こんにちは。鉄筋たてたろうです。前回までのコラムでは、新築投資の各パターンのメリット・デメリットについて説明しました。
参照:都内新築RC投資3つのパターンと、それぞれのメリット・デメリット
土地から探す新築投資に初めてチャレンジする場合、最初から「 全て自ら企画する 」のではなく、まずは「 建築プラン付土地を選ぶ 」か「 建築条件付き土地を選ぶ 」ほうが良いです。その理由について説明していきます。
■ 新築企画で必要になるボリュームプランとは
建物の新築を企画する際には、その土地にどのくらいの建物の大きさや戸数などが建築可能かをしめす「 ボリュームプラン 」を作成することが必要となりますが、このボリュームプランをどれだけ精度高く作成できるかが、新築企画成功の最大のカギとなります。
建築プラン付の土地や建築条件付の土地では、あらかじめ不動産会社や建築会社によりこのボリュームプランが作成されており、通常であれば、土地の販売資料と合わせてボリュームプランをもらうことができます。合わせて建築費の見積りや完成時のレントロールなども入手可能な場合が多いです。
まずは数多くの土地について問い合わせを行い、数多くのボリュームプランを入手することから始めましょう。入手した数多くのプランから「 新築企画力 」を身に着けていきます。
■ 建築計画に関わる法的制限とは
建物を建てるための法的制限には建築基準法、都市計画法、自治体の条例、消防法といったものがありますが、当然これらを全て考慮した上でマンション計画を立てる必要があります。
しかし、投資家がすべての法的制限をマスターする必要はありません。マンション計画に関わる法的制限は限定されているため、どういう法的制限に気を付けて土地を選べば良いかのポイントが理解できていれば十分です。
不動産会社等から入手したボリュームプランは各法的制限を考慮済みのため、数多くのプランを見ていく中で気を付けるべき法的制限がどのようなものか理解することができます。
■ どのような建物が自分の投資スタイルに合うかを考える
不動産投資では、ある土地に対して、最大限専有面積が確保できるようにボリュームプランを作成するのが基本です。
しかし、例えば1戸当たりの専有面積を小さくすれば賃料単価が上がる反面、居住性が劣ることになるため、表面利回りが上がる代わりに賃貸の回転期間が短くなる傾向にあります。
従って、戸数が多いプランと1戸当たりの専有面積が広いプランとではどちらが良いプランかは投資家の考え方によって異なります。
一つの土地に対して複数のボリュームプランが用意されているケースもありますので、各プランを比較してどのようなプランがご自身にとっての最良のプランであるかを考えることも新築企画力をつけるトレーニングになります。
プランの作成者がどのようなことを意識してそのプランを作成したのかを考えていくことで、投資家自身の企画力を成長させることができます。
■ 建築会社や設計士と出会っていく
ボリュームプランを入手し、具体的に新築計画を検討していく過程で、建築会社や設計士の先生の紹介を受けられることもあります。
提示されたボリュームプランがどのようなことを重視して作られたものか、計画を立てた方の発想方法や工夫を質問しながら知ることで、プランを考える際のアプローチ方法について学ぶことができます。
ただし、建築会社や設計士の先生はもちろんビジネスとして利益に結び付くことを期待して対応してくださるので、あくまで具体的な物件の検討過程において、学んでいくという姿勢をとってください。
また、不動産会社から外部の建築会社や専門家を紹介してもらう場合、紹介によって不動産会社がどのようなメリットを受けるかについて考えてください。
紹介料が発生する場合は分かりやすいですが、紹介料が生じない場合は、建築会社から紹介者へ紹介料が払われているケースもありますし、単に相互の信頼関係での紹介である場合もあります。
いずれにせよ、実際は紹介を受けているにも関わらず、紹介者や関係者の信頼関係を壊すような行為はしないように注意してください。新築の世界は狭いので、不義理なことをするとその後、誰も協力してくれなくなるおそれがあります。
■ 建築コストは建物の面積だけで決まるわけではない
ボリュームプランを入手する過程で様々な形でプランに対する建築費を知ることになります。ここで入手した建築費に関する情報をもとに、面積や戸数などの比較で見積りがなくとも大体の建築費が想定できるようになります。
建築に関わって発生する費用には様々なものがあります。例えば、建築本体費用以外の設計費、確認申請費、既存建物の解体費、地盤対策・杭工事費用、給排水の分担金、近隣対策費、工事保険費、各種祭典費などです。
これらは見積りによって含まれている場合といない場合があるので、単純に高い安いだけの比較ではなく、同じ項目での比較となっているかをチェックする必要があります。
プラン付きで紹介される土地の場合、そもそもプランのみの作成で、建築に関する見積りは不動産会社が予想しただけで、具体的には投資家自身で建築会社に見積り依頼する必要がある場合もあります。
見積りの作成は通常無料で依頼できることが多いですが、建築会社にとって作業の負担がかかります。ご自身で依頼する場合でも、本気で取り組むつもりの案件のみ依頼するようにしないと建築会社から嫌われてしまうので注意してください。
建築費はよく「 坪単価 」という言葉で語られることが多いですが、数多くの建築費を知れるようになると、この「 坪単価 」がいかにあてにならないかが分かるようになります。
本体工事をローコストで抑えるためにどのようなプランであるべきか、地盤対策費を小さくするために建物をどのような形状で計画するべきかなど、ボリュームプランの作成段階でもローコストのための工夫が必要です。
利回りを上げるためには、専有面積をいかに広げるかだけではなく、いかにコストを抑えた形状にするかもとても大事です。
■ プロの技術を盗んでいくことが企画力向上の近道
このように、プラン付土地や建築条件付の土地に問い合わせを入れて検討を重ねることで、ボリュームプランや見積り等を入手し、経験値を積み増すことができます。
最終的には全て投資家が自分で土地から新築計画を企画できれば、収益的に最大のメリットを受けられます。企画成功のカギは「 ボリュームプランの作成 」にありますので、まずはその「 ノウハウのお手本 」からプロの技術を上手く盗んでいくことが成長への最短ルートだと思います。
次回のコラムでは今回触れました「 新築企画をする上で知るべき具体的な法的制限 」について説明していきたいと思います。