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車両費、交際費が否認された?! 家事関連費の経費計上の注意点

渡邊浩滋さん_画像 第42話

「 どんな経費が認められるのですか? 」「 どのくらい経費は入れられるのですか? 」。税理士として、よく聞かれる質問です。

「 賃貸経営に関係していれば経費に計上できます 」「 業務に必要であれば上限は特にありません 」と回答するのですが、明確な項目や金額を示せるわけではないので、質問者の頭から完全に疑問符が消えるわけではありません。

経費を考えるにあたって、参考になる最近の裁決事例( 平成30年2月1日裁決 )があります。車両費( 自動車税、ガソリン代、自動車保険、減価償却費 )約70万円、交際費約10万円が否認されています。

決して多額の経費を計上したわけではないのに、なぜ否認されたのでしょうか?



1.事案概要

事案の概要は以下のようなものでした。

◯会社役員であって、土地の賃貸による不動産貸付業を営む者が、不動産所得の経費として、土地の固定資産税、自動車税、ガソリン代、自動車保険、減価償却、交際費などを計上していた。

◯税務調査の際にも、審判所へも、自動車の具体的な使用方法や頻度を明らかにする証拠や、交際費が不動産貸付業に直接関連している支出であることを明らかにする証拠を提出してなかった。

◯「 自動車関係経費が、客観的にみて、業務と直接関係を持ち、かつ、業務の遂行上必要な支出であると認めることができない。

また、接待交際費についても、不動産貸付業との関係について合理的な説明はなく、交際費の内訳についても抽象的な説明にとどまり、具体的な支出先や支出目的等の合理的な説明はない上、請求人の主張を裏付ける証拠の提出もないことなどから、業務の遂行上必要な支出とは認められない 」

上記のような理由から、車両費、交際費は全額否認されました。

2.車両費、交際費の経費計上は証拠資料がないと認められないのか?

立証責任という言葉をご存知でしょうか? 裁判所のHPには次のように解説されています。

「 刑事裁判では、被告人の有罪を確実な証拠で、合理的な疑いを入れない程度にまで立証することについては、検察官がその責任を負います。これが立証責任です。

そして、検察官の方で立証を尽くしても、被告人を有罪とするために必要なある事実が存在するかどうかが立証できなかった場合には、その事実は存在しなかったものとして、被告人に有利な判断をしなければなりません。つまり、『 疑わしきは罰せず 』の原則により、無罪の判決を言い渡すことになります 」

税務上も考え方は同じです。経費を否認するには、税務署側が、経費が計上できない証拠をもって立証しなければならないのが原則です。そのために、税務署は、税務調査による質問検査権という強い権限が与えられているのです。

では、今回の裁決ではどうだったのでしょうか?

「 自動車の具体的な使用方法や頻度を明らかにする証拠や、交際費が不動産貸付業に直接関連している支出であることを明らかにする証拠を提出していなかった 」

上記のように、納税者が証拠を出さないことが否認されるポイントとして挙げられています。これは、車両費、交際費が「 家事関連費 」と認定されたからだと考えます。



3.家事関連費の立証責任

まず、「 家事関連費 」とは何か、について説明します。個人には、事業という側面と私生活( プライベート )という側面があります。そのため、個人の支出には、プライベート上での支出と業務上での支出と2つに分けられます。

明確に業務上の支出と判断されるものは、必要経費に計上できることは当然です。しかし、プライベートと事業が混在している支出もあるわけです( 例えば、携帯電話を1台でプライベートと仕事用で使っているなど )。

これを「 家事関連費 」といいます。白色申告の場合、青色申告の場合で家事関連費について、それぞれ経費にできる要件が規定されています。

< 白色申告の場合 >
@主たる部分が業務の遂行上必要であること、かつ、
Aその部分が明らかにできること

< 青色申告の場合 >
・取引の記録等に基づいて業務の遂行上必要であったことが明らかにされること

青色申告でも白色申告でも、「 業務に必要という部分が明らか 」にされていないと、経費にはできないと規定さているのです。

つまり、納税者側で「 明らか 」にしないといけないことになり、その証拠を提出しなければ経費計上はできないと判断していると考えられます。

ちなみに、法人の場合には、家事関連費という規定はありません。法人は事業のためだけに活動するからです。ただし、役員の個人的な経費を法人が負担した場合には、役員賞与と認定される場合があります。

4.経費計上の注意点

今回の場合、どうすれば経費計上が認められたのでしょうか。

車両の場合、業務で走行した距離の記録をつけておく。交際費は、お中元・お歳暮を贈った場合には、贈答リストをつけておく。飲食代でも、どのような関係者と行ったなどの記録をつけておく。これらを提出すれば結果は変わったのかと思います。

正直、不動産所得者にとっては、かなり厳しい判断と思われます。パソコン、インターネット費用、水道光熱費…。不動産所得の経費には、家事関連費になりやすい( 疑われやすい )ものがかなりあるのではないでしょうか。

否認されないように、しっかりと記録を残すように心がけましょう。

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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 渡邊浩滋(わたなべこうじ)さん

渡辺税理士

税理士・司法書士・大家
渡邊浩滋総合事務所代表

サイト「大家さんの知恵袋」

■ 経歴

大学在学中に司法書士試験に合格

大学卒業後総合商社に入社。法務部にて契約管理、担保管理、債権回収などを担当

商社を退職後、税理士試験に合格
その頃、実家のアパート経営(5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚。 経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出する

資産税専門の税理士法人に勤務した後、2011年12月、独立開業

税理士の視点と大家の視点からアパート経営を支援するために活動し、税理士・司法書士のワンストップサービスを提供している

2011年、「行動する大家さんの会」を設立

2013年、「一般社団法人 大家さんの道しるべ」代表理事就任

資格専門学校の講師、賃貸住宅フェアでの講演、セミナー講師等、幅広い分野で活躍中

2017年からは日本全国の大家さんを救うべく、フランチャイズ展開を開始。
同じ志を持つ税理士を求めている。

■ 主な著書


大家さん税理士による 大家さんのための節税の教科書(ぱる出版)


大家さんのための超簡単!青色申告(クリエイティブ ワークステーション)


「税理士」不要時代(経営者新書)

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