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平成28年度税制改正が大家さんに与える影響

渡邊浩滋さん_画像 第10話

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

昨年12月に平成28年度の税制改正大綱が発表されました。これは税制改正の案であって、毎年12月頃に発表され、翌年の3月頃に国会で承認され、決定になるものです。

今後の賃貸経営に関わってくる内容もあるため、どんな改正が行われようとしているのかを抑えておく必要があります。大家さんに影響がありそうなものをピックアップして解説します。

1.減価償却費制度の見直し

○平成28年4月1日以後に取得する建物附属設備及び構築物については、定率法を廃止し、定額法のみの方法による

上記は、個人も法人も同様の改正になります。建物については、平成10年4月以降に取得されるものは、全て定額法になっていましたが、附属設備や構築物も定額法に統一されるということになります。

平成28年4月1日以後の取得を境に定率法が選択できなくなりますので、ご注意ください。

2.法人実効税率の引き下げ

○平成28年4月1日以後の中小法人以外の普通法人( 外形標準課税法人 )の法人実効税率を引き下げ20%台へ( 平成28年度29.97%、現行31.33% )

なお、平成28年度の資本金1億円以下の普通法人の実効税率は以下になります。

所得400万円以下 21.42%
所得400万円超800万円以下 23.20%
所得800万円超 33.80%

注:中小法人の年800万以下に対する軽減税率を19%から15%にする措置は、平成29年3月31日まで適用されます。


法人税の引き下げにより、法人化のニーズがさらに高まると思います。給与ベースが高いサラリーマン大家さんは、法人で物件を購入していく方がよいといえます。

3.企業版ふるさと納税の創設

○平成32年3月31日までの間に、地方創生寄付活用事業に関連する寄付を支出した場合には、一定の税額控除を認める

個人版ふるさと納税の場合には、一定の上限額までは、2,000円を超える金額が所得税・住民税から控除されます。

法人版ふるさと納税は、寄付金を損金算入した上で、一定限度額までの税額控除が受けられることになり、最大で寄付金額の約60%〜70%程度が法人税等から控除できることになります。

4.空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例の創設

○相続人が、相続により生じた古い空き家を平成28年4月1日から平成31年12月31日までに譲渡した場合、譲渡所得から3,000万円を特別控除する

空き家の増加が社会問題に発展しています。毎年64,000戸増加している現状を打破しようと、税制からも後押しをしようというものです。

もともと居住用( 自宅 )の土地建物を売却した場合には、譲渡の利益が3,000万円までは控除してくれる特例があるのですが、この特例は、その自宅に住んでいた所有者が売却した場合に限られます。

つまり、相続人が取得しても、その相続人自身が住んでいなければ、3,000万円控除は適用できないのです。ですから、相続しても、多額の譲渡税がかかってしまうからと、譲渡せずに、そのまま空き家になっているケースがあったのです。

そこで、居住していない相続人でも3,000万円控除が使えるようにして、流通を促し、空き家を増やさないようにする意図で創設するものになります。

今後、相続を機に売却する戸建て物件が増えるのではないかと予想されます。なお、この特例を使うには、下記の要件を満たす場合に限られます。

◯昭和56年5月31日以前に建築された家屋( 区分所有建築物を除く )で、その家屋を取り壊して譲渡するか、家屋ごと譲渡する場合には、譲渡の時において、耐震基準に適合すること。
◯家屋に被相続人以外に同居していない場合に限る
◯相続開始後3年を経過する年の年末までの譲渡に限る( 平成25年1月2日以後の相続 )
◯譲渡の対価が1億円以下


5.消費税の還付の規制強化( 高額資産を取得した場合における消費税の中小事業者に対する特例措置適用関係の見直し )

○消費税の課税事業者である期間中に、1,000万円( 税抜き )以上の固定資産を購入した場合には、購入した年を含む3年間は、消費税の免税事業者及び簡易課税制度を適用することができなくなる

つまり、1,000万円以上の固定資産を購入し、消費税の還付を受けた場合には、3年間消費税の免税事業者になれず、原則課税が義務付けられ、3年目の消費税の取り戻し計算の対象になるということです。

平成22年度の税制改正によって、消費税の課税事業者選択届出をして消費税の課税事業者になった後2年間の間等に100万円以上の固定資産を購入した場合に3年間の原則課税が義務付けられる規制が出来ましたが、今回はさらに厳しくなるものです。

非課税売上がほとんどの賃貸住宅における消費税還付スキームは、いかに3年目の消費税の取り戻し計算の対象から外れるかがカギとなり、そのための事前準備をするのが一般的でしたが、この規制により、どのような準備をしても取戻しの対象になってしまいます。

なお、上記の改正は、平成28年4月1日以後に引き渡しを受ける物件について適用されます。ただし、平成27年12月31日までに契約した締結に基づき、平成28年4月1日以後に引き渡しを受ける場合には、適用しません。

ですから、3月末までの取得であれば、この規制には引っかからないことになります。

また、課税売上高に変動がない店舗・事務所物件や太陽光発電設備の購入の場合には、今まで通り消費税還付しても3年目の消費税の取り戻しはありません。

これで消費税還付のスキームは完全に塞がれたわけではありませんが、消費税還付ばかりに目がいって、採算性の悪い物件を取得するのは本末転倒になりますので注意が必要です。



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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 渡邊浩滋(わたなべこうじ)さん

渡辺税理士

税理士・司法書士・大家
渡邊浩滋総合事務所代表

サイト「大家さんの知恵袋」

■ 経歴

大学在学中に司法書士試験に合格

大学卒業後総合商社に入社。法務部にて契約管理、担保管理、債権回収などを担当

商社を退職後、税理士試験に合格
その頃、実家のアパート経営(5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚。 経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出する

資産税専門の税理士法人に勤務した後、2011年12月、独立開業

税理士の視点と大家の視点からアパート経営を支援するために活動し、税理士・司法書士のワンストップサービスを提供している

2011年、「行動する大家さんの会」を設立

2013年、「一般社団法人 大家さんの道しるべ」代表理事就任

資格専門学校の講師、賃貸住宅フェアでの講演、セミナー講師等、幅広い分野で活躍中

2017年からは日本全国の大家さんを救うべく、フランチャイズ展開を開始。
同じ志を持つ税理士を求めている。

■ 主な著書


大家さん税理士による 大家さんのための節税の教科書(ぱる出版)


大家さんのための超簡単!青色申告(クリエイティブ ワークステーション)


「税理士」不要時代(経営者新書)

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