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売却のタイミングを逃すな!長期譲渡まで待つべきか?

渡邊浩滋さん_画像 第39話

1.長期か短期かで変わる税率

ここ数年、不動産価格があがってきていることから、所有している物件の売却を検討される方が多いようです。

個人所有物件の売却の相談を受けていると、所有期間が5年を過ぎたもの、つまり、長期譲渡に該当するものの中で売却を検討される方がほとんどです。

個人の不動産の譲渡にかかる税金は、値上がり益( 譲渡所得 )に対して課税されます。売却する物件の所有期間によって課税させる税率が異なるのです。

※計算式などは、過去のコラム参照ください。
 第12話:売却する前に知っておきたい譲渡税の節税方法


短期譲渡とは、譲渡する年の1月1日時点で「 5年以下 」の所有で、税率は39.63%( 所得税・復興特別所得税30.63%、住民税9% )です。

長期譲渡とは、譲渡する年の1月1日時点で「 5年超 」の所有で、税率は20.315%( 所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5% )です。

5年を超えるか超えないかで、税率が倍も変わります。利益の約40%が税金で持って行かれると考えると、長期譲渡まで待って、売却した方がよいと考えるのも無理はないかと思います。

2.売却した場合の手残り計算

しかし、私は物件の売り時を決めるには、売却の税率よりも、「 売却した場合にどのくらい手残りがあるか 」、を気にするべきと考えています。

売却した場合の手残りの計算式を頭に浮かべられますか?

賃貸している場合の手残りの計算式は、頭に入っていても、売却した場合の手残り計算は、よくわからないという方が多いのではないでしょうか? 答えは以下のような式で求められます。

◇売却した場合の手残り
 =売却金額−借入金残高−売却に係る諸費用−売却に係る税金

〈 借入金残高 〉
物件のローンが残っている場合に売却金額で返済しなければなりませんので、売却時点の残債を控除します。固定金利で借りている場合には、違約金が発生する可能性があるので、その金額も考慮しなければなりません。

〈 売却に係る諸費用 〉
仲介手数料、売買契約書の印紙代、測量代など、売却にあたって直接かかった費用です。

〈 売却に係る税金 〉
譲渡所得税、譲渡住民税になります。短期譲渡か長期譲渡かによって異なります。また、売却した年に消費税の課税事業者であれば、建物の売買代金が消費税の課税対象になるため、その消費税分を考慮する必要があります。

3.短期譲渡で売却した場合と長期譲渡で売却した場合の手残り比較

具体例を使って、手残りを比較してみましょう。

〔 前提条件 〕
1億円で購入( 建物4,000万円、土地6,000万円 )
借入金1億円( 金利3%、返済期間25年、元利均等返済 )

〔 物件購入して3年目の状況 〕
売却金額:1億1,000万円
譲渡費用( 仲介手数料 ):363万円
取得費( 簿価 ):9,520万円 
借入金残債:9,156万円
※譲渡費用は、計算を簡単にするために仲介手数料のみ考慮しています( 以下同じ )。

〔 譲渡税の計算 〕
11,000万円−( 9,520万円+363万円 )=1,117万円
1,117万円×39.63%=443万円

〔 手残り計算 〕
11,000万円−9,156万円−363万円−443万円=1,038万円

3年目で売却した場合には、1038万円が手元に残るということです。
次に、物件を購入して6年目の状況を考えてみます。

〔 前提条件 〕
取得費( 簿価 ):9,200万円
借入金残債:8,550万円

(1)売却金額1億1,000万円( 仲介手数料363万円 )

〔 譲渡税の計算 〕
11,000万円−( 9,200万円+363万円 )=1,437万円
1,437万円×20.315%=292万円

〔 手残り計算 〕
11,000万円−8,550万円−363万円−292万円=1,795万円

二つを比べてわかるように、同じ1億1,000万円で売却できれば、手残りが、1,795万円−1,038万円=757万円違うので、長期譲渡まで待った方よいといえるでしょう。

しかし、もし長期譲渡まで待つことになって、売却価額が下がったらどうでしょうか?

(2)売却価額1億円の場合( 仲介手数料330万円 )

〔 譲渡税の計算 〕
10,000万円−( 9,200万円+330万円 )=470万円
470万円×20.315%=96万円

〔 手残り計算 〕
10,000万円−8,550万円−330万円−96万円=1,024万円

短期譲渡の手残りの方が大きくなっていることがわかります。さらに売却金額が下がってしまったらどうでしょうか?

(3)売却金額9,500万円の場合( 仲介手数料314万円 )

〔 譲渡税の計算 〕
9,500万円−( 9,200万円+314万円 )=−14万円 ∴譲渡税0円

〔 手残り計算 〕
9,500万円−8,550万円−314万円−0万円=636万円

この場合、そもそも譲渡の利益が出ないため、譲渡税がかかってきません。さらに、手残りも短期譲渡と比べると大きく下回ることになっています。

4.まとめ

「 税金は低くなっても、売却価額が下落して手残りが減るのであれば、意味がない 」ですよね。さらには、譲渡税はマイナスなら税金がかからないのです。プラスにならなければ短期も長期も関係ないのです。

ですから、長期譲渡にこだわって高く売れる時期を逃してしまうと、結果的に手残りが少なくなる可能性があることは覚えておきましょう。

最近、金融機関の融資状況が変わりつつあります。不動産価格が高騰してきた状況に潮目が来ているように感じます。所有物件をいつ売却した方がよいのか、一度検討してみる価値はありそうです。

ポイントは、長期か短期かではなく、手残りがいくら残るかです。( ここでは触れていませんが、検討の際には、保有期間の税引き後のインカムゲインも考慮する必要があります )。

5.法人の場合は?

ちなみに、個人ではなく法人が所有している不動産を売却する場合には、短期譲渡や長期譲渡の区分はありません。

どの時期に売却しても、税率は変わらないので、法人の方が時期を問わずに売却しやすいと言えます。

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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 渡邊浩滋(わたなべこうじ)さん

渡辺税理士

税理士・司法書士・大家
渡邊浩滋総合事務所代表

サイト「大家さんの知恵袋」

■ 経歴

大学在学中に司法書士試験に合格

大学卒業後総合商社に入社。法務部にて契約管理、担保管理、債権回収などを担当

商社を退職後、税理士試験に合格
その頃、実家のアパート経営(5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚。 経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出する

資産税専門の税理士法人に勤務した後、2011年12月、独立開業

税理士の視点と大家の視点からアパート経営を支援するために活動し、税理士・司法書士のワンストップサービスを提供している

2011年、「行動する大家さんの会」を設立

2013年、「一般社団法人 大家さんの道しるべ」代表理事就任

資格専門学校の講師、賃貸住宅フェアでの講演、セミナー講師等、幅広い分野で活躍中

2017年からは日本全国の大家さんを救うべく、フランチャイズ展開を開始。
同じ志を持つ税理士を求めている。

■ 主な著書


大家さん税理士による 大家さんのための節税の教科書(ぱる出版)


大家さんのための超簡単!青色申告(クリエイティブ ワークステーション)


「税理士」不要時代(経営者新書)

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