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利回りの罠に惑わされるな。表面利回りと実質利回りの乖離の実例

徳田文彦さん_画像 第52話

■ 物件の「 本当の利回り 」を計算してみよう

みなさん、こんにちは。梅雨も明けて、暑い日が続いています。しばらく、物件探しも入居付けも、投資家にとっては厳しい季節に突入しますね。

最近は、都心部で利回りの稼げる物件がほとんどないため、

@郊外、地方で高利回り物件を取得( 新築 )する
A都心部で利回りの低い物件を( 仕方なく? )取得する


という物件取得がほとんどです。( 6、7年前位までは稀に存在した「 都心好立地で高利回り物件 」という好物件を購入できている方はほとんどいません )。

@の場合の利回りは、中古物件では15%以上、新築でも10%以上を確保している物件も数多くあります。
Aの物件については、利回りはかなり低く3〜5%台、良くて6%台という所でしょうか。新築ワンルームだと4%強程度の物件が多いようです。

それぞれリスクを理解して納得して投資されているのなら良いのですが「 その利回りが本当に確保できるか? 」は慎重に判断すべきです。

というのも、@、Aの場合共に、表面利回りが「 本当の利回りではない 」と思うからです。表面利回り10%と言っても、出口まで見た際に、その利回りが確保できているのか? という問題です。

■この物件の「 真の利回り 」は?

まず、@の郊外の高利回り物件で検証してみます。郊外や地方都市の一棟物件を10%以上の利回りで、ローンを使って購入する事例が多いのは、本コラムの読者であればご存知の通りです。

確かに、新築時から築3〜4年くらいまでは、購入時の利回りに近い水準が確保できるでしょう。新築プレミアムの効果で、家賃・入居率が維持される為です。( ただし、新築プレミアムの持続期間は、昨今の新築マンション/アパートブームで、年々短くなっています )。

仮に5,000万円で表面利回り10%の物件を地方で新築または購入したとします。この物件を一定期間、保有した場合の収益を計算してみましょう。

前提条件は以下のように設定します。

・家賃は4年毎に10%値下がり
・入居率は当初5年が90%、その後5年は80%と仮定
・売却する場合、築5年では11%の利回り、築10年では12%の利回りでの価格設定となると仮定
・自己資金は1,000万円、購入諸費用は物件価格の6%
・ローンは4,000万円を金利2%( 自己資金は1,000万円+諸経費 )、返済期間20年と仮定

※入居率や賃料推移、売却時の利回り条件等は、今後の地方物件の賃貸需給や、不動産価格推移の予測としては、かなり緩めの設定だと思います。


この条件下で、本物件を、購入6年後( 短期譲渡になるのを避けるため )に売却した場合と、10年後に売却した場合の収益性を比較します。

まず、購入6年後に売却した場合、売却価格は4,100万円程度になります。アベノミクスに端を発した物件価格上昇に慣れた投資家さんからすれば、ずいぶん低い売却価格に見えるかもしれません。

しかし、これから6年後、今のような金融緩和が継続しているとはとても想像できないことや、日本全体の人口が減少する中で地方物件の入居率や価格の下落スピードが今後高まる事を勘案すれば決して悲観的すぎる数字ではないと思います。

6年間分の賃料からの累積CF( ローン返済後、税引き後 )は540万円程度。そこから購入・売却手数料などを引き、売却資金の一部で残債を返済したとすると、売却後に残る収益は( 過去の賃料収入も合わせて )290万円程度になります。

物件価格の下落が響き、残債割れはおこさないものの、賃料からの収益が削られてしまうのです。

これが6年間の賃料収入( ローン返済後 )収入ですから、1年間の収益に直すと約50万円。物件価格の5,000万円で割ると、実際の利回りは1%程度という事になります。

( 購入時の条件であった )表面利回り10%と比べると、実際の利回りは随分と低くなりますね。修繕費や税金、賃料や物件価格の下落を考慮してシミュレーションすると、この程度の利回りしか稼げないのが現実です。

※ただし、購入時に投下したキャッシュ( 頭金1,000万+諸費用300万=1,300万円 )に対する年間利回りは、3.7%となります。これでもやはり低い水準ですが。

■10年間所有した場合は?

同じ物件を10年間保有後、売却した場合の収益性はどうでしょうか?

この場合、先ほどの条件に従えば、売却価格は3,300万円程度になります。賃料も新築プレミアムが剥がれ下落し、築年数の経過により購入する投資家が要求する利回りも高くなった結果です。

これを基に同じ計算をすると、10年後に売却した際の総収益額は約400万円。先ほどよりも増えましたが、これは10年間保有した場合ですので、1年間の収益に直すと年間約40万円。

5,000万円の物件価格をベースにした「 真の利回り 」は、0.08%と、実に1%を割ってしまいます

定期預金よりは良い水準ですが、10年間の賃貸経営にかかる手間と時間を考えると、まったく割に合わない投資という印象を受けます。

このシミュレーションからすると、この新築物件は6年後に売却した方がましだった、という事になりますね。

■都心の低利回りの物件の投資成績は?

今度は同様の計算を、都心部の新築ワンルームマンションに投資した場合を想定して実施してみます。

2,500万円、利回り4.5%の新築マンションを、期間20年、利率2%で、頭金を入れずに購入したとします。この時の前提条件は以下のとおりです。

・家賃は4年毎に10%値下がり
・入居率は95%で経年変化なし
・売却する場合は6%の利回りでの価格設定となる想定


その上で、6年後に売却した場合の収支を計算します。

まず、6年間分の賃料からの累積CF( ローン返済後 )は、節税メリットを考慮しても、380万円程の赤字です。また、売却価格は1,680万円程度になります( 残債割れの価格です! )。

その結果、6年間のトータル収支は700万円以上のマイナスです。投資としては、先ほどの郊外高利回り物件を買った方が、はるかに良かったことになります。

こう見てみると、購入当初の表面利回り4.5%などという数字には全く意味がないということが良く分かります。

■どうしたらもっと利益が出るの?

新築ワンルームより郊外の高利回り物件のほうがましなことは分かりましたが、年1%の利回りでは投資するのに躊躇してしまいます。

郊外の高利回り物件に投資し、もっと利益を上げるには、どうしたらよかったのでしょうか?

収益を上げる為に、非常にシンプルで、しかし効果が絶大な方法が一つあります。それは、売却する際に、なるべく高く、できれば購入時よりも高く売ることです。

先ほどの郊外5,000万円、利回り10%の物件を、購入から6年後に、購入時より高い5,500万円で売却できたとします。

この場合、6年間の累積利益は1,450万円程度( 譲渡益への課税を考慮しています )。1年の利益は250万円近くなり、5,000万円の投資に対して、利回り5%が確保できる計算になります( 購入時に投入したキャッシュ1,300万円に対する利回りは11・5%に達します )。

これなら投資する価値が十分にあるでしょう。ちなみに、6,000万円で売却できた場合には、同様の計算上、年間利回りは6%を超えてきます。

このように、郊外物件で最終的に利益を得るためには、売却時にかなり高い価格で売り抜けられること、が前提になります。

そして、この5年ほどは、金融緩和の効果や投資熱の高まりにより、高値売却が可能な時代でした。しかし、この景気が5年、10年続くと考える投資家はほとんどいないでしょう。

今後は、どの程度の幅かは不明なものの、購入時より安値で売却する、という出口を描いたうえで、投資を行うべきと考えます。

今でも、地方都市や郊外であれば、築年の浅い( 比較的 )高利回りの物件の売り物が、ある程度出ていますし、今後も出てくるでしょう。

しかし、その購入を検討する場合は、「 真の利回り 」を見抜き、慎重に収支を検討したうえで投資する必要があると言えるのです。

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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 徳田文彦さん

tokudasan

東京在住

□不動産投資家
□企業向け戦略コンサルティング

■ 経歴

□1974年生まれ

□1999年
慶應義塾大学卒業後、同大学院修了

□2006年
大手広告会社に勤務しながら不動産投資を開始

多忙な合間を縫って効率的な不動産投資方法を追及した結果、エリアを厳選して高い入居率を見込める物件を購入し、 入居者募集や管理業務を徹底して効率化する投資手法に到達する

□2013年
サラリーマンをセミリタイア

□2014年
サラリーマン卒業後は、企業への戦略コンサルティング業務に従事

■ 著書

徳田さん本
5年で引退できるセオリー破りの不動産投資(ぱる出版)

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