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戦略としての経費の使い方

渡邊浩滋さん_画像 第4話

1.経費は戦略的に使う

前回のコラムで、経費を使うことは、「( お金を残すという意味では )節税にならない 」と申しました。誤解がないように補足しますと、「 経費を使うな 」と言っているわけではありません。

私がいいたいのは、「 経費を使うなら、どのくらい節税になるのか、その効果を把握した上で、戦略的に使いましょう 」ということです。といっても、わかりづらいと思いますので、具体例で考えてみましょう。

◇問題
課税所得金額( 所得控除後の所得で税率をかける前の所得 )が1,000万円ある方がいます。経費を1年で300万円使うのと、1年あたり100万円を3年間使うのでは、どちらが税金上有利になるでしょうか?

注:支出する金額の合計は300万円で同じです。1年間で支出するのと、3年に分けて支出するのと、支出するタイミングが違うだけです。

◇正解
正解は2の、3年に分けて支出する方が節税になる、です。なぜそうなるのかを解説していきましょう。下の表は、1年目〜3年目にかかる所得税・住民税を出し、3年間の合計を比較しています。



3年間のトータルですと、(1)の合計が730万円、(2)の合計が708万円となります。つまり、(2)の方が3年間トータルで22万円税金が安くなるのです。

支出した金額が同じなのに、なぜ税金が違うのでしょうか? これは、「 超過累進税率 」といって、所得税は5%〜45%の間で段階的に税率が変わるシステムが適用されているからです。( 前回のコラムでも紹介していますので、ご参照ください )。

下の図を見て頂けるとわかりやすいと思います。900万円を超える所得には33%の税率、695万円を超えて900万円以下については23%の税率が適用されます。

(1)の1,000万円の所得から300万円の経費を計上するということは、1,000万円から900万円までの100万円分の所得については33%の税率分が控除され、900万円から700万円までの200万円分の所得については23%の税率分が控除されることになります。



つまり、経費は高い税率から控除した方が、効果が高いのです。これがわかっていないと、一生懸命高い経費をかけて税金を減らそうと思っても、結果的に低い税率分を削っている( 節税効果が低い )ということがよく起こります。

所得税のような超過累進税率の場合には、経費を分散させ、高い税率を削る方が、税金的にはトクになるのです。これを「 経費の分散化 」と私はよんでいます。

ただし、1年に多額の経費をかけることが悪いということではありません。その年の税金が減ることになるため、資金繰りの面では、その方がよいということもあります( 上記の例では、1年目で約60万円低くなります )。そこは経営判断になります。ただ何も考えずに経費を計上するのは経営判断ではありません。

2.経費をうまく使うためには?

今年大きな修繕費をかけた方がよいのか、来年の修繕費にまわした方がよいのか、大家さんから質問を受けることがよくあります。

ここでの判断も税率によります。例えば、今年は、他にいろいろと修繕をしたので所得が低く、税率が23%と予想されることになる。来年は何も修繕がなければ税率が33%と予測されるから、来年の修繕にした方が節税効果が高いなと判断できます。

また、所得が1,000万円になりそうであれば、あと100万円の経費を計上できれば、33%の税率が23%の税率になる。100万円分の修繕なら今年やった方がよいという判断もできます。

いずれにしても、きちんと、そのときどきの所得と税率の予測をしておかなければならないということです。帳簿付けは確定申告だけでよいと思っている方は、当然このような判断はできません。面倒ではありますが、日々の帳簿付けを経営判断に活かしてもらいたいと思います。

3.法人の場合は?

法人税は一律だから、法人については経費を分散させることは考えなくてもよいかと思っている方もいらっしゃいますが、実はそうではありません。

大会社の場合には、税率は一律ですが、資本金1億円以下の中小法人の税率( 法人税、法人住民税、法人事業税を考慮した実行税率 )は、3段階に分かれます。



400万円以下と400万円超の所得の境目は、大きく税率がかわるわけではないので、気にする必要はないかと思いますが、800万円の所得を超えると税率が大幅に上がります。ですので、800万円を超えないように経費計上を考えるのがよいかと思います。

戦略的に節税を使うには、「 税率を常に意識し、高い税率のタイミングに経費をぶつけること 」がポイントといえるのです。


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プロフィール

■ 渡邊浩滋(わたなべこうじ)さん

渡辺税理士

税理士・司法書士・大家
渡邊浩滋総合事務所代表

サイト「大家さんの知恵袋」

■ 経歴

大学在学中に司法書士試験に合格

大学卒業後総合商社に入社。法務部にて契約管理、担保管理、債権回収などを担当

商社を退職後、税理士試験に合格
その頃、実家のアパート経営(5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚。 経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出する

資産税専門の税理士法人に勤務した後、2011年12月、独立開業

税理士の視点と大家の視点からアパート経営を支援するために活動し、税理士・司法書士のワンストップサービスを提供している

2011年、「行動する大家さんの会」を設立

2013年、「一般社団法人 大家さんの道しるべ」代表理事就任

資格専門学校の講師、賃貸住宅フェアでの講演、セミナー講師等、幅広い分野で活躍中

2017年からは日本全国の大家さんを救うべく、フランチャイズ展開を開始。
同じ志を持つ税理士を求めている。

■ 主な著書


大家さん税理士による 大家さんのための節税の教科書(ぱる出版)


大家さんのための超簡単!青色申告(クリエイティブ ワークステーション)


「税理士」不要時代(経営者新書)

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