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T社でアパートを建てた大家さんの末路-美味しい話は向こうから歩いて来ないー

徳田文彦さん_画像 第68話

みなさん、こんにちは。2年ほど前、私は「 アパート新築がアプリで可能? -フィンテックを活用したお手軽投資に潜むリスク- 」と題したコラムを書きました。

上記コラムでは会社名を挙げませんでしたが、それが最近、エビデンス偽装で話題になったT社( 掲載当時の社名はI社 )のアプリの事を指していたのは、不動産投資家である読者の方であればお分かりになったと思います。

同社は営業担当者による資料の改竄について、社内で詳細を調査中とのことですが、先日のスルガショックのようにならないか、動向を見守っている方も多いと思います。

■ お気軽投資の問題点

他にも同じような改竄があったのか、騒動がますます拡大するのかは、今後の調査結果を待たなければ分かりません。ただ、私たちはこの件から不動産投資をする上で大切なこと学ぶことができます。

私はこれまでも、この様なサービスを使って不動産投資を推し進めることは、

@投資家自身にノウハウが蓄積されないこと
A取り扱っている物件のエリアに問題があり、収益が上がらないリスクが大きいこと


の2点から、おすすめできないということを、お伝えしてきました。

@については、不動産会社に投資プロセスを「 丸投げ 」する仕組みになっていることが問題です。T社のアプリはあくまで集客ツールであり、営業担当者とコミュニケーションをとると、基本的には営業担当者の提案に乗って投資していく流れになります。

投資希望者が大体の希望条件を伝え、営業担当者が投資案件をピックアップし、案件を持ってきてくれるのです。このやり方ですと、自分で主体的にエリア選定から物件探しをする投資家とは、蓄積されるノウハウに大きな差がつきます。

提案するT社側は、融資がつきそうな顧客( 自己資金が多い、年収や貯蓄額が多い、属性が高い等 )から、仕入れた新築アパート案件を持ち込みます。不動産投資への熱意やノウハウは関係なく、融資が付きやすい人が先に、投資物件を購入していく事になります。

こうした「 受け身 」の姿勢で始めた投資は、読者の皆さんのご想像の通り、成功確率も低いでしょう。

■ 立地も微妙な物件が多い

また、Aの物件の立地の問題も深刻です。私が同社のアプリで東京都内で物件を探してみると、東部のマイナー私鉄沿線駅の物件ばかり出てきました。

かぼちゃの馬車物件も足立区に集中している、という報道がありましたが、T社の物件も、いくつかのエリアに集中して建っている可能性があります。

それらのエリアでは、新築アパートの供給過剰を引きおこしていると想定され、T社で投資をしたオーナーも供給過剰エリアに建ててしまっている可能性があります。

もともとの賃貸需要が多いエリアでの「 供給過剰 」であれば、広告費を多く出したり、営業を熱心に行って力技で空室を埋めることもできます。また、しばらく保有した後、空室を埋めたうえで売却する手段も選べるでしょう。

しかし、そもそも「 賃貸需要が少ないエリア 」では、そうはいきません。元々需要が少ないところに、新築アパートが建ちまくったら、結果は火を見るより明らかです。融資書類改竄の調査結果がどうであれ、今後、経営に苦しむオーナーさんが出現することになりそうです。

アプリで不動産投資のハードルを下げて投資をさせていることもあり、持ち主は不動産投資へのこだわりは低いと予想され、早々に売却に出すオーナーさんも出てくるのではないでしょうか。

■ おいしい話は向こうからは決して来ない

T社の販売した物件には、まだ懸念点があります。先日、とあるネットメディアで、同社の紹介した物件の利回りが、高額の諸費用を含まないで算出した利回りを表示したものであり、紹介時と契約時とで大きく利回りが異なっていた、というような報道がされました。

これが本当だとすれば、投資したオーナーさんの財務状況は一層深刻です。7%の利回りの物件に投資するつもりが、実査には5%そこそこの利回りで投資していたとなれば、経営が行き詰まり、物件を投げ出すのは、もっと早い時期になるかしれません。

また、万一、更なる融資書類の改竄が行われていた場合、収益基盤のより弱い投資家が同社物件を購入していたことになるため、投げ売り、経営破綻する投資家の数は、増える事になるでしょう。そうすると、今は静かでも、第二のスルガ並みの問題に発展していくかもしれません。

こうした落とし穴にはまる危険は、不動産投資のみならず「 投資 」を少しでも考えている方であれば、誰にでも存在するものです( 私自身を含め )。では、これを避ける方法は何でしょうか?

私は、これは一つしか方法が無いと思っています。それは、「 おいしい投資話は、決して向こうからはやってこない 」と強く認識しておくということです。

今回の事案に限らず、様々な金融商品の誘いが、投資家には降りかかります。そのどれもが、相手( 投資をしようとする人 )のプライドをくすぐるようなセールストークで、「 自分は重要人物=だからこういう特別な投資話を掴めた 」と( 誤って )認識させ、投資判断基準を緩める手法を持っています。

しかし、本来ならそういう美味しい話は、絶対に向こうから歩いてきませんし、相手がセールストークをしてくるのは、必ず理由がある、ということを忘れないことが大切です。

最近、特定の職業( 士業等 )をおだて、投資に誘導するようなマーケティング手法が目立ちます。投資商品を売る企業は、融資が付きやすい属性の顧客を常に探しています。

そのような被害にあわないためには誰もがお金について「 主体的 」に学び、自分自身で判断することが重要だと思います。

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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 徳田文彦さん

tokudasan

東京在住

□不動産投資家
□企業向け戦略コンサルティング

■ 経歴

□1974年生まれ

□1999年
慶應義塾大学卒業後、同大学院修了

□2006年
大手広告会社に勤務しながら不動産投資を開始

多忙な合間を縫って効率的な不動産投資方法を追及した結果、エリアを厳選して高い入居率を見込める物件を購入し、 入居者募集や管理業務を徹底して効率化する投資手法に到達する

□2013年
サラリーマンをセミリタイア

□2014年
サラリーマン卒業後は、企業への戦略コンサルティング業務に従事

■ 著書

徳田さん本
5年で引退できるセオリー破りの不動産投資(ぱる出版)

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