1.平成29年から納税にクレジットカードが利用可能に
平成29年から税金の納付方法が大きく変わったのをご存知でしょうか? ほぼ全ての税金について、クレジットカードでの納付が可能になりました。
今までは、納付書で金融機関で納めたり、振替納税で口座引落しの手続きをしたり、ポイントを貯めるためにコンビニでnanacoで払うなど、色々と手間がかかっていましたが、これからはクレジットカードで楽に納税することができます。
(1)対象となる税目
・申告所得税及び復興特別所得税
・消費税及び地方消費税
・法人税
・地方法人税
・相続税
・消費税
など
加算税や延滞税などの附帯税の納付もできます。
源泉所得税、登録免許税については、告知分のみが対象となっています。告知分とは、納期限までに納付がない場合などに、納付すべき税額、納期限及び納付場所を記載した納税告知書の送付をもって徴収されるものになります。
したがって、不動産を購入して登記申請する際の登録免許税には使えません。また、1月や7月に支払う、給与等の源泉所得税の納付にも利用できませんが、平成29年6月からは、利用できる予定です。
また、固定資産税、個人事業税、不動産取得税などの地方税にも対応しています( まだ対応していない地域もあるかもしれません )。
地方税の納税の上限は、100万円までです。固定資産税、個人事業税について、振替納税の手続きをされている方は、クレジットカードでの納税はできません。一旦、振替納税中止の手続きを行って頂く必要があります。
( 所得税などについては、振替納税の手続きをしていても、クレジットカード納税は可能ですので、特別の手続きは必要ありません )。
法人事業税、法人住民税にも、対応はしていますが、事前に県税事務所などで、専用の納付書を発行してもらう必要があります。
(2)利用金額
クレジットカードで納付できる金額は、1,000万円未満、かつ、利用するカードの決済可能金額以下になります。通常のカードは、決済可能額が50万円程度が一般的かと思いますので、その限度での納税になります。
なお、一部カード払いで、残りを現金払いができるかを、税務署に電話で確認したところ、問題ないとのことでした。
例えば、納税額が100万円の場合、カードで50万円、残りの50万円を納付書で支払うことができます。ただし、カードでの支払いは手数料がかかりますので、手数料を含めた金額を決済可能金額以下にしなければなりません。
(3)納税方法
指定するサイト( 国税クレジットカードお支払いサイト )で、利用者情報、税目、納税額などを入力して、カード決済する流れになります。
入力項目は多くないので、簡単にできます。インターネット環境があるパソコン、スマホなどから24時間、休日関係なく利用が可能です( メンテナンスで利用できない時間がありますので、ご注意ください )。
2.クレジット納付のメリット
(1)カードのポイントがつく
クレジットカードを利用するということなので、カードの利用額に応じたポイントが貯まります。
(2)分割払い、リボ払いもOK
支払いは、一括払い、分割払い( 3回、5回、6回、10回、12回 )、リボ払いの中から選ぶことができます。カード会社の手数料は別途かかりますが、
納税額分の融資を受けたことと同じことになるため、資金繰りが苦しいときに、カード払いを利用することもできます。
(3)家族カードでも利用可能
家族カードでも納付が可能です。本人がカードを持っていなくても納税できます。ただし、本人ではなく、家族の口座からカードの引落しがされる場合には、納税額分を家族の口座に入れるなどの精算をしないと、贈与になってしまい、贈与税が課税される可能性があります。
3.クレジット納付のデメリット
(1)利用手数料がかかる
納付額が1万円ごとに、82円( 税込 )の手数料がかかります。カードのポイントが1%なら、100円還元されるので、1万円につき18円得になります。
1.5%の還元率なら1万円につき、68円得になります。2%の還元率なら1万円につき、122円得になります。還元率が0.5%ですと、1万円につき、32円損になってしまいますのでご注意ください。
(2)納税証明書がすぐに発行されない
カードで納税する場合、すぐに納税証明書に反映されません。国税の場合、納付済みの納税証明書が発行となるまで、3週間程度かかる場合があります。
融資の関係で、金融機関に納税証明書の提出が求められているのであれば、カードでの納付はしない方がよいと言えます。
(3)納付間違いに注意
インターネットのサイトで手軽に納税ができてしまう反面、金額の入力間違いも起こり得るかと思います。
10万円の納付のところを、100万円納付してしまった場合には、税務署から差額の90万円は還付されますが、カード手数料については、税務署が受け取るものではないため、返還されない場合があります。
(4)詐欺サイトに注意
インターネットでクレジットカードの情報を入力して納税しますので、偽のサイトが作られて、詐欺被害に遭うことも考えられます。国税庁が指定した納付受託者( トヨタファイナンス株式会社 )であることを確認した上で、手続きを行ってください。
クレジットカードが利用できて、便利になる反面、デメリットや注意点もあります。その点に気を付けて利用するようにしましょう。