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「少額投資から始めよう」に騙されるな!

徳田文彦さん_画像 第50話

皆さん、こんにちは! 5月に入り、急に暑くなってきたかと思えば、その後は梅雨を思わせるような天気ですね。

物件探しが快適にできる期間というのは、年間で意外と少ないものです。そんな中、私も、近々新たな物件の契約を予定しつつ、物件探しを並行して行っています。

最近、私の物件探しも少し変わってきていて、以前ほどエリアを都心に絞らず、一部の地方都市にまで範囲を広げて物件を探しています。理由は色々あるのですが、一番大きいのは、都心部で利回りの良い物件を探すのが極めて困難になったからです。

■ 「 少額投資物件 」はリスクが低いのは本当?

地方都市で物件を探していて気になるのが、「少額投資から始めましょう!」という、謳い文句で売り出されている物件の多さです。

地方都市では、当然のことながら、区分にしても一棟にしても、賃料水準、物件価格ともに低い水準のものが多く、区分所有だと100万円台から、戸建物件でも100万円台後半、200万円から、というのも珍しくありません。

確かに、何千万、 何億円という価格帯も多い投資物件の中では「目に優しい」価格です。また、いわゆる「 借金 」に抵抗がある人は、こうした物件ならローンを組まずに購入し易い為、一定の購入ニーズがあることも理解できます。

しかし、一軒目でこうした『 少額物件 』を購入してしまうと、早晩、不動産投資の世界から、足が遠のくことになると思います。

「 少額物件 」への投資は、「 リスクの低い少額物件から投資を始めましょう! 」という誘い文句とは裏腹に、実は大きなリスクを抱えているからです。

■ 収益を上げにくい少額物件投資

というのも、こうした低額物件で、投資収益を満足に上げる事は非常に難しいのです。例えば、200万円で利回り18%の区分所有に投資したとします。表面利回りの高さは、このご時世ではかなりのものです。

家賃収入に直すと、年額36万円。月あたり3万円の家賃収入を手に入れることになります。しかし当然、ここから、管理費、修繕積立金が毎月差し引かれます。

こうした物件でも、地方都市では20u〜60u台くらいまで幅広い面積の物件があり、管理費・修繕積立金の負担は馬鹿になりません。( 管理費・修繕積立金は、専有面積に比例して高くなる事が多いです )。

仮に管理費5,000円、修繕積立金7,000円の物件だったとすると、毎月1.2万円が自動的に出ていきます。

この時点で、実質的な利回りは

( 3万円-1.2万 )×12÷200万=10.8%まで低下します。

また、退去に伴う原状回復費用、修繕費を考慮すると、実際の利回りは更に低下します。日本賃貸住宅管理協会の2016年のデータによると、一般単身者( 学生除く )の平均入居期間は、2年〜4年が67.2%を占めます。

上記の間をとって、本物件の入居者が3年で退去すると仮定し、試算してみましょう。

物件を6年所有して売却するとした場合、保有期間中に2度、退去にともなう原状回復、修繕工事が必要になります。

1度目は使用状態が良く原状回復コスト+α程度しかかからないとして10万円、2度目は老朽箇所の修繕などがかさみ、40万円がかかると仮定しましょう。

そうすると、6年間の収益は、

・家賃収入( 管理費・修繕積立金を除く ):129.6万円(※6年間で)
・原状回復・修繕費用:50万円


となり、6年間の実質収入は129.6−50=79.6万円。1年あたりの収入では約13.3万円(79.6万÷6年)まで下がり、物件価格200万円で割ると、この物件の利回りは6.6%程度まで下がってしまうのです。

■ 空室期間の長期化のリスク

これまでの計算で、地方都市の少額物件では、管理費や退去後の修繕費の負担が、利回りを大きく押し下げてしまうことが見えてきました。

しかし、実際の投資に当たってはもう少しシビアに収支を見立てる必要があります。それは、空室期間長期化のリスクです。

仮に、入居者がついている状態で購入しても、2回退去が想定されるので、空室期間も2度発生します。このレベルの利回りが確保できる地方都市では、楽観的に見ても、一度空室になった場合、3カ月程度の空室期間は見込んでおくべきでしょう。

そうすると、3か月×2回=6か月分の賃料収入が、上記からさらに引かれる計算になります。その場合、6年間の実収入は68.8万円まで下がり、1年あたりでは約11.5万円。利回りは5.7%程度、ということになります。

地方都市の物件は、都心部の物件とは異なり、売却益( キャピタルゲイン )は殆ど見込めないことから、賃料収入( インカムゲイン )のみが儲けの源泉と考えるべきです。

そうすると、表面利回り18%と表示されていたこの物件は、実質的には、利回り6%にも満たない利益しか生み出せない物件、ということになります。

更にもう一段、厳密に考えるなら、地方都市の物件ならではのコストが、まだ考慮されていません。まず、地方都市で投資する場合、居住地から物理的な距離が離れている事が多いでしょから、管理会社や客付け会社と打合わせる際の、交通費の負担がばかになりません。

また、地方になるほど管理会社間の競争が少なく、遠距離に住むオーナーに対しては非常に立場が強くなる為、管理会社・仲介会社への広告費や交際費等のコミュニケーションコストも、ある程度措定しておく必要があります。

こうしたコストは、賃料のグロス額の大きい物件なら(比率として小さいので)収益を圧迫するとまで言えないのですが、少額物件では賃料のグロス額が小さい為、収益圧迫要因となってしまうのです。

■ 想定賃料が高すぎないか?

最後にもう一つ、地方都市の少額投資物件を検討する際に気を付けるべきことがあります。それは、「 想定賃料が本当に妥当か 」という点です。私が最近、物件情報を調べた限りは「 想定賃料がやや高すぎるな 」と感じる物件がいくつか存在しました。

また、現空ではない入居中の物件でも、入居した時期がかなり昔だった、等の理由から、現在の賃料水準よりかなりに高い水準で貸せており、見かけの利回りが不当に( ? )高くなっている物件もあります。

こうした物件を間違えて掴まない為にも、賃料相場は必ず賃貸のポータルサイトで検索し、適正賃料を見極める必要があります。賃借人が入居中で実際に賃料は支払われている物件であっても、その賃料が今の賃貸市場に照らして適正水準であるかどうか、必ず確認しましょう。

これまで、地方都市の少額物件を検討する際に気を付けるべきこと、について書いてきました。本稿を読まれた方は、「 最初の一棟目は小さな物件から 」としていたこれまでの私の主張と矛盾するように感じるかもしれませんね。

しかし、「 最初の1件目として、金額・規模の大きすぎる物件から投資を行うのはお勧めしない 」というこれまでの主張( 第44話参照 )は全く変わりません。

グロス額の大きすぎない物件に着目するのはいいのですが、程度問題があり、グロスの小さすぎる物件への投資は注意すべき、ということです。

このような状況を踏まえ、私も地方都市で物件を探す際は「 一定水準以上の賃料を、現在の賃貸相場に照らして確実に確保できるもの 」に絞っています。その検討結果は今後、このコラムでもご報告していければと思います。

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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 徳田文彦さん

tokudasan

東京在住

□不動産投資家
□企業向け戦略コンサルティング

■ 経歴

□1974年生まれ

□1999年
慶應義塾大学卒業後、同大学院修了

□2006年
大手広告会社に勤務しながら不動産投資を開始

多忙な合間を縫って効率的な不動産投資方法を追及した結果、エリアを厳選して高い入居率を見込める物件を購入し、 入居者募集や管理業務を徹底して効率化する投資手法に到達する

□2013年
サラリーマンをセミリタイア

□2014年
サラリーマン卒業後は、企業への戦略コンサルティング業務に従事

■ 著書

徳田さん本
5年で引退できるセオリー破りの不動産投資(ぱる出版)

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