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生活保護を申請した店子と、大家の使命。

渡辺よしゆきさん_画像 第45話

道路付けの悪い都内の物件を割安で購入後、隣地の持ち主のちょっと厄介なおばさん( 通称BBA )とのコミュニケーションを経て、その土地( と古家 )を購入することのなった私。

これで、土地の価値がグンとアップします!

しかし、ハッピーエンドで話は終わるはずもなく、なんとそのBBAから「 リースバック 」で住み続けたいとの依頼があったのです。どうしよう・・・。

実は、BBAはこの時点では、別の場所に賃貸して住んでいました。しかし、あろうことか家賃を一年半ほど滞納。大家さんから強制執行を掛けられ、強制退去となってしまったのです。

BBAは息子に泣きつくも、「 俺には関係ないね 」という返事。親子の繋がりは非常に希薄で、BBAは他に頼る人もおりません。


・・・私以外は。


ということで、賃貸していた部屋を追われたBBAは、「 この家をあなたに売る。だから、私を住まわせてほしい 」とお願いしてきたのでした。

これまで散々つらい目にあわされたこともあり、正直な気持ちをいえば、イヤでした( 笑 )。しかし、昭和30年代築の家はボロボロで、リフォームをして人に貸し出すにもお金がかかります。

それなら、元の持ち主であるBBAに住んでもらうのも、悪くない選択かもしれない、と私は考えました。そして、「 ぶっ殺す! 」とすごまれた初対面から数ヵ月後、BBAは私の物件の入居者になったのです。

ところが、そう時間が経たないうちに、それを後悔する出来事が発生しました。なんと、いつまで経ってもお家賃を頂けないのです。


(;'∀')ハハハハハ
意外すぎる展開・・・。


不安になった私が事情を聞きに行くと、BBAは観念したように全ての情報を公開しました。全ての情報の内容はいたってシンプル。「 ほとんどお金がない 」という告白でした。

その時の銀行残高、合計約三万円。これはもう、家賃どころではありません!


「 おばあちゃん、どうやって生きて行くの? 」(;´∀`)


という私の問いに、BBAは力なく笑うばかり・・・。夫には40年も前に先立たれ、頼りの息子は縁を切ったと言い放つ。所持金は3万円。解決策などありません。

私は少し考えた後に、BBAにこう伝えました。


「 おばあちゃん、もう四の五の言ってらんないよ。生活保護を申請しましょう 」(;'∀')


「 生活保護・・・ 」


死んでしまっては元も子もない事を懇々と話し、家賃に関しても生保の基準内にする事を提案すると、ようやく納得してくれました。私はBBAと二人で、すぐに役所の保護課に出向きました。

保護課の担当者さんは優しい口調ですが、やはりそこには、厳しい審査の目が入ります。まず、「 なぜ生活保護が必要なのか? 」の面接から入り、一切の通帳や所持金を提示の上で審査が進んでいきます。

BBAは高齢で、意味不明な事を口走る癖もあるので( 汗 )、私が通訳のような状態で、書類などの一切の業務を受け持って、手続きを進めていきました。

生活保護の申請の上で最も問題になるのが、申請人の「 資産 」です。仮に、保護決定後に預金などの資産があることが発覚すると、お金を返済をする事になります。

また、資産の金額によって支給額の増減や保護の取り消しなども行われます(保護の検討時に資産が少ないほど、支給額が増えるという仕組みです)。

担当者さんはBBAに「資産やお金がないか?」ということを質問しました。すると、BBAが「 確か、年金を受給している口座があった・・・ 」と言います。これはグッドニュース?? 今度は二人で年金事務所へ向かいました。

年金事務所では優しそうな女性の職員さんが、ニコヤカに対応してくれました。基礎年金番号を告げると、その場で端末を叩き、調査をしてくれます。その間、私はBBAに「いつくらいまで、年金を受けていた記憶があるの?」と聴きました。

BBAは「 うーん。5年くらい前には貰った記憶が・・・ 」と言いかけたのですが、その言葉を優しそうな係の女性が冷酷に遮りました。


「 こちらの方は年金をお支払い頂いた記録がないですね。支給できません 」


「 え? 」(;'∀')


意外な言葉に、一瞬思考が停止しました。


「 311カ月、ご加入頂いておりますが、払い込みが一度も御座いません。ですから、支給はできません 」( ゚Д゚)


最初はニコヤカだった担当者でしたが、そこはあくまで冷徹に、そして口早に私たちにその事実を伝えました。事態を全く飲み込めないBBAに私からその事実を伝えると、BBAはモジモジと手を揉みながらうつむき、


「 ウチのお父さんは何やってたんだろ? 」


と、つぶやきました。とにかく、これで隠し金山がない事もハッキリとし、晴れて生活保護の申請ができる。その事実だけをテコに重い腰を上げ、私たちは年金事務所を後にしました。

ここまでで約2週間ほど経過し、再びの役所。生保担当者に経緯を話し、年金事務所で貰った書類を渡し、本格的に保護の申請をします( ちなみに年金事務所の書類は担当者さんに大変喜ばれました )。

申請の際には私との賃貸借契約書の他、扶養義務者申告書や資産を調べることへの同意書など、5種類ほどの書類を提出します。その後、現地での実地調査を経て、保護の可否が決定するという流れです。

最終決定まで約4週間。色々と手間はかかりましたが、無事に生活保護は許可されました。最終的な所持金は340円。ギリギリの所で命が繋がったのです。

大家がここまでする必要があるのかどうか、色々な意見があると思います。でも、私がやらなければ他にやる人はいません。ですから、やるしかありませんでした。

年金事務所で、BBAがうつむきながら、「 ウチのお父さんは何やってたんだろ? 」と言ったときは、脳裏に自分のかわいい子どもの顔が浮かびました。

みんな、自分の家族は大切なはずなのに、どこでこじれてしまったのでしょう・・・。この人と私とは、何が違うんだろう。そんなことも考えました。

これから間違いなく突入していく「 超高齢化社会 」。衣食住の住を担う我々大家さんは、この社会の変化と真っ向から直面する事になります。もっといえば、私だって未来の高齢者です。

不動産を通じて孤独なBBAと出会い、生活保護の申請を手伝ったというこの経験は、私に「 大家には、店子の人生をも背負っていく義務がある 」という大切な事実を思い出させてくれました。


【よしゆき今回の格言 】
衣食住の住を担う大家さんにしかできない社会貢献がある!


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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 渡辺よしゆきさん

よしゆきさん

「空室率75%のおんぼろアパートを満室にしたブログ!」
よしゆきさんのツイッター
よしゆきさんのメルマガ

■ 経歴

現在アラフォーの貧乏零細子沢山兼業大家さんです^^

1973年
東京生まれ

2004年
店舗兼住宅取得

2006年
不動産投資の勉強を始める。浦田健さんや藤山勇司さん、長嶋修さんの著作により多くの基礎知識を得る

2007年
競売により埼玉県越谷市に戸建を落札(表面利回り18%)

2010年
競売物件による賃料収入+鬼のような節制で資金を貯め、 埼玉の山奥にある空室率75%の廃墟寸前アパートを現金一括購入。 1R8戸(表面利回り28%)

しかしこのアパートで・・・7日目にして床下浸水の瑕疵が発覚、 40日目にして2人しか居なかった入居者様のお一人が居室内でお亡くなりになりΣ(゚д゚lll)、 90日目にしてアパート一帯が土砂災害警戒危険区域の選定検査を受ける。(;゚Д゚)!

が、数々の困難を乗り越え、 アパートを再生し8ヶ月で満室に導く。

2011年1月
「行動する大家さんの会(AOA)」を大家さん仲間と共に創立。(初回の勉強会で早くも会場費用自腹の危機を迎える・・・Orz)

2011年5月
全国大家ネットワークに参加
東日本大震災被災者の方を空室に受け入れる運動 「住まいりんぐ」及び「借り住まいの輪」に賛同。現在も被災者の方をアパートに受け入れている。

2011年12月
「FPコミュニケーションズ」主催 「金持ち大家さんアカデミー賞」にて最優秀賞MVPを授賞するというラッキーパンチが炸裂する(TへT

2012年3月
茨城県水戸市にRCマンションを取得。 店舗3戸、1DK×4戸、2DK×8戸(表面利回り24%)

2012年6月
新感覚の管理会社「みまもルーム」へ 外部アドバイザーとして参加

2012年7月
東京ビックサイトにて行われた「賃貸住宅フェア2012in東京」にて 講演

2012年9月
土地活用ドットコムのアドバイザーとなる

2012年12月
「FPコミュニケーションズ」主催 「金持ち大家さんアカデミー賞」にて最優秀賞MVPを2年連続授賞。史上初の二連覇を達成するというマサカのラッキーキックが炸裂!^^;

AOA勉強会やその他の勉強会にて 自身の経験を伝えるセミナーを多数開催。

「全国賃貸住宅新聞」「家主と地主」「日経新聞」などのメディアにも「汗をかく大家」として多数掲載されている。

■ 所有物件

2013年現在
3棟24室賃貸中

■ 著書

よしゆきさん本

「新米大家VSおんぼろアパート【赤鬼荘】-満室までの涙の240日」(ごま書房新社)

■ 投資に対する考え

「貧乏、暇なし、子沢山」と、元々の属性が低い(年収280万程度)為に 「地に足の付いた堅実な投資」をコンセプトとする。

「弱者の戦略」を練った結果、 実績を積むまでは現金購入を念頭に投資を展開。 競売戸建⇒築古地方アパートとじっくりと実績を積む。

次の段階として、資産の拡大へ。 状況が整った為に2012年に借入れにより物件を取得。しかし返済比率を30%未満に抑える事を重要視する事から地方都市での投資となった。

長期計画から、次の物件は「利回りが低くても近隣の物件」を取得する事を目標とし 年内を目処に購入予定。

また次のステージを目指し、法人による物件取得を模索中。 一方で大家業と言う狭義を飛び出した活動を模索。

様々なボランティア活動の他「この世界をどうやって楽しくしていくのか?」を 同じ目線で「今」を生きる多くの人達と一緒に考え、活動する。

NPO法人「みんなの森」へ賛同し、福島の子供達を東京都下の森への キャンプに招待する活動にも賛同、参加。

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