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「融資を受けたいなら節税するな!」は本当か?

渡邊浩滋さん_画像 渡邊浩滋さん 第105話 著者のプロフィールを見る

2023/6/5 掲載

不動産投資に対する金融機関の融資状況は依然として厳しいものがあります。一部の金融機関では新たな手法で融資をしようと模索しています。

融資を受けるために今できることは何でしょうか?
メガ大家さんは「 融資を受けたいなら節税をするな 」と言われることがあります。
私も同意見です。

しかし、多くの方の本音は、「 融資を受けたいけども、税金を払いたくない 」というものだと思います。今日は、節税をすると本当に融資を受けにくくなってしまうのかを検証してみます。

■1.銀行担当者から言われた衝撃の一言

今から10年以上前、私が親から賃貸経営を引き継いで間もないころに、メインバンクの銀行担当者から言われた一言が今でも忘れられません。

「 銀行の考え方と税理士先生の考え方は反対なんですよね。銀行は利益を多くだして欲しい。しかし、税理士先生は税金を抑えるために利益を少なくする 」

当時の私は税理士としてまだ駆け出しで、釈然としないながらも反論することができず、言葉を飲み込みました。しかし、銀行員の方の言葉が頭から離れずに、ではどうしたらいいのかの答えをずっと探していました。

■2.決算書で見るポイントは2つ

まず、融資を受けるには、良い決算書が不可欠です。決算書を良く見せるためのテクニックやノウハウが出回っていますが、専門用語が多くてよくわからないという方が多いのではないでしょうか。

金融機関が求めているのはこの2つだけです。

  • 本業で儲かっている
  • 資産( 純資産 )が多い

貸す側の立場になって考えると当然ではあります。

<本業で儲かっている>

これは事業で継続的に利益が出せる状況にあるかということです。継続的に利益が出せなければ、返済が出来ません。利益が多く出ていれば、借入が多くても返済ができるので、金融機関としては安心です。

これに関しては、損益計算書( P/L )で見ていきます。

損益計算書( P/L )

<資産( 純資産 )が多い>

純資産とは、資産から負債を引いた金額です。言い換えると、「 現時点で現金化して借金を全て返したらいくらお金が残るのか 」です。純資産が多ければ、仮に事業で利益が出なくても、資産を現金化すれば返済はできるため、金融機関としては安心です。

これは貸借対照表( B/S )で見ていきます。

貸借対照表( B/S )

■3.節税すると決算書はどうなる?

節税をするとこの決算書はどうなるのかを検証してみます。

1)経費を使う

例えば、節税するために経費を多く使うとどうなるでしょうか?
費用を多くすることになるので、当然に利益は少なくなります。

経費を使った場合の損益計算書

また、費用を使うために現預金が出ていきますので、純資産も少なくなります。

経費を使った場合の貸借対照表

必要な経費は仕方ないとしても、ムダな経費は決算書に悪影響を与えます。京セラ創業者の稲盛和夫氏の言葉に「 売上最大、経費最小 」があります。これが経営の鉄則なのです。

2)節税商品を購入する

以前のコラムでもお伝えしましたが節税保険、節税商品はすべて「 課税の繰り延べ 」です。

つまり、支出したときは経費として税金が安くなりますが、回収したときは収入として税金がかかることになります。税金がかかるタイミングを先送りにするという効果です。

そして、節税商品で一番気をつけなければならないのが、やり方を間違えると、純資産が大幅に減る可能性があるということです。

令和4年度の税制改正で規制された「 ドローン節税 」について、こんな話があります。ドローン節税とは、1台10万円未満のドローンを大量に購入して、全額経費にして節税を図り、それをレンタルすることによって、購入代金を少しずつ回収するスキームです。

この節税をした人から衝撃的な話を聞きました。

「 節税の為にドローンを1台99,000円で購入したけれど、大手ディスカウントショップで同じものが1万円で売られているのを見た 」

もちろん全ての業者が悪質とは限りませんが、高いお金を払って価値のないものに変えて節税をしていることも多いのです。

私から見ると、節税のために築古の物件を購入することも、これに近い感覚があります。「 資産 」として決算書に計上されていても、銀行の評価上、価値がないと判断され、評価が「 0円 」になることもありえるからです。

築古の物件は銀行評価が0円になることもありえる

■4.節税するなら

こうしてみると、多くの節税策は、決算書の内容を悪くしてしまうということがわかります。

  • 本業で儲かっている
  • 資産( 純資産 )が多い

この両方をプラスにするために大事な共通点は、『 いかにキャッシュを多く残せるか 』です。つまり、節税することでキャッシュが多く残ればそれでもよいのですが、実際には節税でキャッシュが減ることが多いのが問題なのです。

キャッシュが減らない節税策は多くはありません。しかし、例えば、法人から( 法人よりも税率が低い )個人に給与を出し、その給与を受け取った個人が法人にお金を貸し付けるというやり方なら、法人のキャッシュは減らないことになります。

給与を出す際に社会保険の負担がないように設計する必要はありますが、節税しながら決算書を良くみせることは可能です。

節税をしたければ、お金が減らないことがマストです。この点を踏まえて、「 決算書を良くしながら節税を行う 」ことを考えてみてください。

■ お知らせ

《 YoutubeLiveのお知らせ 》

私のYoutubeチャンネル「 大家さんの知恵袋 」で月に1回Live配信をしています。
次回は、6月9日(金)18:30~20:00に、「 税理士による融資戦略会議 」というテーマで行います。よろしければ、以下のURLからご覧ください。

https://www.youtube.com/watch?v=MLvjNUcI_2k

《 セミナーのお知らせ 》

6月22日(木)18:30~20:00に、「 大家さん専門税理士が語る!『 目先の収益で判断するな!投資戦略の立て方 』」をテーマにしたオンラインセミナーがあります。無料です。
※静岡銀行さんから今後の融資姿勢などのお話もあります。

詳細・お申込み⇒コチラ
https://www.kenbiya.com/sm/ol/t-f/pt-0/dt_44489i0l/

《 新刊のお知らせ 》

「 大家さん税理士によるキャッシュを増やす節税教科書 」(ぱる出版)という新刊が発売されました。2017年に出版した「 大家さん税理士による大家さんのための節税の教科書 」という本を大幅にリニューアルした内容です。

資産が増える節税とは何か? 節税の本質について、詳しく紹介しています。令和5年10月から始まるインボイス制度の対策についても解説していますので、ぜひ参考にしていただければと思います。

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※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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プロフィール

渡邊浩滋さん

渡邊浩滋さんわたなべこうじ

不動産投資家
Knees bee税理士法人 代表

プロフィールの詳細を見る

経歴
  • □大学在学中に司法書士試験に合格

    □大学卒業後総合商社に入社。法務部にて契約管理、担保管理、債権回収などを担当

    □商社を退職後、税理士試験に合格

    その頃、実家のアパート経営(5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚。 経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出する

    □2011年
    「行動する大家さんの会」を設立

    □資産税専門の税理士法人に勤務した後、2011年12月、独立開業

    □2013年
    「一般社団法人 大家さんの道しるべ」代表理事就任

    □2017年
    日本全国の大家さんを救うべく、フランチャイズ展開を開始(同じ志を持つ仲間を求めている)

    □2022年10月法人化
    税理士の視点と大家の視点からアパート経営を支援するために活動し、税理士・司法書士のワンストップサービスを提供している

    資格専門学校の講師、賃貸住宅フェアでの講演、セミナー講師等、幅広い分野で活躍中

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