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残念な確定申告にしないために!「経費使っても意味ないゾーン」を知ろう。

渡邊浩滋さん_画像 第38話

1.残念な確定申告書

ご自身で作成された確定申告書や、他の税理士さんが作成した確定申告書を参考に、法人化した方がよいのか、来年以降の戦略をどのように考えたらよいか等の相談を受けることがあります。

その中で、残念だなと思う確定申告書が多く見受けられます。何が残念かというと、「 せっかく支出した経費が無駄になっている 」ことがあるのです。

経費に計上しても意味がないし、それ以上経費をかけても節税にもならない状態になっているということです。これは決算書が黒字でも赤字でも、ありえる話です。

2.黒字の場合( 青色申告特別控除 )

不動産所得が黒字の場合は、青色申告をすることで、青色申告特別控除が受けられます。1室の賃貸からでも10万円の特別控除が受けられます。

事業的規模( おおむね5棟10室以上 )の賃貸経営をしている方は、複式簿記による帳簿をつければ、10万円に代えて、65万円の控除が認められます。

10万円や65万円の支出がなく、経費として使ったのと同じ効果があるので、非常に大きな特典になります。

しかし、赤字の場合には、これらの特別控除が適用できません。10万円控除もしくは65万円の控除は、黒字の範囲内でしか控除ができないのです。

例えば、事業的規模の場合、不動産所得が60万円出ているときに、経費を20万円使った場合と使わなかった場合で比較すると、以下のようになります。

(1)経費を20万円使った場合

「60万円-20万円=40万円(青色申告特別控除前所得)」
 40万円-40万円(青色申告特別控除)=0円

(2)経費20万円を使わなかった場合

「60万円(青色申告特別控除前所得)-60万円(青色申告特別控除)=0円

65万円控除は、黒字の範囲内しか控除できず、マイナスになることはないのです。青色申告特別控除前の所得が65万円以内であれば、いくらであっても、0円に集約されることになります。

3.赤字の場合( 土地負債利子の損益通算の制限 )

不動産所得が赤字になる場合には、給与などの他の所得と損益通算( 相殺 )することができます。しかし、その一方で、「 土地取得にかかる借入金の利子については、損益通算の対象にはならない 」という規定があります。

土地の借入金の利子については経費にならないということではなく、経費にはなるけれど、赤字になった場合には、赤字分から土地の借入金の利子を控除した金額が、損益通算の対象になるということです。

例えば、不動産所得がマイナス100万円になった場合はどうでしょう。経費計上した借入金の利息120万円のうち、土地にかかる利息が60万円だとすると、「 100万円-60万円=40万円 」のみが損益通算の対象になります。

それでは、不動産所得がマイナス30万円、土地負債利子が60万円の場合、経費をさらに20万円使う場合と使わなかった場合で比較するとどうなるでしょうか?

(1)経費20万円を使った場合

「-30万円-20万円=-50万円( 不動産所得 )」

<損益通算の対象額>
「50万円-50万円( 土地負債利子による制限 )=0円

(2)経費20万円を使わなかった場合

「-30万円( 不動産所得 )」

<損益通算の対象額>
「30万円-30万円( 土地負債利子による制限 )=0円

つまり、不動産所得のマイナスが、土地負債利子60万円に達するまでは、損益通算の金額は0円になるのです。損益通算ができないのであれば、その分、経費が切り捨てになっているのと同じです。

4.経費を使っても意味がないゾーン

上記2の青色申告特別控除額と上記3の土地負債利子を合わせたものが、下記の図になります。



例えば、「 事業的規模 」「 土地負債利子が200万円 」の方であれば、不動産所得がプラス65万円〜マイナス200万円の範囲内に収まった場合、全て0円( 確定申告書第1表の不動産所得の金額に記載される金額 )になります。

この「 経費を使っても意味がないゾーン 」を事前に知っておくのと知らないのでは大違いです。せっかく経費を使っても、使わなかったのと同じ結果になってしまうからです。

大家さんから、「 節税のために法人化をしたい 」と相談されることがあるのですが、法人化して個人の所得を減らしたのにこのゾーンに収まってしまい、法人化の効果が全くない場合があります。

また、奥様など、ご家族を青色事業専従者として給与を出す場合も同じです。給与を支給してもこのゾーンに収まってしまうのであれば、給与を出さなくても一緒です。

むしろ、青色事業専従者給与ではなく、配偶者控除や扶養控除を取った方が有利になります( 青色事業専従者給与と配偶者控除・扶養控除は併用できないため )。

5.法人の場合には

この青色申告特別控除額と土地負債利子の損益通算の制限は、個人だけの話になります。法人には、青色申告特別控除というものがありませんし、土地負債利子の損益通算の制限もありません。

そういう意味では、法人の方が経費を有効活用できると言えるかもしれません。是非、来年の確定申告のご参考にしていただければ幸いです。

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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 渡邊浩滋(わたなべこうじ)さん

渡辺税理士

税理士・司法書士・大家
渡邊浩滋総合事務所代表

サイト「大家さんの知恵袋」

■ 経歴

大学在学中に司法書士試験に合格

大学卒業後総合商社に入社。法務部にて契約管理、担保管理、債権回収などを担当

商社を退職後、税理士試験に合格
その頃、実家のアパート経営(5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚。 経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出する

資産税専門の税理士法人に勤務した後、2011年12月、独立開業

税理士の視点と大家の視点からアパート経営を支援するために活動し、税理士・司法書士のワンストップサービスを提供している

2011年、「行動する大家さんの会」を設立

2013年、「一般社団法人 大家さんの道しるべ」代表理事就任

資格専門学校の講師、賃貸住宅フェアでの講演、セミナー講師等、幅広い分野で活躍中

2017年からは日本全国の大家さんを救うべく、フランチャイズ展開を開始。
同じ志を持つ税理士を求めている。

■ 主な著書


大家さん税理士による 大家さんのための節税の教科書(ぱる出版)


大家さんのための超簡単!青色申告(クリエイティブ ワークステーション)


「税理士」不要時代(経営者新書)

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