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確定申告時の質問NO.1「開業費」についてのまとめ

渡邊浩滋さん_画像 第36話

確定申告真っ只中です。日々忙殺して、いつもこの時期は、気づいたら春になっています( 笑 )

確定申告時に大家さんのご質問で一番多いのが、開業費です( 当社調べ )。開業費について詳しく記載されている書籍がない( 明確にされていない部分もあるため書籍にできない事情もあります )ため、なかなかご自身では解決できないところかと思います。

そのような理由から、今回のコラムでは、開業費についてまとめてみました。



1.開業費とは?

開業前、つまり、「 賃貸不動産を購入する前に、かかった経費 」は、すべて開業費になると思っている方が多いようです。それは本当でしょうか?

開業費に該当すれば、60カ月の均等償却、または「 任意償却 」のいずれかの方法で償却( 経費 )することが可能です。「 任意償却 」とは、経費に繰り入れる年度と金額を自由に決めることができる償却方法です。

赤字になる年は償却せずに、黒字になる年に償却するなど、経費をコントロールすることができるため、節税を考えると非常に有利です。( とくに高い税率になるときに使うと大きな節税になります )

しかし、開業前にかかった経費がすべて、開業費になるとは限りません。開業費は、下記の3要件を満たすものでなければならないとされているためです。


(1)事業に関する費用であって、かつ、支出の効果が1年以上に及ぶもの
(2)資産の取得に要した費用もしくは、前払費用でないこと
(3)開業準備のために特別に支出した費用であること


開業費になるか、ならないかは非常に難しい問題です。個別的に検証していきましょう。

2.どんなものが開業費になるの?

事業を開始するまでに特別に支出する広告宣伝費、接待費、旅費、調査費等が該当すると例示されています。

開業準備のために特別に支出した費用でなければなりませんので、開業より何年も前に支出した費用ですと、開業費に該当しない可能性が出てきます。

何年前までならOKという明確な規定はありませんが、ある程度、開業準備に必要であったことの理由や証拠資料が出せるようにしておく必要があります。

例えば、5年も前に支出したものを、開業費にすれば、その申告は非常に疑わしいものになります。常識的に考えても、せいぜい開業の半年くらい前からのものが妥当と考えられます。

3.登記費用・不動産取得税は開業費になるか?

登記費用は、物件を購入する際にかかるものであり、まだ賃貸開始をしていない状況で支出するものです。これが開業費に該当するのか、3要件に当てはめて検討してみましょう。

登記費用や不動産取得税は、「 購入時 」に効果が及ぶものと考えられ、「 将来にわたって効果が及ぶもの 」ではないと考えられます。よって、開業費ではなく、その年の経費に計上していきます。

4.パソコンなどの固定資産は開業費になるか?

10万円以上のパソコンなどは、固定資産に該当します。固定資産は事業の用に供したときから、減価償却として経費にすることができるという扱いになります。

したがって、事業を開始する前に購入した固定資産については、開業費ではなく、固定資産として計上し、業務を開始した後で減価償却していくことになります。

5.開業前に行ったリフォーム代は?

中古の建物を購入し、リフォーム後に賃貸するような場合のリフォーム工事の費用は、事業の用に供するために支出した費用とされ、建物の取得価額に含まれます。

つまり、減価償却して経費化していくものになります。開業費にはなりません。また、内容が修繕費に該当するものであったとしても、修繕費にはなりませんので気を付けてください。

6.既に賃貸物件を所有している方が、新たな物件を購入する際にかかる開業費

既に賃貸物件をお持ちの方が、新たに物件を購入する際に支出する費用は開業費にはなりません。賃貸を開始されているのであれば、すでに開業しているためです。

物件毎に開業という判断をするのではなく、ご自身が賃貸業を開業しているかどうかで判断をしていきます。



7.事業的規模でなくても開業費になるの?

開業費の取扱いについては、条文上「 事業 」という文言が入っているため、事業的規模でないと開業費は計上できないと説明する方はいらっしゃいます。
( 税務署の職員の方が言っていたとしても必ずしも正しいとは限らないと私は思っています )

しかし、国税庁のHPでも、事業的規模の相違点で開業費について挙げられておりません。
参照:http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1373.htm

また、税務署の相談事例( 税務署内部資料 )には、以下のような例が紹介されています。


・自宅マンションを賃貸した場合、賃貸開始以前に支出した費用( 資産の取得に要した金額とされるべき費用及び前払費用を除く )は開業費として償却することとなる

・不動産の貸付業を営んでいない者が借地上に賃貸用建物を建築する間に支払う地代は、開業費の取扱いに準じ繰延資産として取り扱うこととして差し支えない


よって、事業的規模により異なる取り扱いはしていないように思われます。

私の個人的意見としては、事業的規模に満たなくても開業費は計上できるものと考えます。( ただし、今後の裁判や裁決などで否定される可能性はありますが )。

開業費は、税務署も注目するものになります。何でもかんでも入れるのはどうかと思いますが、正当なものは、きちんと計上するべきです。

確定申告期限まであと少し。がんばりましょう。

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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 渡邊浩滋(わたなべこうじ)さん

渡辺税理士

税理士・司法書士・大家
渡邊浩滋総合事務所代表

サイト「大家さんの知恵袋」

■ 経歴

大学在学中に司法書士試験に合格

大学卒業後総合商社に入社。法務部にて契約管理、担保管理、債権回収などを担当

商社を退職後、税理士試験に合格
その頃、実家のアパート経営(5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚。 経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出する

資産税専門の税理士法人に勤務した後、2011年12月、独立開業

税理士の視点と大家の視点からアパート経営を支援するために活動し、税理士・司法書士のワンストップサービスを提供している

2011年、「行動する大家さんの会」を設立

2013年、「一般社団法人 大家さんの道しるべ」代表理事就任

資格専門学校の講師、賃貸住宅フェアでの講演、セミナー講師等、幅広い分野で活躍中

2017年からは日本全国の大家さんを救うべく、フランチャイズ展開を開始。
同じ志を持つ税理士を求めている。

■ 主な著書


大家さん税理士による 大家さんのための節税の教科書(ぱる出版)


大家さんのための超簡単!青色申告(クリエイティブ ワークステーション)


「税理士」不要時代(経営者新書)

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