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売却する前に知っておきたい譲渡税の節税方法

渡邊浩滋さん_画像 第12話

確定申告シーズンまっただ中。お客様の申告書を作っていて、「 昨年に物件を売却した方が多いなぁ 」という印象を持っています。

2〜5年くらい前に購入された方が売却して、利益を出しているケースが多いようです。そこで、今回は「 譲渡所得の節税方法 」について解説します。

1.譲渡所得の計算方法

個人の不動産の売却については、「 譲渡所得 」に分類されます。譲渡所得は、分離課税と言って、他の所得( 不動産所得や給与所得など )とは別個に計算をして、税率をかけます。

○譲渡所得=譲渡収入−( 取得費+譲渡費用 )

<譲渡収入>
譲渡収入とは、売却代金のことです。固定資産税の精算金は、売却代金の一部に該当するので、売却代金に含めないといけません。

<取得費>
取得費は、売った土地や建物の購入代金、建築代金、購入手数料などですが、建物の取得費は購入代金または建築代金などの合計額から減価償却費相当額を差し引いた金額となります。
なお、賃貸物件の場合には、購入時の登記費用や不動産取得税は、すでに必要経費とされているため取得費にはなりません。

<譲渡費用>
譲渡費用は、譲渡のために直接かかった費用です。
(例)売買契約書に貼る印紙代、仲介手数料、売却に際して行ったリフォーム費用、更地で売却する場合の家屋の取壊し費用など
なお、資産の維持管理のために行った修繕費や所有期間中の固定資産税、( 根 )抵当権の抹消費用は譲渡費用になりません。


上記の計算の結果、譲渡所得がプラスになれば、譲渡益になります。つまり、売却した結果いくらもうけたのか( キャピタルゲイン )に対して課税するということです。これがマイナスになれば、譲渡損( キャピタルロス )で、課税されません。

そして、譲渡所得の税率は、短期譲渡か長期譲渡かによって異なります。

○短期譲渡=譲渡する年の1月1日時点で5年以下の所有で税率が39.63%
○長期譲渡=譲渡する年の1月1日時点で5年超の所有で税率が20.315%

(譲渡する年の1月1日時点で判定)

例えば平成28年9月に売却した場合、平成23年7月に取得した不動産は、期間は5年を超えているのですが、譲渡する年( 28年 )の1月1日時点では、5年以下になるので短期譲渡になります。

2.意外に知られていない譲渡の特例と節税法

平成20年にリーマンショックが起こり、不動産の流通が落ち込みました。景気回復対策として、政府は平成21年、平成22年に土地を購入した方に税制上の特典を与えています。

(1)平成21年、平成22年に購入した物件を売却する場合

土地の売却益から1,000万円を控除してくれます。要件は、5年超保有していることです。平成21年に購入された方は、平成27年以後の売却、平成22年に購入された方は平成28年以後の売却から適用になります。この特例が使える方は、売却のチャンスかもしれません。

(2)平成21年、平成22年に土地を購入し、届出をした場合

平成21年または平成22年に土地を購入し、その翌年3月15日までに特例の適用を受ける届出をした場合には、その後10年間に別の土地を売却した際に、利益を圧縮( 課税の繰り延べ )できる特例があります。

土地を購入した年によって圧縮割合が異なります。具体的には、以下のような割合です。

○平成21年に土地を購入した場合
⇒売却益の80%( 21年の土地の取得価額を限度 )

○平成22年に土地を購入した場合
⇒売却益の60%( 22年の土地の取得価額を限度 )


購入した土地とは別の土地が対象となる点で、(1)と異なります。

(3)10年超保有していた物件を売却し、新たに買い替えする場合

買い替えにより取得した物件の価額により、最大80%利益を圧縮( 課税の繰り延べ )することができます。

ただし、買換え資産が土地の場合には、土地の面積が300平米以上のもの( 青空駐車場などは不可 )で、かつ、譲渡した土地の面積の5倍以内という要件があり、適用が非常に厳しくなっています。

(4)売却損になる不動産を同じ年に売却する

個人の譲渡税の計算は、給与や不動産収入とは、別で計算し( 分離課税 )、不動産所得の赤字とは相殺はできませんが、同じ年に売却した不動産の譲渡益と譲渡損は相殺することができます。

譲渡益が出る売買をした年は、譲渡損が出そうな物件を損切りするチャンスでもあります。

3.売却から考える個人と法人の違い

個人の譲渡所得の税率は変えようがありません。特に短期譲渡の税率は高いです。

今、高く売って税金を払った方がよいのか、それとも、値下がり覚悟で長く保有して長期譲渡になってから売却した方がよいのか、どちらの方が手残りが多く残るかで判断するとよいでしょう。

売却の利益を圧縮したいのであれば、法人の方が有利と言えます。法人であれば、個人のように不動産の売却が別計算ということはありません。

すべて合算での計算なので、賃貸経営の赤字、他事業の経費などと合算して計算されることになり、いろいろな節税策が使えます。売却まで考えて、個人か法人で所有するのがよいのかを検討しましょう。



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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 渡邊浩滋(わたなべこうじ)さん

渡辺税理士

税理士・司法書士・大家
渡邊浩滋総合事務所代表

サイト「大家さんの知恵袋」

■ 経歴

大学在学中に司法書士試験に合格

大学卒業後総合商社に入社。法務部にて契約管理、担保管理、債権回収などを担当

商社を退職後、税理士試験に合格
その頃、実家のアパート経営(5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚。 経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出する

資産税専門の税理士法人に勤務した後、2011年12月、独立開業

税理士の視点と大家の視点からアパート経営を支援するために活動し、税理士・司法書士のワンストップサービスを提供している

2011年、「行動する大家さんの会」を設立

2013年、「一般社団法人 大家さんの道しるべ」代表理事就任

資格専門学校の講師、賃貸住宅フェアでの講演、セミナー講師等、幅広い分野で活躍中

2017年からは日本全国の大家さんを救うべく、フランチャイズ展開を開始。
同じ志を持つ税理士を求めている。

■ 主な著書


大家さん税理士による 大家さんのための節税の教科書(ぱる出版)


大家さんのための超簡単!青色申告(クリエイティブ ワークステーション)


「税理士」不要時代(経営者新書)


税理士大家さん流 キャッシュが激増する無敵の経営 (ぱる出版)

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