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法人の経費として有効!「旅費日当」のメリットと注意点

渡邊浩滋さん_画像 渡邊浩滋さん 第43話 著者のプロフィールを見る

2018/10/4 掲載

税理士の渡邊です。このところ経費について、厳しいことを続けて書いたので、今回は、経費でも有効に使える「 旅費日当 」のことを書いていこうと思います。

法人で物件を買われているみなさん。会社に「 旅費規定 」があれば、遠方の物件を見に行く等、出張に行った際に、会社から役員や従業員に日当を支払うことができます。

日当とは、目的地内を巡回するための交通費や諸雑費( 旅行中の昼食代や電話代など )を賄う旅費であり、一日あたり定額で支給されることが一般的です。

これは法人でのみ使える経費であり、個人で賃貸経営していては使えません。日当を支払う会社側と日当を受け取る個人側それぞれのメリットがあります。



1、支出する会社側のメリット

会社のメリットは大きく2つあります。

(1)法人税法上の経費

役員や従業員に支払う旅費日当は、旅費交通費として経費( 損金 )に計上することができます。

(2)消費税の仕入れ課税区分

旅費日当が5,000円だとしても、5,400円として消費税を上乗せして払うことはありません。

消費税についての注意点ですが、国内の出張または転勤のために、役員または使用人に対して支給した出張旅費、宿泊費、日当については、支給した金額のうち、その旅行について通常必要であると認められる部分の金額は、課税仕入れ( 売り上げに係る消費税から控除してもらえるもの )になります。

また、給与を支払う場合には、消費税の課税対象ではありません。日当は、食事代、電話代、諸雑費などの実費精算的な意味合いが強いため、課税仕入れになると考えられます。

課税事業者の法人( 簡易課税を適用していない原則課税の法人 )であれば、給与よりも旅費日当を支払う方が、課税仕入れとなるため、納税する消費税を少なくすることができます。

補足すると、「 通常必要であると認められる 」かは、下記の要件を満たしているかどうかで判断されます。

所得税基本通達9-3

①その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるか

②その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるか

なお、海外への出張についての、出張旅費、宿泊費、日当は課税仕入れにはならないので注意をしてください。

(3)社会保険

役員や従業員に給与で支払うと、社会保険料が発生します。社会保険料は、給与金額の約30%程度の保険料が発生し、個人と法人で折半での負担になります。( 月30万円の給与の場合、法人が月約45,000円の負担、個人が月約45,000円の負担 )。

しかし、旅費日当に対しては、実費弁償的な性質であれば、社会保険料がかからないことになります。給与ではなく、旅費日当で出すことで会社が負担する社会保険料が削減できます。

ただし、旅費日当の他に、交通費や宿泊費等を実費精算しているのであれば、実費弁償ではないとみなされて、社会保険料がかかる可能性があります。



2.受け取る個人側のメリット

(1)所得税・住民税の課税

所得税法9条4項に、非課税である規定がされています。旅費日当については、所得税も住民税も非課税になります。源泉徴収の対象にもなりません。

なお、非課税になる要件としては、上記所得税基本通達9-4の「 通常必要であると認められるか 」の要件を満たしている必要があります。

(2)社会保険

上記法人と同様に、個人側でも旅費日当については、実費弁償的な性質であれば、社会保険の対象にはなりません。

3.旅費日当を出すための要件

(1)旅費規定を作る

役員だけを対象にしてはダメです。従業員( いなければ、いると想定して )も対象に含めて作成する必要があります。代表取締役、取締役、一般従業員などの区分を設けて日当の差をつけることは構いません。

(2)旅費規定を導入することを決議した株主総会等の議事録を作成する

旅費規定を作成しただけでは、会社が認めたことにはなりません。会社が認めて初めて適用ができます。

(3)出張に行った際に出張報告書を作成する

実態のないカラ出張ではないかどうか、税務署から疑われる可能性があります。出張したら、「 いつ 」「 どこへ 」「 何をしに行ったのか、誰に会って、何を話したのか 」などの記録をつけておきましょう。訪問先の名刺や現地での写真などがあるとより説得力が増します。

4.金額はどのくらいが妥当か

「 その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるもの 」である必要があります。

参考になるものとして、「 国内の会社の出張旅費 」について研究している資料などがあります。
goo.gl/Qcjx2h

また、「 国家公務員等の旅費に関する法律 」も金額が参考になります。
goo.gl/Xa3BLt

ここでは、内閣総理大臣の日当( 食費、宿泊費含む )が、26,700円になっています。この金額を最高額の目安としてもらえると良いのではないかと思います。賢く利用するためにも、形式的な要件、妥当な金額などを理解しておきましょう。



【 お知らせ 】

私は「 全国の困っている大家さんを救いたい 」という想いで日々、税理士業務をしています。しかし、私一人では対応できなくなってきました。そこで、大家さん専門税理士ネットワークとしてフランチャイズ組織を立ち上げました。今後は全国の大家さんのサポートができればと考えています。

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※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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プロフィール

渡邊浩滋さん

渡邊浩滋さんわたなべこうじ

不動産投資家
Knees bee税理士法人 代表

プロフィールの詳細を見る

経歴
  • □大学在学中に司法書士試験に合格

    □大学卒業後総合商社に入社。法務部にて契約管理、担保管理、債権回収などを担当

    □商社を退職後、税理士試験に合格

    その頃、実家のアパート経営(5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚。 経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出する

    □2011年
    「行動する大家さんの会」を設立

    □資産税専門の税理士法人に勤務した後、2011年12月、独立開業

    □2013年
    「一般社団法人 大家さんの道しるべ」代表理事就任

    □2017年
    日本全国の大家さんを救うべく、フランチャイズ展開を開始(同じ志を持つ仲間を求めている)

    □2022年10月法人化
    税理士の視点と大家の視点からアパート経営を支援するために活動し、税理士・司法書士のワンストップサービスを提供している

    資格専門学校の講師、賃貸住宅フェアでの講演、セミナー講師等、幅広い分野で活躍中

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