前回に続き、「 リフォームを低価格・高品質で行う方法 」について、ある大家さんからいただいた質問を題材にお伝えしていきます。
【 質問 】
所有している戸建ての入居が決まらず困っている2代目大家です。
不動産会社さん曰く、「 トイレが和式なので入居者さんに敬遠されています。洋式化しましょう 」とのこと。
そこで見積もりを取得したところ45万円近い金額が記載されていました。脇田さんの1冊目の本に「 和式トイレを10万円で洋式化した 」と書いてありましたが、リフォーム会社さんは「 その値段ではありえない 」と言います。
少しでも安く工事したいのですが、アドバイスをお願いできないでしょうか?
【 脇田の回答 】
前回お伝えしました「 入居者さんが求める設備 」をイメージできたら、次は、実際にリフォーム工事を発注していきます。
とは言っても、普通に「 リフォーム会社さん 」や「 不動産会社さん 」へ工事をお願いしていては「 低価格 」で工事を行うことはできません。
リフォームを低価格で行う一つのコツは、「 職人への直発注 」を行うということなのです。
「 職人への直発注 」ってどういうこと? と思われる方も多いかもしれません。職人さんというのは、リフォーム工事の現場で実際に作業をされている方のことです。通常、リフォーム工事を行う場合、下記の順序で仕事が発注されていきます。
パターン1:大家→リフォーム会社→職人さん
パターン2:大家→不動産会社→リフォーム会社→職人さん
私がおすすめする「 職人への直発注 」とは、間に入る業者さんを、発注者のスキル・能力・時間的余裕等に応じて「 無理のない範囲 」で省略し、低コスト化を図るということなのです。具体的には次のような流れになります。
■ 和式トイレの洋式化工事の場合
< 大家が自分ですること >
○導入する便器等設備品の選定・購入・発送手配
・楽天やヤフーオークションで手頃なリフォーム用便器を大家が自ら選定。
・便器には、新築用とリフォーム用( 配管位置を現場に合わせて調節する機能が付いている )があるので注意が必要。
・現場へそのまま送ると良い。
・現場に適合するかどうか不安な場合は、「 TOTOの****という型番の便器、ウチの現場に合うか確認してもらえませんか? 」といった具合で大工さん等へ依頼する。
< 大工さんにお願いする作業 >
○既存和式トイレの解体&産廃処分
・便器が一段高くなっている場合は床面の解体も含む
○床面&壁面仕上げ
・解体した床面に根太を施工しコンパネを敷く( 移設した給排水管はコンパネを切りぬき床上に顔を出しておく )
○新しい洋式便器の取り付け
< 給排水管職人さんにお願いする作業 >
○給排水管の位置変更
・和式トイレと洋式トイレでは、給排水管の位置が異なる場合があるので調整が必要
<クロス職人さんにお願いする作業>
○クロス&床材施工
・床と壁のコンパネに仕上げのクロスやクッションフロアを施工
・温水洗浄便座等を導入する場合で、コンセントがない場合は、電気職人さんへコンセントの新設を依頼
いかがでしょうか? このように、大家が職人さんに直接作業を依頼する方式には、コストが大幅に削減できるという長所があります。しかし、一方で、お気づきの通り短所もあります。
それは、通常リフォーム会社さんが行ってくれる、「 工事の工程管理 」や「 設備品の手配 」等、さまざまな作業を大家が自ら行わなくてはならないということです。
例えば、今回の「 和式トイレの洋式化 」の場合、通常であれば、リフォーム会社さんへ「 この和式トイレを洋式化してください 」と伝えるだけで、「 あとはすべてお任せ 」できました。
しかし、職人への直発注を行う場合、導入する便器や便座などの選定、購入、現場への発送、各職人への手配などを大家自ら行う必要があります。
このコラムをご覧いただいた皆様には、是非、無理の無い範囲で、職人さんへの直発注に挑戦していただければと思います。コスト削減と同時に、大家業遂行にあたって必要となる貴重な知識やノウハウを獲得できるはずです。きっと楽しいですよ。
〜次回に続く。お楽しみに〜
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