前回お伝えした『 低コストで空室を解消する方法。モデルルーム化の工夫と注意点 』はいかがでしたか? 今回は、『 はじめてのボロ物件投資 』シリーズの第9弾「 賃貸営業 」についてお伝えしていきます。
どんなに良い物件でも、入居者へ適切にアプローチ出来なければ収益を生むことはできません。私の実例を元に、効率よく結果を出せる入居付けの方法をお伝えしていきます。
1.ボロ物件投資って何?
2.良いボロ物件と悪いボロ物件
3.ボロ物件マーケティング
4-1.激安リフォームのコツ( 電気まわり )
4-2.激安リフォームのコツ( インフラ )
5.激安リフォームのコツ( 水回り )
6.激安リフォームのコツ( 床・壁・天井 )
7.激安リフォームのコツ( 電気・照明 )
8.心を奪うモデルルーム化
9.賃貸営業←今回はココ!
10.特約事項で安定運営
■ 9. 賃貸営業
◯「 FAX1枚 」で賃貸営業の半分が完了する
「 空室が埋まらなくて困っています 」
「 新築完成後半年経っても3割しか入居が決まりません 」
最近、こんな相談を受けることが増えてきました。一言で空室が埋まらないといっても、その原因は様々で、画一的に「 こうすれば空室を埋められますよ 」ということはできません。しかし、空室が埋まらない原因は大きく2つあると私は考えています。
1つ目は、物件には問題がないけれども、賃貸営業の方法に問題がある場合です。その場合、「 募集条件書 」という紙を用意し、近隣の全賃貸仲介さんにFAXを送信することですべき仕事の半分が完了してしまいます。
言葉で「 FAXを1枚送信するだけ 」と書くと、とても簡単なことのように見えますが、それができていない人は多くいます。なぜなら、実際にやろうとすると、様々な問題を乗り越えていく必要があるからです。
例えば、私のおすすめはなるべく多くの賃貸仲介さんへ同時に、並列的に賃貸仲介の依頼をかけていく方法ですが、「 特定の一社と管理契約を結んでいるからそれはできない 」といってそれを拒む大家さんが少なくありません。
「 契約上の縛り 」や「 人間関係上のしがらみ 」で、大家自ら不特定多数の賃貸仲介さんへ自由に募集依頼をかけにくいというケースですね。これは、地方で特に多いようです。
そのような場合には、既に管理を依頼している会社さんと相談し、管理会社さんを通して同業他社さんへ客付けを依頼してもらうなり、多数の賃貸仲介さんへ依頼をかけられるよう「 縛り 」を緩めていく必要があるでしょう。
実際に今のやり方で埋まらないという問題があるのに、ここを乗り越えられずに( 「 お世話になっているから言いにくい 」という人が多いことに驚きます )、空室問題を抱え続けている方が意外に多いように感じています。
◯ 残りの半分は、泥臭い営業活動がモノをいう
不特定多数の賃貸仲介さんへ募集条件書を送付することも大切ですが、ただ単にFAXをばら撒いたからといって、それで自動的に入居付けができるわけではありません。募集条件書の内容にも工夫が必要ですし、その後のアフターフォローも大切です。
例えば、募集条件書に「 広告料0.5カ月分 」と書くより「 広告料1カ月分 」と書く方が有利に決まっていますが、その後店舗へあいさつに行かない、電話もしないということでは、いざ入居希望者さんが店頭へやってきても、自分の物件を優先的に紹介してもらうことは難しいでしょう。
キモに命じてほしいのは、「 自分の物件は他の何百・何千という物件の一つに過ぎない 」ということです。この事実を頭の片隅に置きながら、営業マンさんの利益になるよう、自分の物件を売り込んでいくことが入居付けのポイントです。
営業マンさんだって一戸でも多く成約させて成績を上げたいはずです。「 そのために自分の物件がお役に立てますよ 」という発想で賃貸仲介さん接するようにすれば、自ずとすべきことが見えてきます。
「 この営業マンさんは給料制だから個人広告料を支払おう 」
「 この賃貸仲介さんは小規模だが経営者なので、広告料だけではなく、賃貸仲介以外にリフォームの見積もりも同時にお願いしてみよう 」
という風に、相手の立場に立って考えてみることで、とるべき手法も違ってくるはずです。様々な意見があると思いますが、効果を得るという意味では、このやり方は実践的です。
◯ 適切にリフォームされていない物件は入居付けできません
2つ目は、物件のリフォームに問題がある場合です。例えば、設備が競合物件と比べて見劣りする、原状回復工事が不十分なため前入居者の生活感が残ってしまっているなどのケースです。
このような場合は、適切なコスト管理の元で物件に応じたリフォームを行えばある程度問題を解決することができます。コストをかけずに効果的なリフォームを行う方法については、過去のコラムや脇田の書籍に具体的な方法を記載していますのでそちらを参考にしてください。
リフォームの問題ではなく、立地や騒音・振動など外部環境が原因の場合は、そのマイナス要因を比較的気にしない層にターゲットを移す対策を取るか、そのマイナス要因を補えるだけの家賃や初期費用、付帯設備面でのメリットを提供するといいでしょう。
埋まらない空室はありません。しかし、何もしないで「 いつか埋まるだろう 」と思っているだけでは、ずっと空室のままかもしれません。大切なのは、昨日までやっていなかった何かを実行することです。
空室を抱えて困っている方に、営業に行くことをすすめると、「 でも、大家が営業に行っても相手にされず、効果がないと聞きました 」と答えた方がいました。もちろん、地域性などによって、効果は異なるでしょう。しかし、私や私の仲間たちはこの方法で実際にうまくいっています。
「 魔法 」のように空室が埋まる方法など、存在しません。上記のような具体的な行動を起こしながら、自分と物件に合ったやり方を探す先で、満室経営が可能になるのです。
〜 次回に続く 〜