皆さんこんにちは、満室研究所所長の山岡清利です。繁忙期の真っ只中でが、物件の入居率はいかがですか? 繁忙期ですので、成約もあれば退去もありますよね(泣)。ということで、今日は原状回復時の壁紙補修のプチテクニックをお教えします。
退去後のお部屋で、壁紙の汚れはそれほど酷くないのですが、窓枠の際の壁紙が画像のように人差し指の腹くらいの大きさで、剥がれている事ってありますよね。
この傷の正体は、カーテンタッセル掛け( カーテンのふさかけ )の剥がし痕です。タッセル掛けって両面テープで壁に貼り付けられるものが多いのですが、退去時に取り外そうとすると、壁紙ごとむしり取られてしまうのです。
こうした場合、同じ壁紙や、同ロット壁紙が手に入らないと傷補修ができません。そのため、傷のついている窓枠面前面の張替になってしまいます。しかし、もう一つ別のやり方があります。それは、同じ壁紙を入手してパッチ処理( 壁紙移植 )をするという方法です。
■ 壁紙パッチ処理でコスト削減
タッセル跡のような小さな傷は、傷の部分だけ、クロスを切り貼りする事でキレイに補修できます。イメージ的には皮膚移植といった感じ。傷ついた部分を切り取り、切り取った部分に新しい壁紙を貼り傷を隠すイメージです。
問題は、新たな壁紙をどこから持ってくるかということ。汎用クロスの500番白色は、各メーカーから多く出ていますが、500番白色でも、微妙に色や表面の柄に違いがあります。
何年も前に貼られたクロスの型番を、色味と表面のテクスチャーだけで判別する事は困難ですし、たとえ型番が判明しても、経年劣化と製造時のロットの差で微妙に差が出てしまいます。古い壁紙に新しい壁紙を使ってパッチ処理をすると、色の違いから移植痕が目立つことになります。
■ 移植用の壁紙入手方法
過去施工時と同じ壁紙が手に入らない。こんな時はどうすればいいのでしょうか?
実は、それほど難しいことではありません。比較的小さな傷の分のクロスなら、お部屋の中にいくらでもあります。よ~く部屋の中を観察してみてください。
例えば、こんな場所から入手すると良いですよ。
インターフォンを壁から外すと、配線用の穴がありますので、その周りのクロスを剥がして再利用するのです。インターフォン配線穴よりも、インターフォン本体の方が大きいので、配線穴の周りの赤丸の部分の壁紙を剥いでも機器をかぶせれば隠れます。
後付けの飾り棚( ニッチ棚 )があれば、その裏側のクロスも使えます。
こんなふうに棚を一旦外して移植用の壁紙を剥ぐのです。棚を元に戻せば、剥いだ痕は隠れてしまうので問題ありません。
細めのインターフォンでも、一旦壁から剥がせばこの通り。指差ししている赤丸印のプレートの下には1000番クロスが眠っております(笑)
この1000番クロスは木目のエイジング柄で、元々傷が目立たないタイプですので、ピッタリ柄が合わなくても十分使えます。
他には、こんな場所も移植用素材採りの箇所として覚えておくと良いでしょう。
トイレットペーパーの紙巻の裏側や、少し手間が掛かりますが、シャンプードレッサーの上面ユニットの裏側なども、うまく行けばたくさんパッチ処理用の壁紙が採れますよ♪
■ 実例紹介
写真は実際に小さな傷をパッチ処理して、目立たなくしたものです。元々傷があった事を知っていても中々見分けがつかない状態まで持っていけます。前面の壁紙を貼るよりもずっと、コストも手間もかかりません。
よぉ~~く探せば「 ああぁ、ここにパッチ補修した跡があるね!」と発見できますが、知らなければパッチ処理をした場所を特定するのはほぼ無理といえます。
■ まとめ
「 パッチ処理用の壁紙を見つけるのが面倒だな 」と思った方もいるかもしれませんが、私自身は、このパッチ処理用の壁紙探しは、宝探しのようでとても面白いと感じています。「 ここにあったぞ!」という感じです。
※築年数が古く、何度も壁紙の張り替えを行っている場合は、設備の裏側など、見えない部分だけ古い壁紙になっていて、パッチ処理用のクロスが取れないともあります。
このパッチ処理はコストを削減できますし、壁紙を貼った事がある大家さんならDIYで簡単にできてしまいます。業者さんに施工依頼している方は、このコラムを業者さんに見てもらうことで理解してもらえると思います。
今回は壁紙張替のコストを抑える壁紙パッチ処理( 移植 )の方法でした。
次回もお楽しみに~(^O^)/