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頭が痛い「騒音トラブル」。最近の事例と大家さんができる現実的な対応

山村暢彦さん_画像 山村暢彦さん 第48話 著者のプロフィールを見る

2023/3/16 掲載

さて今回は、「 頭の痛い不動産トラブル 」がテーマです。弁護士でも頭を抱えてしまうようなトラブルについてお話しできればと思います。

当事者同士で話し合っても解決できない「 終局的解決機関 」が裁判所ですので、弁護士のもとに持ち込まれるご相談はなかなかタフなものが多いのですが、「 裁判所を利用 」しても解決しづらい問題もあります。

相談者さんは困っているので、何とかしてあげたいと思うのですが、それでも解決策が見つからず、正直なところ、頭を抱えてしまうものもあるのです。

令和5年民法改正で、「 所有者不明土地 」への対策がより明確になりましたが、従前の制度でも、「 お金と時間を使えば解消できる 」ようなものなら、見通しがつくのでよいのです。

問題は、時間と手間をかけても解決できない問題です。そういうものが、世の中には多々あります。

1、騒音トラブル

頭を抱えてしまうトラブル第1位は、やはり騒音トラブルです。大家さんですと、入居者間の騒音トラブルを経験したことがある方は、たくさんいるのではないでしょうか。

騒音トラブルで、裁判所でできることはおおむねこの二つになります。

1)「 騒音被害を訴える人 」側から相手に対して慰謝料の請求を行う
2)相手が「 騒音を出すことに留まらず、警察沙汰レベルの迷惑行為 」にまで発展したら、追い出しができる

加えて、本当にトラブルなのか見極めが難しいようなケースも増えています。「 一般的な生活音レベル 」なのに、「 騒音 」だと近隣で被害を訴える人がいるというトラブルです。

これはコロナで自宅勤務の人が増えたことが関係している印象です。また、コロナとは関係なく、裏手の自宅所有者が引退して自宅にいる時間が増えてから「 騒音苦情 」が頻発するようになった、なんてケースもあります。

いつぞやのニュースでも、公園での子どもの遊び声がうるさい、なんて問題も生じていました。家で過ごす時間が長い人が増えると、騒音トラブルはひどくなっていくのかもしれません。

基本的に、騒音時に対処できる事柄とは、被害を受けている側から相手に対して行うものになります。逆に、騒音の加害者とされる側から、「 何か打てる手がないか 」と言われると非常に困ったことになります。

現実的には、まずは騒音計で音を計測して、「 本当に騒音を出していない 」というエビデンスを残しておく必要があります。

ただ、それ以上に「 騒音冤罪 」側から何か手が打てるかというと、「 騒音がなかったこと 」「 慰謝料請求権がないこと 」という裁判を提起することが理屈上考えられますが、実際上のコスト的な問題から難しいでしょう。

裁判というのは、「 お金を払え 」といった請求が基本になり、給付訴訟という類型で提起されることが多いです。本来請求を受ける側から先んじて、「『 慰謝料を払えという権利 』がないこと 」を相手に確認する確認訴訟という類型で提起するということは、理念的には考えられます。

ただし、確認訴訟では、「 そんな変則的な訴訟までやる意味ないでしょう 」という「 訴えの利益 」という要件で裁判所が受け付けてくれないことが出てきてしまいます。

つまり、自分に身に覚えのない騒音について、ちくちくと苦情を言われても、それに対抗する法的手段というのは現実的には非常に難しいというわけです。

また、入居者さんではなく、大家さんや管理会社さんから騒音問題の相談を受けることもあるのですが、これも困った状態になります。どちらの入居者が常識的な主張をしているのかの判断がつかないためです。

本当に騒音を出している方がうるさいのか、騒音苦情を申し出ている側が気にしすぎていて過剰主張をしているのか、こちらとしては判断することができません。

現実的には、管理会社・大家側が騒音計を使うなどして事実確認をした上で、両者に説明や注意を行い、「 これ以上は何ら対応できない 」と伝え、沈静化するのを待つほかないのではと思います。

このように、裁判所や弁護士でも解決できないトラブルというのも意外と多く存在します。( 騒音に限った話ではありませんが )。

2、共同住宅内か、外部との関係か

今回のような騒音問題は、アパートやマンション等の共同住宅「 内部 」での問題であれば、最悪、どちらかが引っ越しして事実上解決するという可能性もあるかもしれません。

ただ、相当な費用も発生しますし、問題の騒音加害者が残ってしまい、優良な住人が転居していってしまう、というリスクもあります。

また、外部との関係で「 騒音苦情 」が寄せられるのも困ります。住宅レベルですと、せいぜいリフォーム等の工事の時くらいだと思いますが、それをきっかけに険悪になり近隣トラブルが発生することが実は少なくありません。

住居関係とは別になりますが、解体業者や工場等に対して、法的な規制を遵守していても苦情が寄せられるということもあります。そうなると事業者は非常に対応に苦慮することになります。

3、まとめ

今回は、「 頭の痛いトラブルその1 」として、騒音トラブルについて、比較的フランクにお話させていただきました。次回は「 近隣トラブル 」についてご紹介できればと思います。

トラブル解決の一助になりたいと思って弁護士になったのですが、弁護士でも解決ができないトラブルに直面するのは、なかなかどうしてつらい気持ちになってしまいます…。

最後にお知らせです。下記のように、不動産大家さんのトラブル専用のホームページを公開しています。興味がある方はブックマーク等お願いいたします!( ※おそらく、自然検索では辿り着かないと思われます・笑 )

https://fudousan-ooya.com/

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※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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プロフィール

山村暢彦さん

山村暢彦さんやまむらのぶひこ

弁護士
不動産投資家

不動産・相続の法務に精通した、スペシャリスト弁護士。不動産投資・空き家活用・相続対策などのセミナーで講師経験も多数有している。不動産・相続をテーマとしたFMラジオにも出演。

プロフィールの詳細を見る

経歴
  • 祖父母の代からの大家の家系に生まれる。
    古い借家で家賃滞納などのトラブルを経験し「不動産・相続」の悩みを解決したいという思いから弁護士を志す。
    自身でも築古戸建を購入し、大家業の経験を積むなど、弁護士の枠内に収まらない不動産の知識と経験を有する。

    多数の不動産会社の顧問弁護士を務めており、また、そのネットワークから建築・リフォーム会社、運送会社等の顧問先企業の数も増加している。
    昨今、「働き方改革」の反面、労働トラブルが増える中で、企業側の労働者問題の対応が増加しており、企業研修などでは「副業」について話す機会も増えている。

    趣味はウイスキー、読書、靴磨き。
    大勢でお酒を飲むのも好きだが、一人の時間を作り、頭の整理をする時間も好き。
    好きな言葉は、「運と縁」。

    山村法律事務所
    神奈川県横浜市中区本町3丁目24-2 ニュー本町ビル6階

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