「 山岡さんって、札幌の人じゃないのに、なぜ札幌のアパートを買って、札幌に住みついてるの? 」
大家仲間や、セミナーに来てくれた人たちから、そんな質問をよく受けます。
その答えは、北海道が大好きだからです。もとをただせば、私が不動産投資を始めたのは、「 この北の大地に、いつか移住したい! 」という夢を叶えるためだったのです。
今でこそ、札幌に住み札幌で大家をしている私ですが、もともとは福島県のど田舎町の出身です。高校卒業後は東京で就職して労働力投入の日々。しかし25才の誕生日に、当初の予定通りに辞表を提出しました。そのときの貯金額30万円! 我ながら無謀でした( 笑 )
「 この先、どうしようかな~ 」と考えていたある日、電車の中で『 SPA 』を拾いました。「 インターネットが世界を変える! 」という記事にあった「 パソコン1台あれば起業できる 」という文章を読み、「 これ、やろう 」と軽い気持ちで決めました。
最初は「 インターネットマガジン 」( 定価800円 )という雑誌の付録についていた「 ホームページビルダー体験版 」で勉強し、少し経つと「 ホームページいりませんか~ 」と、近所の商店街を営業して回りました。
そして数年後、この会社は社員3人、賃貸マンションの一室を本社にして年商1億円を超える会社になっていました。私が32才のときの話です。
この頃から、夢の北海道移住に向けて行動を開始しました。そのとっかかりとして、札幌に新築アパートを購入。4棟目までは順当でしたが、2004年を境に、状況がガラリと変わりました。供給過剰で、まったく埋まらないのです。
一度空室が出ると、次の募集では家賃を大幅に下げないと決まりません。さらに、広告費もかかります。32戸のうち6戸が空室になったときに、業者さんに言われた言葉を今も覚えています。
・最近、近くにRCマンションができて、家賃が山岡さんの物件より安いんですよ。
・木造ですし、周囲の物件より安くしないと埋まりませんよ。
・周りの物件はもっとたくさん広告費を出していますよ。
こちらは東京にいて、札幌の空気感がわかりません。借金もあるのに、このまま埋まらなかったらどうしようという不安から、業者さんの提案を受け入れました。
夢を持ってはじめたアパート経営なのに、失敗するかもしれないという危機感と背中合わせの毎日です。そこで、2007年12月に、思い切って札幌へ移住しました。会社はその前に売却しました( 会社の売り方はホリエモンさんの本で勉強しました )
予定を早めて移住した理由には、投資は自己責任なのに、管理会社さんや業者さんを恨んでしまいそうな自分がイヤだった、ということもありました。
大好きな北海道に着くと、パワー全開です。今まで東京で勉強して来た空室対策の技を、やっと実現できるのですから、うれしくて仕方がありません。
そして、現地で色々手を尽くした結果、悪化していた入居率は改善し、下がっていた家賃は上昇しました。利回りは新築時を上回るほどになり、なんとか危機を脱することができました。
これが、私が札幌でアパートを買って、札幌に住みついている理由です。途中、ピンチもありましたが、結果的に「 北海道に住む 」という夢は叶えられたので、「 今の自分は恵まれているな~ 」と日々、感謝しています。
ところで、私のアパート経営は試行錯誤でなんとか安定しましたが、札幌全体でいえば、2004年以降の供給過剰状態は、変わっていません。
ある地域は、飛びぬけて空室率が高いため、地元大家さんから「 死のゾーン 」と呼ばれているほどです。この地域は地元の大家でも相当苦労します。遠隔地大家さんならなおさらでしょう。
「 死のゾーン 」以外にも、現地に来て知ったことはいくつもあります。そのひとつが、「 スライド契約 」。これは、地方から札幌に進学する学生たちに、「 家賃は4月からでOK 」という条件で、前年の9月~10月に契約を結んでしまう入居付のテクニックです。
最長で半年分の家賃収入がゼロですから、キツイはずです。しかし、こうでもしないと競争に勝てない現実があります。
厳しい話になってしまいましたが、もちろん、エリアの選び方、物件のバリューアップの工夫、営業周りのやり方次第で、満室経営も不可能ではありません。
東京で仕事をしながら札幌に空室を抱える恐怖を体験した私が皆さんに伝えたいのは、「 札幌に物件を持つなら、それ相応の知識と努力が不可欠 」ということです。
札幌は、アパート大家としてはラクではありませんが、空気がおいしいし、子供を育てるにも最高の環境です。ということで、今回は私の札幌への愛と移住までの経緯を述べさせていただきました。
ところで、8月18日( 土 )に、健美家さん主催でセミナーを行います( このコラムの下に案内が出ています↓ )。札幌はもちろん、それ以外の激戦区の大家さんや、遠隔地の物件を所有する大家さんに向けて、非常に濃い話を披露します、よろしければご参加ください。