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「税務署に○○の申告が認められた」のウソ

渡邊浩滋さん_画像 第18話

1、「 申告が通った、◯◯の経費が認められた 」というウソ

「 ◯◯の経費が認められた 」「 ◯◯の方法の申告書が通った 」なんて自慢気に話されたり、ブログやSNSで発言されている方を見かけたりします。

一部の税理士でも、そのような発言をする方もいるようです。それを鵜呑みにして、自分の申告でも認められると思ってしまうと大変です。それぞれのケースで考えてみましょう。

2、申告書を提出して、指摘を受けなかったケース

今はスルーされているだけという可能性が高いです。税務調査では5年間( 悪質な不正などがあった場合は7年間 )さかのぼられ、あとから修正されることがあります。

というのも、申告書を提出した段階では、申告書上の数字しか出てこない( 根拠資料を付けるわけではない )ので、明確に間違っているかどうかがわかりづらいためです。

例えば、ご自身で確定申告をされていたというケースでよく目にするのは、「 区分マンションの購入価額を全額建物として計上して、減価償却している 」ものがあります。

区分マンションといえども、土地の部分があるため、「 購入金額を建物部分と土地部分に区分して、建物部分のみを減価償却する 」ことが正しいといえます。明らかな間違いですが、税務署からは指摘を受けていないのです。

「 指摘を受けない=認められた 」とは当然なりません。今後、税務調査で間違いを指摘される可能性は充分考えられます。

さらに、実際に困ってしまうのは、その物件を売却したときです。売却した際の譲渡所得の計算では、取得費を土地と建物それぞれ金額を記載していくため、不動産所得で計算している建物金額と、現実の建物金額が異なることになります。

3、税務調査で指摘を受けなかったケース

これは認められた可能性は高いですが、税務調査では税務署の調査官のレベルによっても結果が異なりますし( スルーされることもある )、限られた日数でポイントに絞った調査をするため、たまたま見過ごされてしまうこともありえます。

いずれにしても、そのまま認められたといって、汎用性があるとは思わない方がよいでしょう。

4、事前に税務署の職員に相談して認められたケース

税務署では相談窓口があり、事前に税金の相談をすることができます。事前に相談して、税務署の職員が認めたことは、流石に大丈夫だろうと思うかもしれません。

しかし、税務署の職員が認めたことでも、税務調査や裁判などでひっくり返ることは、よくあります。そんな・・・と思うかもしれませんが、以下のような事務運営指針の規定があるのです。

「 確定申告の納税相談等において、納税者から十分な資料の提出等があったにもかかわらず、税務職員等が納税者に対して誤った指導を行い、納税者がその指導に従ったことにより過少申告となった場合で、かつ、納税者がその指導を信じたことについてやむを得ないと認められる事情がある場合 」には、過少申告加算税・無申告加算税が課さない。

税務署の誤指導によって税額を支払うことになったとしても、過少申告加算税や無申告加算税などのペナルティは課さない、ということです。裏をかえせば、本来納めるべき税金はしっかり取られる( 課さないとは規定されていない )ということです。

東京地裁平成19年9月14日判決においては、税務署の指導について下記の判断がなされています。

「 そもそも税務相談は、行政サービスの一環として、納税者の納税申告の一助となるように設けられているものであり、税務署側で職権的な調査を行って課税要件事実の認定ないし判断をするのではなく、相談者の提示した資料及びその説明の範囲内で検討して、当該納税の額や手続等について指導ないし助言を行うものである。

そうすると、税務相談における税務署職員による指導ないし助言は、相談者に対して、一応の参考意見を示すものにとどまり、相談者がその指導ないし助言の内容のとおりに納税申告をした場合にその申告内容を是認することまでを意味するものではなく、最終的にどのような納税申告をすべきかは、納税者の判断と責任に任されているというべきである。」


最終的には、自分自身で判断しないといけないということです。

5、何をもって判断すればよいのか

これでは、税理士も税務署も信用できないではないか、と感じてしまうかもしれません。私は税理士なので、税理士を信用してほしい気持ちなのですが、我々が拠り所としているのは税法の趣旨であったり、通達や過去の裁判例です。

当然、それらが全てではありません。通達は、税法の解釈をしたものでありますが、法律ではありません。我々が縛られることはありません( 税務署は縛られます )。税務署側はこのように解釈するのか、という参考にはなり得ます。

裁判例も、それぞれの個別事情があるので、当てはまらないケースもありますが、そこで判断される見解は参考になります。つまり、何を根拠にして結論を出したかが重要だということです。

なかなか、一般の方は通達や裁判例を調べるのは大変なので、税務署や税理士など答えた内容について、根拠を聞いてみてください。その根拠がしっかり説明できているかどうかで判断した方がよいでしょう。

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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 渡邊浩滋(わたなべこうじ)さん

渡辺税理士

税理士・司法書士・大家
渡邊浩滋総合事務所代表

サイト「大家さんの知恵袋」

■ 経歴

大学在学中に司法書士試験に合格

大学卒業後総合商社に入社。法務部にて契約管理、担保管理、債権回収などを担当

商社を退職後、税理士試験に合格
その頃、実家のアパート経営(5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚。 経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出する

資産税専門の税理士法人に勤務した後、2011年12月、独立開業

税理士の視点と大家の視点からアパート経営を支援するために活動し、税理士・司法書士のワンストップサービスを提供している

2011年、「行動する大家さんの会」を設立

2013年、「一般社団法人 大家さんの道しるべ」代表理事就任

資格専門学校の講師、賃貸住宅フェアでの講演、セミナー講師等、幅広い分野で活躍中

2017年からは日本全国の大家さんを救うべく、フランチャイズ展開を開始。
同じ志を持つ税理士を求めている。

■ 主な著書


大家さん税理士による 大家さんのための節税の教科書(ぱる出版)


大家さんのための超簡単!青色申告(クリエイティブ ワークステーション)


「税理士」不要時代(経営者新書)


税理士大家さん流 キャッシュが激増する無敵の経営 (ぱる出版)

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