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デッドクロスはいつ来る?〜減価償却の本質〜

渡邊浩滋さん_画像 第5話

1.減価償却の誤解

本日は、不動産投資を行う上で絶対に知っておきたい減価償却の仕組みについて説明します。過去2回にわたって、経費を使うことと節税の関係について書きました。経費を使うということは、基本的にはお金の支出を伴うということです。

ここで皆さんに質問です。「 減価償却費は、支出を伴わない経費である 」と、よく説明されますよね。これは本当でしょうか? 答えはというと・・・。
完全にウソです。

減価償却は、支出したタイミングでは一括経費にせず、耐用年数( その資産が使える期間 )に応じて経費を配分します。ですから、支出は伴っています。建物を現金購入すれば、購入時点で支出していますし、ローンで購入すれば、返済期間にわたって支出しています。

支出と経費のタイミングが違うだけの話なのです。
これをわかっていないと賃貸経営はできません。

過去のコラムでは、「 手残りを多くするにはどうすればいいか? 」を考えるにあたり、「 収入・支出・税金 」の要素を使ってきました。



例えば、上記のような計算をする際、「 支出=経費 」ということを前提としています。まあ、とてもシンプルな計算式です。

ところが、ここに減価償却が絡むと複雑になります。手残りを計算するキャッシュフロー( 収支 )計算と、税金を計算する所得計算とを分けて考える必要があるからです。

賃貸経営における「 キャッシュフロー計算 」と「 所得計算 」には、以下の違いがあります。

○「 キャッシュフロー計算 」では、借り入れの元本返済( 経費にはならないため )が出てくる
○「 所得計算 」では、減価償却費( 支出とは異なるため )が出てくる

わかりにくいかもしれないので、以下に、支出と経費を分解して、比較してみます。
「 借り入れの元本返済=分割する支出 」、「 減価償却費=分割する経費 」と考えるとわかりやすいかと思います。

(1)元本返済200万円、減価償却費200万円の場合


※税金は所得税、住民税を想定していますが、概算の数字です。計算を簡単にするため所得控除は考慮していません。以下同じ。

2.減価償却がキャッシュフローに与える影響

分割支出( 元本返済 )と分割経費( 減価償却 )が常に一致していればわかりやすいのですが、実際には金額のズレが生じてきます。では、減価償却が多かったり、少なかったりすると、キャッシュフローにはどのような影響を与えるのでしょうか?

(2)減価償却費が100万円増えた場合



(3)減価償却費が100万円少ない場合



上記のように、減価償却に増減があった場合、キャッシュフロー上では、税金部分が増減することになります。

では、減価償却費が100万円増えれば、税金は100万円低くなるのでしょうか? (1)と(2)を比べると、110万円の税金が80万円になったので、30万円しか減っていません。つまり、「 減価償却費×税率分 」しか手残りは増えていないのです。

これは、前回までのコラムで書いた経費と同じロジックです。税率分が割り引かれたということです。減価償却とは、支出と経費のタイミングが違うだけであり、「 物件価額( 建物や附属設備 )×税率分 」の割引が受けられていることに過ぎないのです。

3.支出と経費のズレから生じるデッドクロス

減価償却によって、支出の金額よりも、経費の金額の方を多く取ることが可能です。しかし、先に経費を多く取ることは、後から支出が多くなることと裏返しです。経費よりも返済が多いということは、手残りに影響することになります。



皆さんは、借り入れの返済方法として、元利均等返済を選択している方が多いと思います。一応説明すると、元利均等返済とは、利息と元本の返済の合計が一定となるような返済方法です。

この方法だと、当初は利息の割合が多く、元本の割合が少ないのですが、徐々に利息の割合が少なくなり、元本の割合が多くなります。言い換えれば、経費となる利息が年々少なくなるということです。

また、減価償却についても、附属設備の耐用年数は15年のため、建物よりも早期に償却が終わってしまいますし、定率法を選択すれば、最初は大きく取れる減価償却費も徐々に少ない金額になっていきます。ここでも経費が少なくなって、税金が増える原因になります。

そして、気をつけなければならないのが、1年間あたりの元本返済額が減価償却費よりも大きくなる時点です。これをデッドクロスといい、支出が経費よりも多くなることで、税金の負担が増え、手残りが少なくなります。手残りがマイナスとなる可能性も出てきます。



減価償却とは、支出と経費のズレを生じさせるものです。このズレが、デッドクロスを引き起こす要因になるのです。このことは賃貸経営をする上で非常に重要です。しっかりと認識しましょう。

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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 渡邊浩滋(わたなべこうじ)さん

渡辺税理士

税理士・司法書士・大家
渡邊浩滋総合事務所代表

サイト「大家さんの知恵袋」

■ 経歴

大学在学中に司法書士試験に合格

大学卒業後総合商社に入社。法務部にて契約管理、担保管理、債権回収などを担当

商社を退職後、税理士試験に合格
その頃、実家のアパート経営(5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚。 経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出する

資産税専門の税理士法人に勤務した後、2011年12月、独立開業

税理士の視点と大家の視点からアパート経営を支援するために活動し、税理士・司法書士のワンストップサービスを提供している

2011年、「行動する大家さんの会」を設立

2013年、「一般社団法人 大家さんの道しるべ」代表理事就任

資格専門学校の講師、賃貸住宅フェアでの講演、セミナー講師等、幅広い分野で活躍中

2017年からは日本全国の大家さんを救うべく、フランチャイズ展開を開始。
同じ志を持つ税理士を求めている。

■ 主な著書


大家さん税理士による 大家さんのための節税の教科書(ぱる出版)


大家さんのための超簡単!青色申告(クリエイティブ ワークステーション)


「税理士」不要時代(経営者新書)

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