壁紙だけではなく、建材全般も、ガソリンや作業に関わるこまごました物も値上がりしています。職人さんの高齢化などで人工代も上がりつつあり、今まで通りの感覚で、原状回復を行えば賃貸経営を圧迫する事は容易に想像できます。
一緒に家賃もドーン!と値上げできれば楽なのですが、それは難しいというのは皆様ご存じのとおりです( 苦笑 )。ということで、今日は原状回復費用を抑える事ができる特別な500番無地クロスに関するお話です。
■ 一部分だけ貼り替えしたい場合はどうする?
退去後の部屋の壁紙が次のようになっていたら、どうしますか?
・クロスに染み汚れ、カビ、結露痕が着いている
・クロスが一部破れている
・クロスに釘穴が開いている
・壁に穴が開いている
写真のように、液体の垂れ跡があったり、窓枠の際にタッセルが剥がれた跡があったりすることって、意外と多いですよね。
普通に考えれば、壁紙ですのでこの汚れた部分だけ切り取って、同じ柄の新しい壁紙をパッチ処理( 皮膚移植のような事 )をすれば材料は安くあげられます。
上の写真は、染み汚れ部分だけを切貼りして、同じ壁紙を貼ったものです。キレイになっていますね。ここで注目してほしいのは、壁紙です。
■ 安易に壁紙の張り替えを指示していないか?
写真は全面白系クロスでまとめたお部屋です。こういった部屋を持たれている方は多いと思います。ここで質問ですが、使っているクロスは「 長期継続品 」ですか?
いつか必ず来る退去時に、先ほど例に挙げたような「 壁の汚れ 」をキレイにする工程を踏むことになります。そうした場合、壁紙のパッチ処理ができるかできないかで、原状回復費用が変わってきます。
■ 500番白系無地クロスの秘密
ここからが本題です。今後、壁紙も工事費も値上がりしていくことを考えると、壁紙の原状回復には、「 長期継続品指定の壁紙 」を使うことをお勧めします。
長期継続品とは、サンゲツ、リリカラなど各壁紙メーカーの「 長期継続保障 」のついた壁紙です。メーカーが指定した期限中は絶対に廃止( 廃盤 )にならない強みがあります。つまり、長い将来にわたり、壁紙の部分切り貼りが可能になります。
サンゲツは12種類の壁紙を「 長期継続品 」に指定しています。
リリカラは「 ロングライフクロス 」として、10種類の壁紙を指定しています。
サンゲツは2025年、リリカラは2024年まで継続という文字を見て、「 数年で終わりじゃないかっ! 」と思うかもしれませんが、これは数年サイクルでカタログが差し替えられるためそう書かれているだけです。
そのたびに壁紙の品番が変わるだけで、壁紙自体が変わる事ではありません。例えば、最新のサンゲツのSP2828という壁紙を例に見てみましょう。
<2019-2021年> サンゲツSPカタログの時の品番はSP9501表記
<2021-2023年> サンゲツSPカタログ 今の品番はSP2828表記
<2021-2023年> サンゲツSPカタログ 今の品番はSP2828表記
この二つは品番が違うだけで同じ壁紙です。
商品そのものは継続し、名称( 品番 )が変わっているだけということがわかります。( この先もずっと供給されると断言はできないのが辛い所ですが、継続される可能性は高いと見て良いでしょう )
■ 長期継続品指定の壁紙の活用方法
自己物件のリフォーム時に、この壁紙を日頃から使用していれば、汚れた部分や破けた部分だけを切り貼り( パッチ処理 )する事ができます。
例えばキッチンのコンロ周りなどは調理汚れがつく事も多く、クロス洗浄では汚れが取りきれない事が多いですよね。そんな時もキッチン全体の壁が長期継続品指定壁紙で施工されていれば、数年後でも同じ壁紙を使ってスムーズに原状回復が可能です。
それを考慮せず、「 とりあえず白系の500番壁紙だから、xxxxxで 」「 白系500番でお願い 」と発注してしまうと、廃版になり、原状回復で一部だけ替えた際に、微妙に色合いや質感が違う残念な部屋になってしまいます。
■ 耐クラック対策壁紙もある
リリカラ・サンゲツの長期継続品指定壁紙には、「 耐クラック機能 」が付いたクロスも存在します。クラックは下地の石膏ボードが割れたりずれたりして、壁紙が引っ張られることで発生します。
こんな風に窓枠の四隅などに多く見受けられる
クラックというと地震をイメージしがちですが、窓や扉を開け閉めするわずかな振動が伝わり続けることで下地の石膏ボードの継ぎ目が動き、壁紙に亀裂が入るということもあります。誰にとっても他人ごとではありません。
その点、耐クラック機能付きの壁紙を使うと、通常の壁紙に比べてクラックが発生しにくいため、貼り替え頻度を減らす事ができます。
サンゲツの名称は「 ストレッチ壁紙 」、リリカラの名称は「 耐クラック壁紙 」といいます。長期継続指定壁紙の中でもストレッチ機能付きを選べばさらに安心ですね。
■ まとめ
いかがでしたでしょうか?「 長期継続品指定壁紙 」「 耐クラック・ストレッチ機能付きの壁紙 」を活用することで、原状回復コストを抑えることができそうですね。新築物件でしたら、建築プラン作成時の選択肢にぜひ加えたいところです。
ある大家さんは、自身の物件の白色系の500番壁紙は全て、サンゲツの長期継続品指定壁紙の一つと決め、アクセント部分だけを都度指定としていらっしゃいます。こうしておけば、自己所有物件の白壁紙は全て切り貼り補修が出来る事になります。
壁紙を指定することでお抱えの業者さんや職人さんの在庫管理や施工準備の手間が省けるなど、多くのメリットがあります。
今後、ますます部材の値上げが予想される中、壁紙の選定も見直して部材コストカットを進めていきましょう。次回もお楽しみに~(^O^)/