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高所得者は増税へ。「平成30年度税制改正」が大家さんに与える影響

渡邊浩滋さん_画像 第34話

昨年12月に平成30年度の「 税制改正大綱 」が発表されました。これは税制改正の案であって、毎年12月頃に発表され、翌年の3月頃に国会で承認され、決定になるものです。

今後の賃貸経営に関わってくる内容もあるため、どんな改正が行われようとしているのかを押さえておく必要があります。大家さんに影響がありそうなものをピックアップして解説します。

■ 1.給与所得控除額の見直し( 平成32年から )

(1)給与所得控除額を一律10万円引き下げる。

(2)給与所得控除の上限額を、年収850万円、控除額195万円( 現行:年収1,000万円、控除額220万円 )に引き下げる。

■ 2.公的年金等控除額の見直し( 平成32年から )

(1)公的年金等控除額を一律10万円引き下げる。

(2)年金以外の所得が1,000万円を超える場合は、控除額を引き下げる。

■ 3.基礎控除の見直し( 平成32年から )

(1)基礎控除38万円を一律10万円引き上げ、48万円とする。

(2)合計所得金額2,400万円を超える個人については、基礎控除を段階的に引き下げ、合計所得金額2,500万円を超える場合、基礎控除の適用をなしとする。

(3)基礎控除の引き上げに伴い、配偶者控除、扶養控除の対象となる親族の所得要件を38万円から48万円に引き上げる。

<解説>
平成29年度の改正( 平成30年から合計所得金額1,000万円を超える場合、配偶者控除が受けられない等 )に引き続き、高所得者の増税が続いています。

一方、法人税の税率は低いままですので、ますます不動産を法人で購入して、個人の税金を増やさない傾向が強まると思います。

■ 4.青色申告特別控除の見直し( 平成32年から )

青色申告者が、事業的規模かつ複式簿記などによる帳簿をつけた場合の65万円の青色申告所得控除額を55万円に引き下げる。 ただし、帳簿を法律で認められた電子保存をしているか、電子申告を行う場合には、65万円の控除が受けられる。

<解説>
不動産所得者にとって、65万円の控除はなくてはならないものです。電子保存は、要件が細かく届出などの手続きが必要です。電子申告されていない方は、この機会に電子申告しましょう。

■ 5.一般社団法人の相続税の課税の見直し( 平成30年4月から )

役員の過半数が同族であるなどの一般社団法人の役員( 相続開始前5年以内に役員だった人を含む )が死亡した場合には、その法人の純資産額を同族役員数で割った金額を相続税の課税対象として、その一般社団法人に対して相続税を課税する。

平成30年4月1日以後の一般社団法人の役員が死亡した場合について適用する。
平成30年3月31日以前に設立された一般社団法人については、平成33年4月1日以後に適用する。

<解説>
株式会社であれば、出資者は株式という財産を取得し、亡くなったときに株式を保有していれば、株式の価額に対して相続税がかかります。しかし、一般社団法人などは、そもそも出資持分、つまり株式という概念がありませんので、相続税がかからないことになっていました。

そこで、一般法人を設立し、そこに不動産を移転して相続税の課税を逃れるスキームが一部で行われていました。そこに規制が入ったのです。規制されたといっても、役員を増やすことで相続税を下げることは可能です。しかし、一般社団法人の議決権は、原則として、社員1名につき各1個となります。

社員を増やすことで、議決権をコントロールできなくなったり、役員を親族以外を参入させて支配権を乗っ取られることも考えられます。節税よりもきちんと承継していくことを優先した方がよいと考えます。

■ 6.相続税の小規模宅地の減額の要件の見直し( 平成30年4月から )

(1)持ち家に居住していない者( いわゆる家なき子 )に係る居住用の小規模宅地の減額( 330uまで80%減額 )について、次の者を対象外とする。

@相続開始前3年以内に、その者の3親等内の親族又はその者と特別の関係のある法人が所有する国内にある家屋に居住したことがある者
A相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがある者

(2)貸付用の小規模宅地の減額( 200uまで50%減額 )について、相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地を対象外とする。ただし、次の宅地は対象とする。

@平成30年3月31日以前から貸付事業の用に供した宅地
A相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている者が、貸付事業の用に供した宅地

<解説>
小規模宅地の減額を受けるために、持ち家を子どもに贈与したり、会社に売却して社宅化しているケースが規制されました。また、相続直前に賃貸物件を購入して減額を受けるケースも規制されることになりました。

相続対策に迫られている方は、平成30年3月31日までに駆け込みで賃貸物件を取得することがあるかもしれません。なお、賃貸物件の敷地になっている場合の土地の評価の減額(貸家建付地評価)は相続直前に購入したものでも引き続き受けられます。

■ 7.その他延長項目

(1)青色申告者が30万円未満の減価償却資産を全額経費にできる少額減価償却資産の特例の適用期限を平成32年3月31日まで2年間延長する。

(2)不動産の売買契約書に貼る印紙税の軽減税率の特例措置を平成32年3月31日まで2年間延長する。

(3)不動産取得税の課税される宅地を1/2とする特例措置、住宅及び土地の税率を4%から3%とする特例措置を、それぞれ平成33年3月31日まで3年間延長する。

今後の賃貸経営を考えるにあたって、税制改正を確認することは大切です。ご参考になれば幸いです。

【お知らせ】

私が監修した書籍『 賃貸経営でお金を残す! 不動産オーナーの儲かる節税 』が昨年末に発売されました。初心者向けの節税の本です。本屋さんで見かけたらお手にとってみてください。



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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 渡邊浩滋(わたなべこうじ)さん

渡辺税理士

税理士・司法書士・大家
渡邊浩滋総合事務所代表

サイト「大家さんの知恵袋」

■ 経歴

大学在学中に司法書士試験に合格

大学卒業後総合商社に入社。法務部にて契約管理、担保管理、債権回収などを担当

商社を退職後、税理士試験に合格
その頃、実家のアパート経営(5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚。 経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出する

資産税専門の税理士法人に勤務した後、2011年12月、独立開業

税理士の視点と大家の視点からアパート経営を支援するために活動し、税理士・司法書士のワンストップサービスを提供している

2011年、「行動する大家さんの会」を設立

2013年、「一般社団法人 大家さんの道しるべ」代表理事就任

資格専門学校の講師、賃貸住宅フェアでの講演、セミナー講師等、幅広い分野で活躍中

2017年からは日本全国の大家さんを救うべく、フランチャイズ展開を開始。
同じ志を持つ税理士を求めている。

■ 主な著書


大家さん税理士による 大家さんのための節税の教科書(ぱる出版)


大家さんのための超簡単!青色申告(クリエイティブ ワークステーション)


「税理士」不要時代(経営者新書)

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