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大家の誤解。「経費を使う=節税」と信じて手残りを減らす人たち。

渡邊浩滋さん_画像 第3話

1、 「 経費を増やせば手残りが増える 」は本当か?

前回のコラムで、大家が手残りを増やすには、次の3つの方法しかないとお伝えしました。

@収入を上げる
A支出を減らす
B税金を抑える


@の「 収入を上げる 」とAの「 支出を減らす 」は、イメージがつきやすいと思います。空室を埋めたり、ローンの金利を下げる交渉をすることなのかと。しかし、Bの「 税金を抑える 」ということについては、イメージが湧きにくいのではないでしょうか?

実は、これを実行するのは簡単ではないのです。よく、節税しなければと考えている方で、「 税金が高いから、何とか経費を使わないと・・・ 」という方がいらっしゃいます。

これは、「 お金を残す 」という観点から見て、本当に正しいことなのでしょうか?
以下に、具体例を使って検証してみましょう。

前回と同じく、「 収入・支出・税金 」だけを使って、手残り金額を考えてみましょう( 税金は、所得税・住民税ですが、わかりやすく数字を丸めています )。

(1)収入1,000万円、支出500万円の場合

収入  1,000万円
支出(経費)500万円
差引    500万円
税金    110万円
手残り   390万円

(2)上記の(1)の支出( 経費 )を増やして700万円にした場合

収入  1,000万円
支出(経費)700万円
差引    300万円
税金     50万円
手残り   250万円

比較してみると、税金は110万円から50万円と、60万円減っていますが、手残りは、140万円も低くなってしまいます。収入を変えてみても結果は、同じです。

(3)収入2,000万円、支出( 経費 )500万円の場合

収入   2,000万円
支出(経費)500万円
差引   1,500万円
税金    500万円
手残り  1,000万円

(4)上記(3)の支出( 経費 )を増やして700万円にした場合

収入   2,000万円
支出(経費)700万円
差引   1,300万円
税金    410万円
手残り   890万円

税金は90万円減りますが、手残りも110万円減ってしまうのです。このように、所得が大きくても小さくても、税金が減る以上に手残りが減る結果になるのです。

2、経費と税金の関係

なぜ経費を使って税金を減らすと、手残りも減ってしまうのでしょうか。それは、支出( 経費 )は100%お金が出ていきますが、税金は100%は出ていかないからです。

所得税は5%〜45%の間で、段階的に税率が適用されます。住民税は一律10%です。所得税・住民税を合わせると、15〜55%の税率で税金を払うことになります。



1,800万円超の所得ですと、50%の課税になります。この税率の差を見て、「 1,800万円になると税率が50%に上がるから、900万円の所得の人よりも損をする 」と考える方がいますが、それは誤解です。

それであれば、一定の収入以上ある人は、誰も働かなくなってしまいます。そうならないように日本では「超過累進税率」という方式をとっています。

どういうことかというと、1,800万円の所得がある人でも、195万円以下の部分は税率15%、195万円超330万円以下の部分は営利20%というように、所得を段階的に分けて、その部分に対応する税率を適用しているのです。

つまり、50%の税率がかかってくるのは1,800万円を超えた部分だけなのです。ですから、収入が増えれば増えるほど損をする、ということにはなりません。

日本の最高税率は、平成27年から55%になりました。しかし、実際に55%課税される方は極々少数です。大抵の方は、20%〜30%程度に収まるのではないでしょうか。

もし、自分の税率が30%の場合、100万円を経費で使った場合、30万円の税金が減ることになります。100万円の税金が減るわけではありません。70万円はマイナスなのです

つまり、「 無駄な経費を使うより、税金をきちんと払った方が、手残りは多くなる 」ということです。ところが、「 節税 」という言葉には不思議な魔力があり、「 節税になりますよ 」といわれた途端に、財布のヒモが緩んでしまう人は多いようです。

「経費を使う」という目的があり、そのために支出をするならいいのですが、「 お金を残したい 」「 手残りを増やしたい 」と考えるのであれば、この部分の仕組みを理解して、間違いのないようにする必要があります。

3、経費を使うことの意味とは?

経費を使うことは節税になるのか? そう質問されたら、私は「 ( お金を残すという意味では )節税にはなりません 」と答えています。

ですが、「 経費を使うと税率の分だけ税金が安くなる 」ということは事実です。別の見方をすると、税率分を割り引いた価格で物を購入できたり、サービスの提供を受けられたということになります。

例えば、自分の税率が30%の場合は、10万円のパソコンを経費で購入すると、3万円税金が安くなるので、トータルで見るとパソコンを7万円で購入できたと考えることができます。

経費になるからパソコンを買うということではなく、「 10万円するパソコンが7万円で購入できる。これはお買い得といえるのか? 」という視点で判断するべきなのです。

お買い得なのかどうかを判断するには、割引率を知らないといけません。つまり、自分の税率です。自分の割引率が15%なのか、30%なのかによって、購入すべきかどうかの判断が変わると思います。

テレビなどで破産した元経営者の家などが写ったりすると、高価なものがたくさんあって、驚くことがあります。経営者が、「 税金を払うのがもったいないから経費を使った方が得 」と考えて買い物をして、お金が残らなくなってしまったのもしれません。

無知は、間違った経営判断にもつながります。まずは、自分の割引率をしっかりと把握しましょう。その上で、税金と手残りの予測を立てながら、今、何に経費を使うべきなのかを決めていくことが大切といえるでしょう。


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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 渡邊浩滋(わたなべこうじ)さん

渡辺税理士

税理士・司法書士・大家
渡邊浩滋総合事務所代表

サイト「大家さんの知恵袋」

■ 経歴

大学在学中に司法書士試験に合格

大学卒業後総合商社に入社。法務部にて契約管理、担保管理、債権回収などを担当

商社を退職後、税理士試験に合格
その頃、実家のアパート経営(5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚。 経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出する

資産税専門の税理士法人に勤務した後、2011年12月、独立開業

税理士の視点と大家の視点からアパート経営を支援するために活動し、税理士・司法書士のワンストップサービスを提供している

2011年、「行動する大家さんの会」を設立

2013年、「一般社団法人 大家さんの道しるべ」代表理事就任

資格専門学校の講師、賃貸住宅フェアでの講演、セミナー講師等、幅広い分野で活躍中

2017年からは日本全国の大家さんを救うべく、フランチャイズ展開を開始。
同じ志を持つ税理士を求めている。

■ 主な著書


大家さん税理士による 大家さんのための節税の教科書(ぱる出版)


大家さんのための超簡単!青色申告(クリエイティブ ワークステーション)


「税理士」不要時代(経営者新書)

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