• 完全無料の健美家の売却査定で、できるだけ速く・高く売却

×

  • 収益物件掲載募集
  • 不動産投資セミナー掲載募集

新築トラブル増加中。建築会社の与信チェックの必要性と方法

鉄筋たてたろうさん_画像 鉄筋たてたろうさん 第18話 著者のプロフィールを見る

2022/9/12 掲載

こんにちは。鉄筋たてたろうです。前回のコラムで最近の都内新築RC投資の動向をお話しさせていただきましたが、建築をめぐるトラブルが後を絶ちません。

参照:2022年上半期に起きた都内新築RC投資と建築トラブル

今回のコラムでは、建築会社の与信チェックが必要な理由と、個人不動産投資家が実践可能な建築会社の与信チェックの方法について経験をもとにお話ししたいと思います。

■ そもそも建築会社はなぜつぶれるのか?

まず、そもそもなぜ建築会社は倒産してしまうのでしょうか?

一般的に不動産投資家が建築を直接依頼するような元請けの建築会社( ゼネコン )は、不動産投資家のような多額の自己資金を保有しておらず、お客様から預かる資金で工事を進めていると考えてください。

建築というのは、多数の下請けの協力会社を使っていくことで成り立たせることができるため、自社で多数の従業員を抱える必要もありませんし、資産を保有する必要もありません。

原理上は、建築業を開業してすぐでもノウハウさえあればいきなり数千万円の建築工事を受注して建築を進めることが可能です。銀行から借り入れしようにも提供する担保がないのが通常なので、自己資金で建築できるほどの資金的余裕は建築会社にはありません。

不動産投資で共同住宅を建築する場合、投資家から建築会社への支払いの条件は3分割や4分割の均等払いで行われることが通常です。

RCマンション建築の場合は着工時、上棟時、竣工時などのタイミングで支払いをすることが多いと思います。他方で、建築会社( ゼネコン )は下請け業者への支払いを各業者の工事完了後の「 後払い 」で行っています。

竣工時以外は、投資家が建築会社に「 前払い 」しているのに対し、建築会社は下請け業者へ「 後払い 」しているので、工事進行中、建築会社は投資家から払われた建築資金を預かっていることになります。

建築期間中は、基本的に投資家にとって「 実際の出来高より払い過ぎ 」という状態が竣工まで続きます。最も払い過ぎの状態が着工時金を支払ったタイミングで、反対に建築会社にとって一番資金繰りが厳しいタイミングは竣工時金が入ってくる直前のタイミングです。

財務の管理ができていない建築会社の場合、預かっている建築資金を他のことに流用してしまい、建築工事を途中までしか進めることができず、最も資金繰りが厳しいタイミングを乗り越えることができないということが懸念されます。

特に複数の建築工事を一気に受注した場合は、着工時金を一気に集めることができるため、いきなりお金持ちになったかのように錯覚し、工事に必要な資金を散財してしまうということが起こりかねません。

建築会社の経営者は自分の会社で金融機関に厳しく審査されて資金調達をするという経験に乏しいため、他人から預かった資金に対する責任感がない場合があります。

いざ資金繰りが厳しいと気づいたタイミングで、下請けに支払いを待ってもらうという手段以外に方法がなく、信頼を失い、破綻するというわけです。

■ 建築会社の与信チェックの必要性

ですから、建築会社の選定においては、会社の財務内容のチェックはもちろん、社歴、建築実績、経営者の人格・個人資産、関連会社や協力会社、取引金融機関、社員数、現場監督の実績など、多岐にわたる項目をチェックして、上記のようなことが起こらないように批判的に検討する必要があります。

特に経営者の経営能力、金銭感覚や業務への責任感を把握することは非常に重要です。建築会社は業種の性質上なのか、ワンマン経営者が比較的多いためです。

また、支払い条件の交渉においても、例えば出来高払いとする等の「 払い過ぎ 」を極力避ける方法をとることも有効です。

ただし、前回のコラムでも触れたとおり、今は建築会社が顧客を選んでいる状況ですので、投資家にとって一方的に有利な条件を建築会社が飲んでくれるとは限りませんので、十分注意して交渉してください。

■ 財務内容等の入手の方法

建築会社の与信調査の第一歩は建築会社の財務内容を把握することだと思います。会社の決算書類である財務諸表( 貸借対照表・損益計算書等 )は、毎事業年度終了後、公告義務があります( 株式会社に限ります )が、現実にホームページ等にて公告義務を果たしている建築会社はかなり少ないと思います。

一番確実な方法は建築会社に直接、財務諸表の開示を求めることだと思います。投資家が銀行からお金を借りる時に決算書類を提出するのが当然のように、数千万円単位の取引を行うわけですから、決算書類の提出を求めることは何もおかしなことではありません。

建築会社が開示を拒否した場合、それだけで不審に思うほうが良いと思います。財務体質に不安がない場合は、喜んで開示してくれるはずです。ただし、開示された財務諸表が正しいものと無批判に信じてはいけません。必ず裏取りをするべきでしょう。

■ 調査会社や役所からの情報入手

帝国データバンクや東京商工リサーチなどの民間の信用調査機関から情報収集をすることも重要です。

詳細な調査報告書を入手するためには、各社と契約しなければならないためコスト等のハードルが高いですが、「 G-Search 」などの各信用調査機関のデータベースを横断的に検索できるサービスから、主要な情報を入手することができます。

クレジットカードで支払い登録をすれば数千円のコストで即日閲覧できます。ここでも財務内容の把握が最も重要です。過去数期分の主要な財務の情報が入手できるので、売り上げや利益の推移、自己資本比率などに注目してください。

なお、帝国データバンクなどでは企業に対して「 評点 」が付きますが、評点が何点以上であれば安心できるなどと絶対的な基準ではないと思いますので参考程度でよいと思います。

また、都道府県の役所に出向く必要はありますが、建設業者が建設業許可を受ける際に提出をした許可申請書のうち 、「 工事経歴書 」や「 財務諸表 」も公開されていますので、その書類から工事実績・経営状況を確認することができます。手数料も安いので手間を惜しまず調査を行いましょう。

次に建築会社の財務状況に関する情報を入手したうえで、その情報をどう読み取るか、という点が重要となりますが、長くなりますので次回のコラムで続きを説明したいと思います。
無料会員登録

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

アクセスランキング

  • 今日
  • 週間
  • 月間

プロフィール

鉄筋たてたろうさん

鉄筋たてたろうさんてっきんたてたろう

不動産投資家
起業家

プロフィールの詳細を見る

経歴
  • □1985年
    福岡県生まれ

    □2004年
    上京、東京大学理科二類入学
    在学中に勉強をして経済系の資格を取得

    □2008年
    就職

    □2012年(27歳)
    独立・起業
    仕事を通じて不動産投資に出会う
    1,2億円の中古マンションを購入(1棟目)

    □2013年(28歳)
    富山に中古マンションを購入
    千葉に木造アパートを新築

    □2014年(29歳)
    千葉に鉄骨マンションを新築

    □2015年(30歳)
    東京23区の土地から新築RC投資へシフト
    以後、都内のRC物件を中心に規模を拡大

    □2021年(36歳)
    本業の他に不動産関連の会社を数社経営
    社員70名、合計年商35億

閉じる

ページの
トップへ