育てたくて、学校も中学から私立に入れました。そのせいか、息子たちには自分が若かった頃のようなハングリー精神は皆無です。真面目には育っているので、そこはよかったなと思っていますが。

渡邊浩滋さん
立派な息子さんたちじゃないですか。お子さんたち、まだお若いですから、これからですよ。赤井さんがお子さんを思う気持ちが伝わってきて、素敵なご家族だと思います。


編集後記
優秀な経営者だからといってうまくいくとは限らないのが子育て( =後継者育成 )。「 専業大家の子供 」として育った渡邊さんの言葉に、ドキッとした方もいるかもしれませんね。明日は対談最終回。事業継承を完成させるために重要な「 自分の身の引き方 」について話し合います。お楽しみに。


○ 全4回のテーマ
第1回【 自分の死後、アパートはどうする?「 事業継承 」には無関心な投資家たち 】
第2回【 知恵は何よりの財産、自分の代で絶やすのはもったいない 】
第3回【 赤字アパートを相続した2代目大家の苦悩と学び 】
最終回【 事業継承の最大のネック?「自分が現場から退く」時期と方法 】

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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 渡邊浩滋(わたなべこうじ)さん

渡辺税理士

税理士・司法書士・大家
渡邊浩滋総合事務所代表
ブログ「がけっぷち大家の挑戦」

■ 経歴

大学在学中に司法書士試験に合格

大学卒業後総合商社に入社。法務部にて契約管理、担保管理、債権回収などを担当

商社を退職後、税理士試験に合格
その頃、実家のアパート経営(5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚。 経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出する

資産税専門の税理士法人に勤務する

2011年12月、独立開業

2011年、「行動する大家さんの会」を設立

2013年、「一般社団法人節税大家さんの青色申告会」代表理事就任

資格専門学校の講師、賃貸住宅フェアでの講演等、幅広い分野で活動中

■ 著書


「大家さんのための超簡単!青色申告」


「税理士が教える 節税Q&A」

「行動する大家さんが本気で語る選ばれる不動産屋さん選ばれない不動産屋さん」

「Q&A固定資産税は見直せる」

「相続対策の常識ウソホント〜6人の専門家が導く正しい対策への道しるべ〜」

【2015-2016度版】大家さんのための超簡単!青色申告

「大家さん必携!ライフサイクルから考える賃貸住宅経営の税務Q&A」


■ 赤井誠(あかいまこと)さん

赤井誠

神奈川県在住
DIYと旅を愛する不動産投資家
赤井誠さんのブログ

■ 経歴

□196X年
横浜で誕生

□198×年
北海道大学大学院卒業後、某電機メーカーに就職

□2005年
不動産投資をスタート

□2013年
退社し専業大家となる

□2017年
家賃収入は約1億円


■ 著書

赤井誠
ゼロからの不動産投資(すばる舎)

赤井さん2冊目
本気ではじめる不動産投資(すばる舎)

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