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借り換えの落とし穴と事前に確認すべき事項

渡邊浩滋さん_画像 第31話

最近、不動産に対する融資が厳しくなってきたと漏れ聞こえてきますが、金融機関は相変わらず、低金利での借り換え合戦が続いております。

先日、私のところに、「 借り換え後にキャッシュフローが悪化しました。借り換えなければよかったのでしょうか? 」と、相談に来られた方がいらっしゃいました。

金利が3.5%から金利が1.5%と低くなっているにもかかわらずです。では、どうしてこのようなことになったのでしょうか?

1.借り換えに係る費用

まず、借り換えに係る費用を整理していきましょう。現在借り入れしている金融機関をA銀行、借り換え先の金融機関をB銀行とします。

(1)( 根 )抵当権の設定費用

借り換えをするということは、A銀行で設定していた( 根 )抵当権を抹消し、B銀行で新たに( 根 )抵当権を設定することになります。

( 根 )抵当権の抹消には、登記が必要で、登録免許税がかかります。抹消の登録免許税は、不動産の個数( 不動産の個数が20を超える場合には20 )×1,000円です。

B銀行での(根)抵当権設定についても、登記が必要で、登録免許税がかかります。設定の登録免許税は、登記する債権額( 極度額 )によって異なります。

債権額( 極度額 )×0.4%

1億5,000万円の債権額の抵当権設定登記であれば、60万円になります。不動産が複数あっても、同時に設定する場合には、費用が増えることはありません。

その他、登記簿上に記載されている住所に変更がある場合には、住所変更の登記が必要になります。これらの登記を司法書士に依頼する場合には、司法書士報酬もかかることになります。

(2)一括返済の違約金

A銀行での借り入れが固定金利で、その返済期間中に借り換えする場合には、違約金がかかることがあります。

違約金がかかるかは、借り入れの契約書( 金銭消費貸借契約書 )に記載されています。違約金の条件( 残債の2%など )は、金融機関によって異なります。借り入れる際には、契約書などで必ず確認しておくようにしましょう。

その他、B銀行で融資手数料がかかる場合があります。

2.金利が減ったのに返済額が減らないのはなぜか?

冒頭の相談者さんの話に戻ります。この方、借入金残高が1億5,000万円、残年数が10年、3.5%の固定金利で借りられておりました。

もともと資金繰りが厳しかったこともあり、何とかならないものかと考えていた矢先、ある銀行さんから、金利1.5%の固定金利で融資できるとのことで、借り換えを実行しました。借り換えにあたり、違約金などの諸費用500万円かかりますが、こちらも合わせて融資できるということ。

現在の返済額が月約150万程度で、完済までの利息の合計が約2,800万円に及びます。借り換えた後は、返済額が月約140万円程度になり、完済までの利息合計が約1,200万円。借り換え費用がかかったとしても充分メリットがあると判断しました。

しかし、実際に借り換えてみると・・・
税引き後のキャッシュフローが全く楽にならなかったのです。というのも、利息金額が減ることによって、税金が高くなることを見込んでいなかったのです。

返済額が月10万円減ったことにより、年120万円支出が減ります。それに対し、増加する税金( この方の税率は、所得税・住民税・事業税を合計して45% )が1年目で126万円ですから、キャッシュフローとしては悪くなっています。
         


3.借り換えをする場合には、利息総額よりもキャッシュフローがどうなるか

これではキャッシュフローが苦しくて借り換えた意味がありません。借り換えない方がよかったのでしょうか?

利息が高いままより、低い方がよいことは間違いありません。借り換えないままでも、利息は減っていきますので、いずれキャッシュフローが苦しくなる時期は訪れます。

税金が高くなっても支払額が減ることを優先するべきだとは思います。しかし、短い借入期間の場合、諸費用を上乗せして借り入れることでキャッシュフローが悪くなる可能性があることを念頭に置かなければなりません。

このケースでは、借り換えの際に、返済期間を長く設定できないかどうか交渉すべきだったと考えます

この方が仮に10年の返済期間を15年の返済期間にしていたら、年間500万円の返済額が減ります。税金が高くなっても、キャッシュフローは楽になったのではないでしょうか。

もしくは、借り換える際に、法人化を検討してもよかったかもしれません。法人化することで節税が図られ、税金によるキャッシュフローの悪化を防げることになります。

この方には、返済期間の延長をお勧めしました。しかし、その金融機関にとっては条件変更( リスケジュール )に該当し、格付けが下がる可能性があります。格付けが下がると金利が上がる可能性があります。

折角、金利を下げて借入れたのに・・・。
借り換えの際に( 新規融資の際に )長めの借入期間を設定しておけば、条件変更にならなかったはずです。

このように借り換える前に相談してくださればよかったのにと思うことは多々あります。借り換える際には、利息だけで判断せずに、キャッシュフローがどのように影響するのか、きちんとシミュレーションすることが大切です。

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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 渡邊浩滋(わたなべこうじ)さん

渡辺税理士

税理士・司法書士・大家
渡邊浩滋総合事務所代表

サイト「大家さんの知恵袋」

■ 経歴

大学在学中に司法書士試験に合格

大学卒業後総合商社に入社。法務部にて契約管理、担保管理、債権回収などを担当

商社を退職後、税理士試験に合格
その頃、実家のアパート経営(5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚。 経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出する

資産税専門の税理士法人に勤務した後、2011年12月、独立開業

税理士の視点と大家の視点からアパート経営を支援するために活動し、税理士・司法書士のワンストップサービスを提供している

2011年、「行動する大家さんの会」を設立

2013年、「一般社団法人 大家さんの道しるべ」代表理事就任

資格専門学校の講師、賃貸住宅フェアでの講演、セミナー講師等、幅広い分野で活躍中

2017年からは日本全国の大家さんを救うべく、フランチャイズ展開を開始。
同じ志を持つ税理士を求めている。

■ 主な著書


大家さん税理士による 大家さんのための節税の教科書(ぱる出版)


大家さんのための超簡単!青色申告(クリエイティブ ワークステーション)


「税理士」不要時代(経営者新書)

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