コロナ禍で今後が依然不透明ですが、過去から今までの賃料動向をお伝えする事で、皆さまの参考にして頂ければ幸甚です。( 便宜上、管理費を賃料と統合させています )。
■ 家賃が下がった物件と下がらない物件
@2001年に初めて購入した埼玉県熊谷のワンルームマンション
2001年当時は礼金・敷金が各1か月、広告料無し、賃料39,000円でした。2020年10月現在は売却済ですのでポータルサイトから調べると礼金無・敷金1か月、広告料1〜2か月分、賃料20,000円という状況です。
駅から徒歩10分程度で、3点ユニットの分譲タイプのワンルームマンションですが、ほぼ半値に下落しています。熊谷は埼玉北部の中心地で新幹線停車駅ですが3点ユニットタイプの需要が弱まっており、企画力が求められるエリアになってきていると感じます。
A2002年に購入した埼玉県狭山市のワンルームマンション( 現在は売却済 )
駅からまあまあ近い分譲ワンルームマンションです。2002年に購入した当時は新宿や池袋の業者から賃貸付けが出来ていました。
上京して新宿で部屋探しした人が「都心は高すぎる」と私鉄沿線を探して、営業マンから紹介されたこの物件に決めるという流れが多かったと記憶しています。
その当時は礼金・敷金が各1ヶ月、広告料無し、賃料36,000円でした。2020年10月現在は敷金のみ1カ月、広告料1〜2カ月、賃料20,000円という状況です。
狭山は工業団地があり、西武新宿線を使うと川越・所沢や新宿を利用できますが、最近は賃貸需要が減少傾向なのかもしれません。駅の周辺を歩いてみると空室率上昇を肌で感じます。
このようなエリアでは、物件の卓越した企画力で差別化ができれば一人勝ち出来る事があります。セミプロが物件を安く仕入れられれば、やり甲斐がある場所といえるのではないでしょうか。

所有する山手線沿線の物件
B2005年に購入した埼玉県所沢の一棟RCマンション( 現在は売却済 )
所沢市内にある駅から近いワンルーム主体の1棟マンションです。2005年当時は礼金・敷金各1カ月、広告料は閑散期のみ1カ月で、賃料42,000円でした。
2020年10月現在は家賃35,000円、敷金のみ1カ月、広告料1カ月という状況です。駅から徒歩数分だったためか、下落率が低いように思われます。
所沢駅は西武グループが総力を挙げて再開発に取り組んでおり、商業施設が多数開業して利便性が向上しています。そのため、駅から近い物件の需要は底堅いと感じています。
C2005年に購入した川崎市の武蔵新城駅から徒歩10分の木造アパート( 売却済み )
駅から徒歩10分程度ですが、木造なので上記の事例より老朽化が進展しているかもしれません。2005年当時は礼金・敷金各1カ月、賃料63,000円、広告料は1カ月でした。2020年10月現在は敷金のみ1ヶ月、賃料45000円、広告料は変わらずです。
南武線はIT企業が多く、人口も増加傾向にありますが、駅から多少離れた木造だと賃料が下落傾向にある様子が伺えます。駅から近いRC物件では賃料下落があまりないようなので、物件の競争力があれば優位に戦えるエリアだと思います。
D2003年に購入したJR山手線北部エリアの一棟RCマンション
今現在、私が主力として所有するJR山手線北部エリアも改めて調べてみました。
2003年に購入した池袋駅徒歩7〜8分、再開発が現在進められているエリア至近の場所にあり、現在まで18年近く所有しているRC一棟マンションがあります。
賃料は2003年当時、礼金・敷金共に2か月、広告料無、賃料は75,000円でした。2020年10月現在は、敷金のみ1カ月( 繁忙期は礼金1カ月設定します )、広告料1カ月、賃料は69,000円で成約しています。
2003年私がこの物件を購入した当時、似たような売買物件のマイソクによく書いてあったフレーズが「 入居者回転が良いので、賃料以外に別途礼金収入も見込めます 」です。
2000年代初頭位までは都心〜副都心エリアに位置する物件は礼金2か月が当たり前だったので、礼金収入も利回り以外に見込めるという大家優位な環境でした。
当時は私も「 1年くらいでどんどん入退去してくれた方が、収支から考えるとありがたいなあ 」と思ったものです。これに加えて広告料もなかったのですから、当時の大家さんは今から思えば恵まれた環境でした。
2020年10月現在、このエリア内での礼金はあまり見かけなくなりました。私の物件に住んでいた外国人入居者の中には「 大家さんにお礼として礼金を私に払ってもらいたいくらいです 」と言うような人もいました。供給過剰が進んでいると感じています。
2003年当時は外国人に貸す大家さんがほとんど存在しておらず、外国人入居可にすると、募集から1〜2日で成約するのが普通でした。現在、外国人可は当たり前ですので、隔世の感があります。それだけ開かれた日本になりつつあるのかもしれませんね。

所有する山手線沿線の物件
E2011年に購入した千葉県外房エリアの木造アパート
最後に、私が所有している地方物件のセクターに入る千葉県外房エリア物件の状況もお知らせします。この物件は昭和末期の木造アパート2Kで35u、駅から徒歩15分ですが徒歩数分圏内には様々な商業施設があります。
2011年購入時は礼金・敷金共に1カ月、広告料無、賃料は36,000円。2020年10月現在は敷金のみ1カ月、広告料無、賃料は32,000円です。本当はもっと高い賃料でも埋まるようですが、ともかく満室稼働を最優先させているので早めに埋まります。
車社会の外房にしては珍しく徒歩で全て生活できる立地という事もあり、満室稼働が続いています。安く貸していますが購入額から考えるとこれでも年利40%ですので、安く仕入れられれば運営が楽になるなあと感じています。
■ やはり利便性の高いエリアが底堅い
上記から私が感じた結論ですが、募集から成約までの時間や今後の賃料下落率までを考えるとJR山手線沿線に代表されるような利便性の高いエリアでやや分散させながらリスクヘッジを図りつつ投資を進めるのが、低リスクではないかと感じます。
利便性が高いエリアの需要の底堅さはコロナ禍でもさほど変化していないと思います。郊外においても駅から近く買い物が便利な物件の需要は強く、今もまずまず安定して運営出来ています。
実際、私が居住している西武線郊外の多摩地域では、駅から徒歩10分超のファミリータイプ分譲マンションが完成後1年経過してもまだ在庫が残っていますが、その一方で、駅の近くの分譲コンパクトマンションは完成直後に完売しました。
コロナ禍だろうと不景気だろうと人はどこかに住まざるを得ないし、日々の業務や買い物は無くなりません。生鮮品を日々購入する必要がありますし、ワンクリックでポチっとすれば届く便利な宅配にしても到着まで多少の時間がかかります。
宅配を使いつつも、「 今すぐ買う 」というニーズがどうしても残る以上、利便性の大切さは賃貸経営の重要な部分を依然占めていく事でしょう。
現在の市場を見ると、コロナ融資や給付金でマネーの総量が増大しているため、不景気なのにそれが反映されず、物件価格の底堅さに繋がっているように思われます。しかし、マネーの総量がどれだけあっても、総体的な賃貸需要不足は否めません。
いずれ起きる調整局面においては、株式だけでなく不動産の買い場もあるのでしょう。そんな時でも私は相当に利便性や将来性を吟味して、長期保有に耐えられる物件を仕込んでいきたいと考えています。

所有する山手線沿線の物件
■ 神奈川の異臭騒ぎについての考察
少し話は変わりますが、頻々と報道されつつある神奈川県で起きている異臭騒ぎに関しても、私見を書いておきます。
このエリアは南関東ガス田が地層に存在しています。ガスタンク破損や工場・タンカーなどの重油漏れが確認されていない以上、地中からガスが漏れだしている可能性はありえると思われます。
しかし、地層変動があったとしても関東大震災のような海溝型巨大地震は概ね200年〜400年周期ですから、直近でこのタイプの地震が起きる事は考えにくいです。
首都直下地震は周期的に切迫してきていますが、理科年表や安政江戸地震(首都直下地震)に関する文献を見てもこのタイプの地震前後に異臭騒ぎがあったことはほとんど記載されていないようですから、何とも不思議な話です。
しかし、地震国ですから「 備えあれば憂いなし 」の心構えは常に必要です。私も地震保険の増額など見直しをする事で、よりリスクヘッジを進めようと考えている次第です。