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知らなかったではすまされない。「消費税還付」の税務リスク

渡邊浩滋さん_画像 第40話

1.不動産投資における消費税還付とは

「 不動産投資における消費税還付 」をやられている方、やろうと思っている方は多いと思います。しかし、本当にそのリスクについて理解しているのか? と言いたくなることがあります。

理解した上でやるのであればよいのですが、理解していないでやるのは、絶対にオススメしません。今回は、消費税還付のリスクにフォーカスして解説していきたいと思います。

消費税の計算は、原則、下記の算式により算出します。



預かった消費税よりも支払った消費税の方が大きければ、消費税が還付されます。すると、不動産投資で建物購入した年は、消費税を多く払っているため、消費税の還付がされるはずです( 消費税の課税事業者になっていることが前提 )。

しかし、住宅用のアパートやマンションは、そのままでは消費税の還付はできません。住宅の家賃は非課税売上です。非課税売上に対応する課税仕入( 建物等購入 )分の消費税が控除できないことになっているためです。

しかし、課税売上割合( 課税売上/課税売上+非課税売上 )を95%以上とすること( 売上のほとんどが課税売上 )で、非課税売上に対応する課税仕入れも控除できることになっています。

そこで、建物の引き渡しを受けるとき( 事業年度 )に、瞬間的に課税売上割合を高めることができれば、消費税還付を行うことができます。

2.税制改正によって厳しくなった消費税還付

過去数回にわたり、税制改正によって厳しくなりました。

平成28年度改正では、課税事業者が、1,000万円以上の高額資産を購入した場合には、購入した課税期間を含む3年間は、消費税の原則課税が強制されることになりました。

その結果、取得から3年目の課税期間において、課税売上割合が著しく変動している場合に該当し、還付された消費税が取り戻される調整計算をされることになります。

つまり、建物の引渡し時に課税売上高を瞬間的に高めて消費税還付はできるけれども、3年間の通算の課税売上割合( 通算課税売上割合 )の水準を維持できなければ、3年後に取り戻されることになります。

これまでの消費税還付は、自動販売機を設置することなどで、課税売上を作ることが一般的でしたが、自動販売機の売上は、家賃収入( 非課税売上 )と比べると微微たるものなので、課税売上割合が著しく変動する可能性が高く、消費税の取り戻しが避けられないことになります。



この改正によって、消費税還付は塞がれたと話題になりましたが、まだ抜け道がありました。

通算課税売上割合を50%以上にすることができれば、3年後の取り戻しは回避されます。

課税売上は、金の売買を行うことにより比較的簡単に課税売上をあげることができることから、現在の消費税還付の方法は、金の売買を多額に行うことで対応しているのが主流です。

3.消費税還付は脱税になるのか?

法律のしくみを上手く利用していることは間違いないですが、脱税ということには当たりません。

還付スキームによっては、租税回避行為( 税金のために不自然な取引、不合理な取引を行うこと )に該当する可能性はあるものの、現行では、租税回避行為を規制する「 行為計算否認 」規定が、消費税法上では規定されていないため、否認まではできないと考えられます。

4.消費税還付のリスク

税務上否認されないからといって、全面的に勧められるものではありません。現実的なリスクがあります。

( 1 )金の売買の手数料がかかる
⇒通常、金の売買は、取引業者を介して取引することになります。売買の都度手数料がかかります( 手数料は、取引業者、取引量によって異なります )。

( 2 )金の価格下落リスクがある
⇒金取引は相場が上下します。課税売上をあげないといけない期限があるため、価格が上昇するまで持ち続けるのは難しいです。

( 3 )税理士報酬
⇒還付金額の20%〜30%を成功報酬とするところが多い。いくつもの要件をクリアしないと還付が成功しないため、報酬が安すぎるのも疑問。さらに、今後永くお付き合いする税理士を還付のためだけに選んでよいのかという問題があります。

( 4 )3年間同一法人で、購入・売却できない
⇒新規物件を購入すると、家賃収入(非課税売上)が入ってくることから、課税売上割合が下がります。その分、課税売上をあげないとならなくなるため、還付(の取戻しの回避)が困難になります。
また、3年の間に売却をすると、建物の売却金額に係る消費税を納めることになります。



5.消費税還付の税制における規制予想

国税庁としても消費税還付スキームについては、問題視しています。今後税制改正により、さらに規制される可能性があります。
どのような改正がされるのかですが、以下のようなものが予想されます。( あくまでも私見です )。

( 1 )通算課税売上割合をより高めないと( 70%や80%以上など )取り戻しの対象とする
⇒現状は、通算課税売上割合を50%以上保てば、3年後の取戻しが回避できますが、より高めないと、取戻しの対象となる。

( 2 )金の売買を非課税にする
⇒金の売買に消費税がかからない国は多い。そのため日本への金の密輸が増えている。諸外国に合わせて非課税にすることが考えられる。

( 3 )租税回避を規制する規定を設ける
⇒非合理、非経済的な方法によって消費税還付するものを否認できるようにする。

「 みんなやっているから 」という理由で消費税還付をやりたいという方が増えているように思います。不動産投資と同じようにきちんとリスクを理解したうえで、やるかやらないかの判断をしてもらいたいと切に願っています。

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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 渡邊浩滋(わたなべこうじ)さん

渡辺税理士

税理士・司法書士・大家
渡邊浩滋総合事務所代表

サイト「大家さんの知恵袋」

■ 経歴

大学在学中に司法書士試験に合格

大学卒業後総合商社に入社。法務部にて契約管理、担保管理、債権回収などを担当

商社を退職後、税理士試験に合格
その頃、実家のアパート経営(5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚。 経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出する

資産税専門の税理士法人に勤務した後、2011年12月、独立開業

税理士の視点と大家の視点からアパート経営を支援するために活動し、税理士・司法書士のワンストップサービスを提供している

2011年、「行動する大家さんの会」を設立

2013年、「一般社団法人 大家さんの道しるべ」代表理事就任

資格専門学校の講師、賃貸住宅フェアでの講演、セミナー講師等、幅広い分野で活躍中

2017年からは日本全国の大家さんを救うべく、フランチャイズ展開を開始。
同じ志を持つ税理士を求めている。

■ 主な著書


大家さん税理士による 大家さんのための節税の教科書(ぱる出版)


大家さんのための超簡単!青色申告(クリエイティブ ワークステーション)


「税理士」不要時代(経営者新書)


税理士大家さん流 キャッシュが激増する無敵の経営 (ぱる出版)

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