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本当に節税になってる?税金の繰り延べを理解しよう。

渡邊浩滋さん_画像 第26話

1.減価償却は節税になる?

前回のコラムで、海外不動産の減価償却費を使った節税スキームについて書きました。

「 減価償却で節税できる 」「 減価償却はすばらしい経費だ 」なんて聞くことがあります。本当なのでしょうか?

減価償却は、節税の中でも、「 税金の繰り延べ 」に該当するものと、私は考えています。まずは、「 税金の繰り延べ 」とは何か。そこから減価償却を使った節税の本当の意味を2回にわたって説明していきます。

2.税金の繰り延べ

繰り延べとは、支払時期の先延ばしをする効果をいいます。つまり、今払うべき税金を先送りにするということです。

税金の繰り延べの代表例として、短期前払費用があります。短期前払費用は、所得税基本通達37-30に規定があります( 以下、要約 )。

◯一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうちその年12月31日においてまだ提供を受けていないもの( 前払費用 )を
◯その支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において
◯継続して、その支払った年分の必要経費に算入しているときは、これを認める


例えば、火災保険( 保険期間1年 )を考えてみましょう。原則は、その年に対応する期間の保険料分のみを必要経費に計上することになります。



( 例 )3月1日に年12万円( 年払い )の保険に加入した場合
 →→→3月から12月までの期間は10カ月になるため、期間按分で10カ月分の計算をします

12万円×( 10カ月/12カ月 )=10万円

2万円は、翌年の期間に対応するため、翌年の経費に回されます。翌年の3月に、継続して年払いの保険料を支払ったときには、3月から期間が開始されるため、その年の経費とする金額は、12万円×( 10カ月/12カ月 )=10万円と計算します。

前年から繰り越された2万円がありますので、年間で経費にできる金額合計は、2万円+10万円=12万円になります。

これを短期前払費用とすれば、1年目から12万円を全額その年の必要経費にすることができるのです。



この場合、毎年継続して適用することが条件となるため、翌年以降も全額必要経費にしなければいけません。一見すると、得したように思いますが、この保険料を4年間かけた場合( 5年目の2月末で解約 )を考えてみましょう。



1年目は短期前払費用の方が、2万円多く計上できますが、5年目は2万円少なく計上されることになります。つまり、1年目で払わなくてよかった税金を、5年目に多く支払っているということです。

さらに、トータルで経費にできる金額48万円というのは変わりません。支払っている金額の合計が48万円なので、当然です。これが税金の繰り延べです。

3.保険の場合

もう一つ、税金の繰り延べの代表例として、( 生命 )保険があります。個人で生命保険をかけていても、生命保険料控除で最大4万円が所得控除になります。

会社で生命保険をかけると、保険の種類等によっては全額損金になるものもあります。積立型の保険に加入すれば、保険料の半分を経費としながら、現金を貯蓄できます。

何となく、経費になって節税ができるような感覚になりますが、これも税金の繰り延べです。保険に入らないと節税にならなくて、「 もったいない! 」というような保険の勧誘も多いようです。

保険の加入を過度に勧めるような内容がホームページでも紹介されているものがあります。実際に、私が見たホームページを紹介します。そのホームページには、次のような内容がと書いてありました。



( 例 )年間利益1,000万円の会社の5年間

< 節税対策をしていない会社 >
1,000万円( 税引前利益 )×36%( 法人税の税率 )×5年=1,800万円( 税金 )

○内部留保( 手残り )
1,000万円×5年−1,800万円( 税金 )=3,200万円

< 節税対策をしている会社 >
( 全額損金の保険料を1,000万円( 5年間 )契約した場合 )

0万円( 税引前利益 )×36%( 法人税の税率 )×5年=0万円( 税金 )

○内部留保( 保険料 )
1,000万円×5年−0万円( 税金 )=5,000万円



これだけ見ると、保険に入った方がよいのかと思ってしまいます。しかし、この続きには、このようなことが書いてありました。

◇5年後に返戻率80%の段階で、保険を解約した場合、4,000万円の雑収入

保険に入ってなければ、手残りは、3,200万円ですが、保険に入っていれば、4,000万円が戻ってくるように思えます。しかし、これは正しいのでしょうか? 雑収入4,000万円は収入なので、税金がかかります。

4,000万円×36%=1,440万円( 税金 )
4,000万円−1,440万円=2,560万円( 手残り )
が正解です。

保険に入っていない方が手残りが多くなっていることがおわかりでしょうか。保険料を払ったときには税金を払わず、保険金を受け取ったときに、税金を払うことになり、税金を先送りにしていることになります。

しかも、受け取るときは、払った金額よりも目減りすることがあるということに注意しなければなりません。

税金の繰り延べとは、税金の支払いを先送りにしているにすぎません。まずは、この点をしっかり理解しておきましょう。次回は、税金の繰り延べが効果的になるケースを書きます。

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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 渡邊浩滋(わたなべこうじ)さん

渡辺税理士

税理士・司法書士・大家
渡邊浩滋総合事務所代表

サイト「大家さんの知恵袋」

■ 経歴

大学在学中に司法書士試験に合格

大学卒業後総合商社に入社。法務部にて契約管理、担保管理、債権回収などを担当

商社を退職後、税理士試験に合格
その頃、実家のアパート経営(5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚。 経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出する

資産税専門の税理士法人に勤務した後、2011年12月、独立開業

税理士の視点と大家の視点からアパート経営を支援するために活動し、税理士・司法書士のワンストップサービスを提供している

2011年、「行動する大家さんの会」を設立

2013年、「一般社団法人 大家さんの道しるべ」代表理事就任

資格専門学校の講師、賃貸住宅フェアでの講演、セミナー講師等、幅広い分野で活躍中

2017年からは日本全国の大家さんを救うべく、フランチャイズ展開を開始。
同じ志を持つ税理士を求めている。

■ 主な著書


大家さん税理士による 大家さんのための節税の教科書(ぱる出版)


大家さんのための超簡単!青色申告(クリエイティブ ワークステーション)


「税理士」不要時代(経営者新書)

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