• 完全無料の健美家の売却査定で、できるだけ速く・高く売却

×

  • 収益物件掲載募集
  • 不動産投資セミナー掲載募集

【速報】令和5年の税制改正。「贈与の改正」に決着!

渡邊浩滋さん_画像 渡邊浩滋さん 第100話 著者のプロフィールを見る

2023/1/1 掲載

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。

12月16日に令和5年度の税制改正大綱が発表されました。今回の大きな改正は生前贈与です。どうなるか騒がれていましたが、ようやく決着が付きました。その他はNISAの拡大、1億円の壁の是正などの改正がありました。

税制は景気や取引そのものに大きな影響を与えるものです。大家さんに影響がありそうなものをピックアップして解説します。

令和5年度の税制改正大綱で大家さんに影響がありそうなもの

1.生前贈与の7年加算

(1)改正内容

「 相続直前にした生前贈与について相続税課税の対象にする制度( 生前贈与加算 )について、現行3年以内の生前贈与が対象になっているものを、7年以内の生前贈与まで対象にする。

延長された4年間( 相続開始前7年以内のうち直前3年以外 )に贈与された財産については、合計額から100万円を控除した残額を相続税の課税対象にする。この改正は令和6年以後に贈与する財産に係る相続税又は贈与税について適用する 」

図解すると下記の通りとなります。

●令和5年12月31日までの生前贈与



●令和6年1月1日以後の生前贈与



●令和6年以降に相続税の課税対象になる生前贈与



(2)今後の対策

この改正は令和6年以後に贈与する財産に係る相続税又は贈与税について適用になります。

したがって、令和5年に行われる贈与は、現行の相続前3年以内のものだけが相続税の対象になります。相続はいつ発生するかわかりません。できる限り令和5年中に贈与するのが賢明と言えるでしょう。

さらに、7年以内の生前贈与の加算は、「 相続又は遺贈により財産を取得した人 」が対象です。基本的には、相続人以外の人への贈与は対象ではありません。

例えば孫への贈与であれば相続直前の贈与でも相続税に影響しません。孫への生前贈与は、相続対策に引き続き有効ということです。

2.相続時精算課税制度

(1)相続時精算課税制度とは

相続時精算課税制度とは60歳以上の親や祖父母から、18歳以上の子や孫へ、2,500万円までは贈与税がかからずに贈与ができる制度です。累計で2,500万円を超える部分は、一律20%の贈与税がかかります。

将来、贈与した親などが亡くなった時には、その贈与した財産は全て、その親の相続財産に含めて相続税が計算されます( 払った贈与税は相続税から差し引かれます )。

贈与税がかからなくても相続税がかかる可能性があるのです。税金を免除するものではなく、相続財産を前渡しする制度です。

相続時精算課税制度は一度選択すると、撤回することは出来ません。そのため、その親からの贈与については今後、毎年の110万円の基礎控除は使えなくなってしまいます。

将来の相続税の節税をしたい方にとっては、適用すると不利になるので、この制度を使う方は少数でした。



(2)改正内容

@110万円の基礎控除の創設

「 令和6年以降の相続時精算課税制度による贈与については、2,500万円の非課税枠とは別に年間、基礎控除110万円を控除できる 」

相続時精算課税制度を利用しながら、110万円の基礎控除を併用するイメージです。相続税課税の対象についても110万円を控除した後の金額が対象になります。

A相続税の対象となる価格

「 相続時精算課税制度により不動産を贈与した場合には、贈与日から相続税の申告書提出期限までの間に災害によって一定の被害を受けた場合、相続財産に加算する額は、被害を受けた部分に相当する額を控除した残額とする 」

相続時精算課税制度を利用した場合の相続税の対象になる贈与価額は、『 贈与時時点 』の価額です。

建物など、将来的に価値が下がっていくものを贈与すると、贈与時点の価格で相続税がかかることになり、不利になってしまいます。この点も相続時精算課税制度の利用を遠ざける理由でした。

改正で、令和6年以降の災害によって価値が下落した場合には、下落した価格が相続税課税の対象でよいということになります。

価値の下落が災害に限定されています。経年劣化や市場価格の下落には適用ありません。使える場面は限定されてしまいますが、一定のリスクは回避されることになります。

(3)今後の対策

令和6年以後の相続時精算課税制度では、110万円以内の贈与であれば、相続の直前7年以内であっても、贈与税も相続税もかからないと解釈できます。もしそうであれば、今後は相続時精算課税制度を上手く使った対策が活用されそうです。

3.インボイス制度

(1)小規模事業者の緩和措置の創設

「 令和5年10月1日から令和8年9月30日の期間、免税事業者が課税事業者に切り替えた場合、納税額を売上税額の2割とすることができる 」

詳しくは、前回のコラムで解説していますので、こちらをご覧ください。

参照:令和5年の税制改正予想と年末までに大家さんがやるべきこと

(2)中小事業者の事務負担軽減

「 基準期間の課税売上高が1億円以下( 又は特定期間の課税売上高が5,000万円以下 )の事業者は、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間、1万円未満の仕入税額控除はインボイスの保存がなくても認められる 」

少額の駐車場などはインボイスが不要になる可能性があります。しかし、借主の課税売上高がわからない以上はインボイスを発行するしかないため、発行者側にとっては事務負担にならないと思われます。

(3)少額の返還インボイス交付義務の免除

「 売上に係る対価の返還等に係る税込価額が1万円未満である場合には、その適格返還請求書の交付を免除する 」

返品や値引きなど売上げに係る対価の返還を行った場合は、適格返還請求書( 返還インボイス )を相手方に交付しなければなりません。

借主が、家賃を振込手数料を差し引いて払った場合に、振込手数料を値引き処理する際に返還インボイスが必要と言われていましたが、不要になったということです。

4.その他の改正

(1)国民健康保険税の上限の増額

後期高齢者支援金分の上限を2万円増額。上限トータルが104万円になります。

(2)土地の売買による登録免許税の軽減の延長

土地の売買による所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限が、令和8年3月31日まで3年間延長されます。

土地の売買による移転登記 2.0%⇒1.5%
土地の信託による移転登記 0.4%⇒0.3%

(3)法人税率の軽減の延長

中小法人の年800万円以下に対する軽減税率を19%から15%にする措置が令和7年3月31日まで2年間延長されます。

5.今後の改正予定

(1)マンションの相続税評価の見直し

令和4年4月に路線価を否認した最高裁の判決が出た影響で改正が入る予定です。

相続税評価と市場価格が大きく乖離している不動産を是正する目的ですが、タワーマンションに限定するのか、マンションやアパートについても範囲に入るのか注目されます。

(2)防衛費増税

法人税額に対して、税率4〜4.5%の付加税を課すことが検討されています。中小法人は法人税額から500万円の控除ができるようなので、増税の影響を受けるかどうかは、利益調整がキモになります。

(3)節税商品の規制

今回の改正で、コインランドリー、暗号資産マイニングを使った節税( 100%償却 )が塞がれます。今後も、目立った節税商品については規制をかけていくのではないでしょうか。

今後の賃貸経営を考えるにあたって、税制改正を確認することは大切です。ご参考になれば幸いです。

■ お知らせ

私のYoutubeチャンネル「 大家さんの知恵袋 」でも、税制改正をふまえた生前贈与戦略について動画で解説していますので、詳しく知りたい方はあわせてご覧ください。



また、1月16日(月)、1月24日(火)、1月27日(金)の19:00から、私とパートナー税理士たちで、『 令和5年税制改正とこれからの賃貸経営 』『 確定申告直前対策と修繕費計上テクニック 』についての無料オンラインセミナーを行います。よろしければご参加ください。

詳細:申込みはコチラ
https://www.kenbiya.com/sm/ol/t-t/pt-3/dt_438272ug/

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

アクセスランキング

  • 今日
  • 週間
  • 月間

プロフィール

渡邊浩滋さん

渡邊浩滋さんわたなべこうじ

不動産投資家
Knees bee税理士法人 代表

プロフィールの詳細を見る

経歴
  • □大学在学中に司法書士試験に合格

    □大学卒業後総合商社に入社。法務部にて契約管理、担保管理、債権回収などを担当

    □商社を退職後、税理士試験に合格

    その頃、実家のアパート経営(5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚。 経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出する

    □2011年
    「行動する大家さんの会」を設立

    □資産税専門の税理士法人に勤務した後、2011年12月、独立開業

    □2013年
    「一般社団法人 大家さんの道しるべ」代表理事就任

    □2017年
    日本全国の大家さんを救うべく、フランチャイズ展開を開始(同じ志を持つ仲間を求めている)

    □2022年10月法人化
    税理士の視点と大家の視点からアパート経営を支援するために活動し、税理士・司法書士のワンストップサービスを提供している

    資格専門学校の講師、賃貸住宅フェアでの講演、セミナー講師等、幅広い分野で活躍中

閉じる

ページの
トップへ