• 完全無料の健美家の売却査定で、できるだけ速く・高く売却

×

  • 収益物件掲載募集
  • 不動産投資セミナー掲載募集

払い過ぎた確定申告。「後から直せばいい」が通用しないケースに注意!

渡邊浩滋さん_画像 渡邊浩滋さん 第50話 著者のプロフィールを見る

2019/5/2 掲載

「 確定申告で間違えてしまった! 」

何年も確定申告をしているとこんな経験をすることもあるでしょう。少なく申告してしまったのであれば、修正するしかありません。多く申告してしまった場合は、どうでしょう。

仕方ないと諦めることもできますが、「 更正の請求 」をすることで、多く払いすぎた税金を還付することが可能です。しかし、この「 更正の請求 」によって必ずしも還付されないものもあります。

1.更正の請求とは

確定申告期限後に申告書に書いた税額に誤りがあったことを発見した場合など、申告した税額が実際より多かったときに正しい額に訂正することを求める場合の手続をいいます。

この提出期限は、法定申告期限から5年以内になります。5年以内であれば、訂正して還付を受けられるということです。しかし、更正の請求ができるのは、次の2つの場合に限定されていますので注意が必要です。

①国税に関する法律の規定に従っていなかったこと
②計算誤りがあったこと

2.更正の請求ができる場合

減価償却で、定額法で計算するものを、誤って0.9を掛けてしまった。不動産を購入するために借り入れた借入金の利息を計上するのを忘れてしまった。これらは明らかな計算誤りなので、更正の請求をすることで、払いすぎた税金を還付することができます。

3.更正の請求ができない場合

自宅を売却した場合に、売却益から3,000万円を控除してくれる特例があります。新たに自宅をローンで組んで購入した場合には、年末のローン残高の1%を10年間( 居住年により異なる場合があります )税額控除する住宅ローン控除の特例があります。

この3,000万円控除と住宅ローン控除は選択適用になっています。例えば、3月に自宅を売却( 売却益1,000万円。長期譲渡 )して、11月に新しい自宅をローン( 借入額3,500万円 )で購入した場合を見てみます。

3,000万円控除を適用した場合には、1,000万円×20.315%=約203万円税金が安くなります。

住宅ローン控除を適用した場合には、3,500万円×1%=35万円、35万円×10年間=350万円( 実際には、ローン残高は減少するのでこの金額よりも少ない金額が控除額になる )となります。

10年で比較した場合、住宅ローン控除を適用した方が得になります。これを誤って、3,000万円控除を適用した申告をして、住宅ローン控除の申告はしなかった場合、更正の請求ができるかというと、できないのです。

3,000万円特別控除を選択するか、住宅ローン控除を選択するかは、納税者の判断に委ねられているためです。

どういうことかというと、住宅ローン控除の申告をしなかったことは、法律の規定に従っていなかったとはいえません。また、3,000万円特別控除を適用して計算したことは、計算誤りでもないからです。

4.大家さんが気をつけたい更正の請求ができない項目

このように誤った確定申告をしたとしても、更正の請求ができないものがあります。これらは大きく2つのカテゴリーに分けることができます。「 確定申告の要件があるもの 」「 選択適用が可能なもの 」の2つです。

《 確定申告の要件があるもの 》

(1)65万円の青色申告特別控除

事業的規模ある不動産所得者で、複式簿記などで青色申告することで所得から65万円の控除が受けられます。この要件が、「 貸借対照表及び損益計算書を付けて、法定申告期限内に提出すること 」です。確定申告に記載しないと適用が受けられないものになります。

(2)少額減価償却資産の特例、一括償却資産の特例

青色申告者で30万円未満の減価償却資産を購入した場合には、その年に全額経費計上することができます( 年間300万円まで )。

この要件に、「 確定申告書に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書の添付( または、青色決算書に一定の記載をすること )がある場合に限り適用する 」とあります。

また、取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産については、取得価額の3分の1の金額を3年間で1/3ずつ経費計上することができます。

この要件に、「 確定申告書に一括償却対象額を記載した書類を添付し、かつ、その計算に関する書類を保存している場合に限り、適用する 」とあります。

どちらも確定申告書にこれらの適用を受ける旨を記載しないと、適用がないことになります。

《 選択適用が可能なもの 》

(3)中古の耐用年数

中古の固定資産を取得した場合には、その資産の法定耐用年数によらずに、購入した中古資産の取得の時以後の使用可能期間の年数を耐用年数とすることができます。

原則は、今後の使用可能期間を見積もって計算することになりますが、それが困難なときは、次の算式で計算した簡便法による年数によることもできます。

「 中古の耐用年数=法定耐用年数-( 経過年数×0.8 ) 」
(注1)計算結果が1年未満の端数が出た場合には、1年未満切り捨て
(注2)経過年数が法定耐用年数を超えている場合には、次の算式になります。
法定耐用年数×0.2=耐用年数(1年未満切捨)


税法には、中古の耐用年数とすることが『 できる 』と記載してあります。つまり、中古の耐用年数を使用するかしないかは、納税者の任意であり、後から更正の請求ができないものになります。

このように確定申告の時点で適用しないと訂正ができないものがあります。「 後から直せるからいいや 」とならないものになりますので、気をつけてください。
無料会員登録

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

アクセスランキング

  • 今日
  • 週間
  • 月間

プロフィール

渡邊浩滋さん

渡邊浩滋さんわたなべこうじ

不動産投資家
Knees bee税理士法人 代表

プロフィールの詳細を見る

経歴
  • □大学在学中に司法書士試験に合格

    □大学卒業後総合商社に入社。法務部にて契約管理、担保管理、債権回収などを担当

    □商社を退職後、税理士試験に合格

    その頃、実家のアパート経営(5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚。 経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出する

    □2011年
    「行動する大家さんの会」を設立

    □資産税専門の税理士法人に勤務した後、2011年12月、独立開業

    □2013年
    「一般社団法人 大家さんの道しるべ」代表理事就任

    □2017年
    日本全国の大家さんを救うべく、フランチャイズ展開を開始(同じ志を持つ仲間を求めている)

    □2022年10月法人化
    税理士の視点と大家の視点からアパート経営を支援するために活動し、税理士・司法書士のワンストップサービスを提供している

    資格専門学校の講師、賃貸住宅フェアでの講演、セミナー講師等、幅広い分野で活躍中

閉じる

ページの
トップへ