皆さん、こんにちは、満室研究所所長の山岡清利です。実は、私の物件は5年前から「 禁煙特約 」をつけて募集していいます。大げさなものではなく、特約入居者は家賃を月1,000円値引きするというものです。
従来との違いとしては、入居前に室内のヤニが蓄積しやすい部分を予め撮影しておき、入居者には、「 入居前画像を撮影してあります 」( 場所は秘密♪ )と伝え、禁煙ルールを破ったらペナルティーを課すことを伝えます。
もちろん、訪問客が室内で吸うのも一切禁止です。スタートから5年以上が経過し、徐々に効果が表れてきましたので、今回は私の禁煙物件のお話をさせていただきます。
■ 北海道の喫煙者多すぎ!!
私の物件が建つ北海道は、喫煙天国です。厚生労働省が2017年に公開したデータによると、都道府県別喫煙率が最も高いのは北海道!過去6回連続ダントツの1位という成績なのです(; ̄Д ̄)
「 どうりで退去立会をすると、ヤニ部屋が多いわけだわ・・・ 」
換気口も長年にわたり燻され黄ばみが目立つ状態に
タバコの煙は室内を黄ばませます。特にプラスチックや樹脂部分にヤニが蓄積しやすく、ゆっくりと、しかし確実に部屋を古ぼけた雰囲気へと変えていってしまいます。
毎度毎度、ヤニに蝕まれた自分のアパートを見ることに辟易し、「 もう喫煙者に部屋を貸すのは止めよう! 」と決断した事を昨日のように覚えています。現在は常に、募集する時は「 非喫煙者 」を対象としています。
このルールを定める前から入居されている方とは「 禁煙特約 」を交わしていないため、現段階で完全に禁煙物件とは謳えないのが辛い所ではありますが、この5年間に入居されるお客様は全て非喫煙者。「 禁煙物件を探していた 」と言う方もいらっしゃいました。
■ 室内喫煙の問題
日々室内で喫煙すれば、ヤニ汚れが蓄積し、原状回復費がかさむ事になります。喫煙入居者が、適切に換気をしながら喫煙をすれば問題は少し小さくなりますが、どうしても壁紙は黄ばみ、煙の臭いは室内に染みついてしまいます。
照明、インターフォン、火災警報器、ガス警報器などのプラスチック・樹脂部分にもヤニが染み込みます。電気系設備のコンセントコードなども徐々に薄汚れて見苦しくなるのですが、こうした部分は気軽に交換もできず、とても厄介です。
更に結露対策や換気として、水回りの換気扇を長時間回している部屋では、居室の煙を常に吸い込むため、どんどんいぶされて、ユニットバス壁、パッキン部分までもが汚染されます。
副流煙問題も無視できません。喫煙住人が窓辺で喫煙した場合、煙が隣の部屋や上の階に流れ込む事で、表だって苦情を入れなかったとしても、嫌気がさしたお客様が退去してしまう可能性もあります。
■ 禁煙者限定物件の問題
もちろん、デメリットがまったくないわけではありません。新規申し込みの段階で、「 喫煙者は入居お断り 」とすれば、募集段階でフィルタリングされ、集客力の低下は免れられません。
契約時には、仲介スタッフに禁煙特約の説明をしてもらう必要があるため、手間が増えます。「 この部屋は面倒だから紹介を止めよう 」「 後々クレームになると面倒だ 」と仲介スタッフから敬遠されて、紹介され難くなる事も考えられます。
エアコンのプラ/コンセント樹脂部分のヤニ沈着
■ 部屋が綺麗な状態で帰って来る!
しかし! 私はこの禁煙特約を取り入れたことを、後悔したことはありません。禁煙特約を入れてから、物件の原状回復費は大幅に減っています。ヤニの臭気被害は解消し、ヤニによるプラ・樹脂汚染もなくなりました。
ユニットバスのヤニ汚れ被害も激減しました。ユニットバスのリメイクや塗装など、高コストな工事は皆無、清掃だけで次のお客様へお貸しできるようになりました。
壁紙の貼り替えも少なくなりました、壁紙などは消耗品ですので、汚れたら貼り替えれば良いのですが、貼り替えが少なくなるという事は、下地である石膏ボードのゆがみや反り、表面の保護につながりますので、できるだけ貼り替えは少ない方が良いわけです。
厄介な浴室ドアのパッキン部分のヤニ沈着
煙のダメージはある日突然汚れるのではなく、日々徐々に目に見えない形で進行して行くので表面化し難く、オーナーとお客様との間でトラブルが生じる要因にもなります。
適切に換気をしないで喫煙した事により、酷いヤニ汚れを出した場合などは、善管注意義務違反に該当します。しかし、色素沈着したヤニ汚れなのか、経年劣化なのか、判断が付かない汚れもあります。
そういう時に、「 元々こうだった 」「 前の入居者の痕でしょう 」と、退去精算でもめる事も多かったのですが、禁煙ルールを設けて以降、そんなこともなくなり、非常に運用が楽になりました。
■ まとめ
運用してみての実感ですが、喫煙率日本1位の北海道でも、確実に禁煙物件は支持されていますし、今後もますますニーズは強まると思われます。現に非喫煙者からの問合せは増えています。
禁煙特約を入れた当時は、管理担当にも仲介スタッフにも、「 それは難しいんじゃないですかぁ~ 」と言われ弱気になった時期もあったのですが、禁煙物件を作って良かったです♪
今後、禁煙特約以前からお住まいの方々と新しい方とで新陳代謝が進み、私のアパ―トが完全禁煙物件になるのが楽しみです。次回もお楽しみに~(^_^)/