こんにちは、富沢ウメ男です。ワタクシは大家ですが、宅建業者でもあります。それもあって、不動産投資で規模拡大をしていく予定の方には、「 宅建業をとればいいのに 」と感じることが多いです。
今回は不動産投資を事業として捉え、規模を拡大していきたい大家さん向けに、宅建業者になることに関するお話をしたいと思います。
■「 宅建士 」になることと「 宅建業者 」になることは別
先日、不動産投資初心者の方々と話す機会があったのですが、その中に「 宅建業 」の意味を勘違いしている方が多くいることに気づきました。大家さんの中にも誤った認識を持っている方は少なくありません。
何を勘違いしているかというと、「 宅建士( 宅地建物取引士 )」の試験に受かっても、「 宅建業免許 」を持っていない限り、不動産投資家のやれることはほぼ変わらないのに、試験に受かることに大きな意味があると思っている人が多いのです。( 不動産会社の社員ならこの資格をとることでできることは増える )
皆さんもご存じの通り、宅地建物取引士になるためには、都道府県知事が行う試験に合格し、その都道府県知事の登録を受け、宅地建物取引士証の交付を受けることが必要です。
しかし、「 宅建士 」の資格を得ても、業者として不動産を売買できるようにはなりません。
「 業者 」になりたいなら、その次の手続きとして、最寄りの供託所へ営業保証金として1,000万円の供託金を収めるか、宅建協会の組合に加入して開業することが必要となります。
1,000万円!?と驚くかもしれませんが、協会の組合に入る方法なら、最近は150万円程で足りると思います。高齢化などで宅建業者を辞める人が多く、協会は組合員の減少に困っています。そのため、加入金の値引きキャンペーン等が行われているところも多いのです。
また、新規で開業するのではなく、すでにある宅建業者を買う方法もあります。ワタクシは実際に、宅建業を辞める予定の年配の社長さんから宅建業の会社の譲渡を受けました。
「 不動産屋を買えるのですか? 」と驚かれることがありますが、買えます。私は開業するときに宅建協会に電話をして、「 辞める会社さんはないですか? 買わせてもらえないですか? 」と訊いて、紹介を受けました。最近は、M&Aの専門サイトもあるのでそこで探すことも可能だと思います。
いくらで買えるかですが、基本的には先方から希望金額を提示されます。それが妥当かどうかをはかる基準の一つに、EBITDA(※)というものがあります。M&Aの指標で、投じた金額を何年で回収できるかを試算できるものです。
※業価値評価の指標で、利払い前・税引き前・減価償却前利益( Earnings before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization )のこと。簡便には営業利益に減価償却費を加えて計算する。(
野村証券HPより )
価格は、昔から営業している不動産屋さんで管理部門を持っていたりすると高くなります。しかし、管理物件を持つ不動産屋さんを購入すれば月々の管理費がすぐに入ってきますので、そういう会社をあえて買うのもアリでしょう。
もちろん、新規で開業する方法でもなんら問題ありません。ただ、自ら開業すると許可が出るまで半年かかりますが、すでにあるものを購入すればすぐに開業できるので、半年も待てない人は検討するといいのではないでしょうか。
注意点ですが、中には簿外債務がある会社もあり、引き継いだ会社がそれを背負わないといけないケースもあるので事前に必ず確認してください。
■ 不動産をやるのに、なぜ不動産屋にならないのですか?
「 仕入力を磨くために、不動産会社に就職するのはどうですか? 」と訊かれました。それも悪くないものの、それよりもやはり、開業の方がいいと思います。
大手の会社では仕入れを専門にやっている部署もありますが、一般的な不動産屋では仕入れは社長が一人でやっているものです。経営者からすれば、いい仕入れの方法、飯のタネは教えたくありません(笑)
自分が代表になり小さい案件でもいいので買い続けることにより、いい情報が集まってきます。物件情報を出す側の業者さんから見ても、一人社長の会社は、買う/買わないを電話一本で判断してくれるため、効率がいいというメリットがあります。
ここも勘違いしている人が多いのですが、業者になったからといって、大々的に店を構えたり、社員を雇ったりする必要はありません。物件を仕入れて売るだけなら一人でも可能です。
実はワタクシも「 売主 」以外はやらないと決めています。宅建業というと不動産仲介業を思い浮かべると思いますが、そうなると不特定多数を相手にすることになりますし、なかなかハードな面が多いのです。
例えば、仲介業者さんは通常、ずっと走り続ける必要があるため、休みを多くとれません。途中で高額な物件も少額な物件もやる作業は一緒ということに気付き、段々と高い物件ばかり売るようになり、そうなると責任もプレッシャーも半端ではなくなります。
一方、売主であれば利益を自分でコントロールできるため、物件の高額/低額は関係なく取り扱うことができます。やることは少ないのに、仕事のチャンスは狭まりません。
そのことに気付いたのは、ワタクシが不動産屋で勤め人として仲介業をやっていた時、今のワタクシのように一人不動産屋で売主に特化して商売をしている人に出会ったのがきっかけでした。
その人は「 最近仕入れた広大な土地を分譲するので、土地の区割りを考えてくれ 」とお店を訪れました。「 この土地の区割りでいくら儲かるのですか? 」と聞いたところ、「 一つ売ると約1,000万円の利益だよ」と言います。
その区画は10以上あったので、トータルでは1億円以上の利益です。すごいなーと思い、社員の数を訊いてみると、なんと「 自分一人だけ 」と答えるのです。
「 なんと、おいしい商売なのか! 」と思い、自分も目指すことにしたのでした。( そして今に至る )
今回は、大家さんは不動産屋さんになった方がいいのか、という話を中心にさせていただきました。もちろん、甘くない世界ですので、誰にでもおすすめできるものではありませんが、どなたかの参考になれば嬉しく思います。
そして、大家で宅建業者でありながらそこそこ時間があるワタクシは、相変わらずyoutubeをがんばっています。芸人時代の先輩の千原せいじさんとコラボした動画を先日アップしました。ぜひご覧ください!
それでは、ご機嫌うるわしゅう〜♪