雨漏りは、中古物件購入時の代表的なリスクの一つです。物件購入前に、雨漏りの有無をチェックし、雨漏りしていることに気付かずに物件を購入しないよう注意することが大切です。
ポイントとなるのは、雨漏りに気付いたあとの対処です。雨漏りが見つかったらその物件は買わない方がいいと考えるのが通常でしょう。しかし、私は、そうではなく、「 雨漏りしていることを価格交渉の材料として積極的に捉えていく 」という考えでその物件に向き合います。
もちろん、事前に職人さんやリフォーム会社さんによる現場確認を行い、雨漏りによる被害の程度と修繕するためにいくら必要か?ということを確認しておく必要があります。つまり、「 コントロール可能な範囲内の雨漏りリスク 」に限って、意図的にリスクを取りにいくのです。
■ 物件購入前に修繕費を確認する
一言で雨漏りと言っても、修繕するために莫大な費用がかかるものもあれば、数万円程度で済んでしまうものまで、その程度の差はさまざまです。
ですから、初回の物件調査時に天井部分等に染みが付いている等、雨漏りの形跡を確認したら、案内してくださった売買仲介さんに協力してもらい、その雨漏りの程度を確認できるようにすることが大切です。私は次のようないい方でお願いしています。
「 前向きに検討したいので、後日改めて室内を見学させていただけませんか? 次回はリフォームの見積りのため、知り合いのリフォーム会社さんにも同行してもらっても構わないでしょうか? 」
その後、大工さんやリフォーム会社さんへ事情を説明して、物件調査に同行していただけるようお願いしてみます。たいていの大工さんやリフォーム会社さんは、将来的な工事の受注につながる可能性が高いことから、無料で引き受けてくださるでしょう。
初心者の方等で、より丁寧な説明を受けたい場合や、調査内容を書面で残したい場合は、有償になりますが、インスペクターへ調査を依頼されても良いと思います。私も、1棟目のマンションを購入した際は、長嶋修先生のさくら事務所さんにインスペクションをお願いしました。
■ 修繕プランを正確に把握する
雨漏りの修繕といっても、簡易的な応急処置から抜本的な修繕まで、その修繕プランには必ず幅があります。
例えば、漏水箇所にコーキングを施すといった、その場しのぎの簡易的な工事( 例えば1万円 )でも、古い屋根材を全て撤去し下地の木材をやり換えた上で防水シートを再施工し新品の屋根材を再施工するというような抜本的な工事( 例えば100万円 )でも、素人目には、どちらも同じように雨漏りが直ったように感じます。
しかし、例えば、修繕後わずか3カ月で「 コーキングしただけなので再度雨漏りしてしまいました 」というようなことになってしまっては困ります。
ですから、先ほどの項目でお伝えしたように、雨漏り物件を購入する際に見積りを依頼する場合は、必ず、簡易的な修繕ではなく、抜本的な修繕を行うための見積りを取得するようにしてください。
具体的には、大工さんやリフォーム会社さんに対して、次のように質問してみると、いいでしょう。
「 この物件の雨漏り修繕ですが、松・竹・梅でいうと、それぞれコストはいくらくらいで、どんな工事内容が考えられますか? 」
「 例えば、向こう10年、絶対に雨漏りを発生させない工事をするためには、コストはどの程度掛かりますか? 」
職人さんやリフォーム会社さんとある程度の信頼関係が出来ている場合は、その場で次のような回答が得られると思います。
「 松プランで**円くらいです。竹プランで**円くらいです。梅プランで**円です 」
「 絶対10年もつという保証はできませんが、自分の経験からして**円かけて頂ければ、10年どころか15年は持つと思いますよ 」
不動産投資成功の秘訣は、職人さんやリフォーム会社さんに対して、一方的に、過度な補償や完璧を求めすぎないことです。
我々は不動産投資という事業を行う事業者です。事業にはある程度のリスクが付き物です。投資家向けの割安な価格でリフォーム工事を発注したら、その分のリスクを発注者側も引き受けなければならないということを冷静に認識する必要があります。
初回見積り金額に対して値引き交渉を行った場合は特に、その意識を持つことが大切です。一般の施主さんが、相対的に割高な対価を支払ってお客様として自宅のリフォームを行うのとは前提条件が根本的に異なるのです。
~次回に続く~
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