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22万円の家賃滞納を民事調停で解決した話

大野靖弘さん_画像 大野靖弘さん 第14話 著者のプロフィールを見る

2022/1/27 掲載

皆さま、こんにちは。やっさんです。今回は私が経験した滞納トラブルと、それを民事調停で解決したお話を紹介したいと思います。

その出来事は、私が2棟目として個人で購入した木造の築30年のアパートで起こりました。空室がある物件で、入居率を上げるために試行錯誤していた時期でした。そんな中、入居頂いたのが今回の滞納問題を起こした方でした。

当時、20代と10代の若いご夫婦で、生まれたばかりの赤ちゃんもいました。こんな若い方に長く住んでもらえたらと入居を快く引き受けました。保証会社は利用せず、連帯保証人を立ててもらいました( 2013年当時はそれが一般的でした )。

それから数年間、何の問題もなく入居頂いていました。ところがある日、管理会社さんから「 あの部屋の入居者様ですが、今はご主人ひとりで住んでいるようです 」と連絡がありました。どうやら、ご家族が出ていかれたようでした。

そして、その日を境に徐々に滞納が始まっていくのです。最初の頃は家賃の支払いが遅れ、管理会社から催促すると翌月まとめて支払うという状態が続きました。その頃は連絡も取れ、不在の際は折り返しの電話もあり、支払う意思を感じられました。

私自身にも、以前、管理会社から報告があった「 今はひとりで住んでいる 」ということが頭にあり、環境が変わって本人の生活も大変だろうという同情の気持ちもありました。

ただ、その後は1カ月だった滞納が2カ月になり、次は2カ月が3カ月にと徐々に伸びていきました。何とか遅れながらも支払いは続いていましたが、次第に管理会社からの電話に出なくなり、折り返しも来なくなりました。連帯保証人とも連絡が付きません。

管理会社さんはアパートにも様子を見に行ってくれました。すると、車があり部屋に人影もあるのですが、カギをかけて出てきません。居留守です。ところが、日中に管理会社の人が訪問すると、車も人影もないのに、ドアノブを回すとドアが開いたそうです。

さすがに無断で入ってもらう事は出来ませんでしたが、家に居る時はカギをかけて絶対に出てこないのに、居ない時はカギもかけずに出かけているということを聞き、何だか無性に腹が立ちました(笑)。

■ 大家仲間に助けられた初めての調停申し立て

まだ大家としての経験値が低かった私は対応に困り、大家さん仲間へ相談してみました。すると小川さん( 仮名 )はひと言、こう言いました。

「 調停申し立てをしましょう!」

聞くところによると、この小川さん( 仮名 )は同様の滞納問題で何度も民事調停を申し立て、解決してきたそうです。ちなみに民事調停とは、裁判とは違って調停委員が間に入り、当事者同士が話し合いで解決する事を目的としています。調停が成立すると訴訟の判決と同じ効力があるそうです。

それを聞いた私は、すぐに調停申し立てをする為に、管轄の簡易裁判所へ行きました。その際には小川さん( 仮名 )も一緒に窓口に付き添ってくれて、書類の書き方のアドバイスまでしてくれました。

この時、「 持つべきものは仲間だな 」と心から感謝しました( この後、小川さん( 仮名 )には大好きなお肉ランチをご馳走させて頂き、笑顔で解散しました )。ちなみに、窓口の方も非常に丁寧に相談に乗ってくださいました。

その日の朝は緊張していたのですが、やってみると初めての私でもスムーズに申請が出来ました。費用の方は、請求する金額によって変わるそうですが、この時は約15万円の請求に対し、印紙代や切手代で1,500円ほどでした。

申し立て後、約1週間後に簡易裁判所から申立人と相手方に対し「 調停期日呼出状 」が届きます。そこには「 事件番号第○○番。未払賃料請求調停事件 」という記載があります。さらに本文には、「 〇月〇日、裁判所に出頭するように 」と書かれています。

出頭という言葉を聞くと、悪い事をしていないこちらでさえドキッとするような心理的インパクトがあるので、滞納を続け、連絡も無視している相手方にとっては相当な動揺があったと思います。

■ 調停申し立ての結果

それから3週間後の出頭日当日、簡易裁判所へ向かいました。入り口では金属探知機で武器などを持っていないか、厳重にチェックされました。

所定の待合室に行くと、私と同じ申立人側であろう人たちが数名待っていました。説明によると、相手方の人には別の待合室があるそうです。もしも同じ場所だったら、これ程気まずい待合室はないので、当然と言えば当然ですね。

時間になると部屋に呼ばれました。テレビでよく見る裁判所のような場所をイメージしていたのですが、実際は小さな会議室でした。長テーブルの向かいには調停員の方が2名、笑顔で座っています。どんなお悩み事でも聞いてくれそうな雰囲気です。

まずは申立人の私から、今回の滞納問題について説明しました。その後、退出して今度は相手方が入室し、言い分を説明します。最後に2人が同時に呼ばれて、調停主任裁判官と民事調停委員の前でお互いの言い分を確認します。

今回の事件では、相手方はこちらの言い分をすべて受け入れ、この時までに積み重なった滞納額、6か月分の約22万円の家賃を全額支払う事で、無事合意しました。

このように調停が成立すれば、後日、簡易裁判所から「 調停調書 」と呼ばれる当事者同士が話し合いで合意した内容が記載された書類が送られてきます。そして指定された日に滞納分家賃が全額振り込まれ、事件は無事に解決しました。

■ 家賃保証会社に入っていても油断は禁物

不動産賃貸業には様々なリスクがあります。今回の滞納問題や入居者様との思わぬトラブルは比較的よくあることだと思います。これらの事について、ただ心配するのではなく、どんな対処方法があるのかを事前に知っておくことが大切だと実感しました。

最近は、賃貸借契約を結ぶ際、連帯保証人を立てる代わりに家賃保証会社を利用するケースが多いと思います( 私はそうしています )。その場合、家賃滞納があっても保証会社さんが対応してくれるので滞納の心配はないと考える人がいるかもしれません。

しかし、実際に滞納が発生した時にマイナスになる費用は家賃だけではありません。例えば、「 退去にかかる費用 」がそうです。そして、「 退去時にかかる費用 」については保証しないという家賃保証会社もあります。

中古の物件を購入した場合、古くから住んでいる方が保証会社に加入していないケースもよくあります。そのような入居者が滞納問題を起こした場合には、管理会社や家主が対応することになります。つまり、滞納問題は誰にとっても他人事ではないのです。

賃貸経営はその業務の多くを管理会社様や家賃保証会社様などに外注することができます。ただし、「 何かあった時には、家主である自分が責任を持って方針を決めて、対応することが大事である 」と、今回の件で学びました。

それと繰り返しになりますが、この時は滞納を調停申し立てで解決した経験のある大家仲間の存在が、問題解決の大きな一歩になりました。管理会社さんの協力もありがたかったです。横のつながりも大家業をする上でとても大切なものだと感じます。

ちなみに、この一件で相手方との滞納問題は全て解決したかに思われましたが、その後も滞納やトラブルがしばらく続きました(笑)。最終的にはご退去頂く結果となりましたが、その時のお話はまた別の機会に出来ればと思います。

それではまた次回お会いしましょう!

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※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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プロフィール

大野靖弘さん

大野靖弘さんやっさん

不動産投資家
札幌市在住

家族は妻と何か可笑しい三人娘の5人家族
不動産を通じて「自分らしく生きる」をテーマに活動中
不動産と筋肉の懸け橋になる事が目標

プロフィールの詳細を見る

経歴
  • □1980年誕生

    □1987年(7才)
    母を亡くす

    □2002年(23才)
    大学卒業後、外資系ブランドに入社

    □2004年(24才)
    父を亡くす
    「人はいつ死ぬか分からない。その時に絶対に後悔しない人生を送らなくては」と強く感じる

    未来に希望が見出せず、2度の転職を経験するも、会社や国に頼る人生ではいけないと悟る

    □2010年(30才)
    結婚し子供も生まれて幸せを感じながらも、娘に100円の焼き鳥を買うのに躊躇する自分に猛烈に違和感を抱く

    加藤ひろゆきさんの書籍を読み、大家になることを決意

    □2011年(31才)
    1棟目のアパートを購入

    □2012年(32才)
    2棟目のアパートを購入
    年末に火事になる

    □2013年

    築古や新築のアパートで資産を増やす

    □2017年(37才)
    会社を退職し専業大家へ
    ここから築古戸建てを高利回りで再生する手法に挑戦

    □2019年(39才)
    不動産賃貸業で社会貢献出来ると気付き拡大へ舵を切る
    中古RCを3棟取得

    □2021年(41才)
    これまでに、新築・中古アパート、築古戸建て、区分マンション、中古RCマンションなど29棟122室購入

    そのうちいくつか売却し、現在は計91室を所有し満室時家賃年収は約5,700万円以上

    不動産への恩返しの思いから、これから始めたい方へ向け、セミナー・スクール・交流会の開催の他、ブログ・Youtube・ラジオなどによる情報発信も行っている

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