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節税保険が封じ込めに!本末転倒な節税で損をする人たち

渡邊浩滋さん_画像 第54話

1.保険料の経費計上の取り扱いの改正

今年に入ってから保険業界で騒がれていた、節税保険に関する経費の取り扱いについての新たな通達が発表されました。

その背景としては、ある保険会社が、契約当初は解約返戻金が少なく、一定期間になると解約返戻金が、支払った保険総額の80%程度戻ってくるという保険を開発。その保険の売れ行きが好調で、他の保険会社も追随した保険を販売したことがあります。

そして、「 行き過ぎた節税保険を規制する 」と、年初に国税庁が発表していました。これを受けて各保険会社は、2月14日から順次、節税保険商品の販売を売り止めしていました。

令和元年7月8日以後に契約する保険のうち、解約返戻率が最高50%超となる保険についての取り扱いが下記の表のようになります。( 7月8日前に契約したものについては、従来通りの取り扱いのまま )



例えば、解約返戻率90%の保険(保険加入後10年まで)を契約し、年間100万円の保険料を払った場合に、契約当初に経費となる金額はいくらかを計算してみます。

〇資産計上金額
100万円( 支払保険料 )×90%( 最高解約返戻率 )×90%( 当初10年までの掛け率 )=81万円
〇経費計上金額
100万円( 支払保険料 )−81万円( 資産計上金額 )=19万円

100万円支払って、経費になるのは19万円。大部分が経費にならなくなってしまったのです。

2.大家さんへの影響

私自身、もともと節税保険というものを勧めていません。そもそも、保険を使った節税は、節税のカテゴリーでいうと『 繰り延べ 』に該当します。( 繰り延べについては、以下のコラムを参照ください )

〇第26話:本当に節税になってる?税金の繰り延べを理解しよう。

つまり、保険料を払ったときは経費として税金が安くなりますが、解約返戻金が戻ったときは収入として税金がかかることになります。税金がかかるタイミングを先送りにしているという効果です。

一般の事業者であれば、来年の売上が減るかもしれません。もし売り上げが一気に下がってしまったらという思いで、売上が好調のときに保険に入っておこうという気持ちは理解できます。

しかし、大家さんの場合、( 物件の変動がなければ )売り上げが毎年大きく変動することはないでしょう。なぜなら、100万円の税金を減らしても、後々100万円の税金を払うことになるからです。

しかも、仮に全額保険料が経費になったとしても、税率を約30%とするなら、100万円の税金を減らすために、300万円くらいが保険料として出ていきます。一般の事業者と比較すると、お金を使ってまでやるメリットがないように感じます。

もちろん、これが絶対にダメということではなく、きちんと設計しないと意味のない対策になってしまいますよ、ということです。
例えば、税金をコントロールするという意味では、使い勝手がよいものだと思います。売り上げが高くなった年に節税保険で税金を抑え、売り上げが下がった年に保険を解約することで補填ができます。

また、保険が全く意味がないとは言いません。きちんと目的をもって加入するなら、是非活用したいところです。

〇自分に万一があったときに備える
〇将来の大規模修繕のためにお金を積み立てる


つまり、保険に加入する目的をしっかりと持つべきということです。節税が目的になって、本末転倒になってはいけません。

3.節税を目的にして損をしていないか

というのも、節税が目的になってしまっている大家さんをよく見かけるのです。先日、相談があった事例で紹介します。


《 相談内容 》
自宅の隣の古屋付きの土地を購入した。古屋が相当ボロボロなので、取り壊した。このまま駐車場として貸してもいいのだけれど、土地の固定資産税が跳ね上がってしまう( ※ )。

( ※ )住宅用の敷地の場合、200uまで固定資産税評価額を1/6( 都市計画税は1/3 )にする特例があります。
200uを超えて住宅の床面積の10倍までの部分の面積までは1/3( 都市計画税は2/3 )。

相談者:「 200〜300万円くらいのほったて小屋を作って資材置き場にしていた場合、固定資産税は安くなるか? 」

私:「 住宅用の家屋でないと、軽減の適用がありません。住宅用は、主に住宅として使用できればよいため、自分で使用しなくても、他人が住宅として使用していれば、軽減の対象になります。資材置き場では、住宅用といえない可能性があります 」

相談者:「 では、自宅の離れとして、納戸として利用するのはどうか? 」

私:「 自宅と一体として利用しているということが認められれば、軽減の対象になる可能性があります。しかし、納戸を作るために200万円〜300万円使うのですか? 駐車場にして、収益上げて、固定資産税を払った方がよいのではないでしょうか? 」

相談者:「 うーん、子供が来年、家を出ていくと言っている。そこに住まわせるのはどうか。10年くらいで回収できそう 」

私:「 ほったて小屋のような場所に子供住まわせるのですか?しかも、10年も住むなんて現実的ではないのはないでしょうか? 変なもの建ててしまって、解体費のことは考えていますか? それよりも、駐車場にして、収益上げて、固定資産税を払った方がよいのではないでしょうか? 」

以下繰り返し・・・


意外にこのような方が多いのです。節税が目的となっていて、実際の損得が目にいかなくなってしまっているような気がします。

節税は、お金を多く残すための手段です。節税が目的としてしまうと結果的に損をすることがあるので、気を付けて欲しいと思います。

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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 渡邊浩滋(わたなべこうじ)さん

渡辺税理士

税理士・司法書士・大家
渡邊浩滋総合事務所代表

サイト「大家さんの知恵袋」

■ 経歴

大学在学中に司法書士試験に合格

大学卒業後総合商社に入社。法務部にて契約管理、担保管理、債権回収などを担当

商社を退職後、税理士試験に合格
その頃、実家のアパート経営(5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚。 経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出する

資産税専門の税理士法人に勤務した後、2011年12月、独立開業

税理士の視点と大家の視点からアパート経営を支援するために活動し、税理士・司法書士のワンストップサービスを提供している

2011年、「行動する大家さんの会」を設立

2013年、「一般社団法人 大家さんの道しるべ」代表理事就任

資格専門学校の講師、賃貸住宅フェアでの講演、セミナー講師等、幅広い分野で活躍中

2017年からは日本全国の大家さんを救うべく、フランチャイズ展開を開始。
同じ志を持つ税理士を求めている。

■ 主な著書


大家さん税理士による 大家さんのための節税の教科書(ぱる出版)


大家さんのための超簡単!青色申告(クリエイティブ ワークステーション)


「税理士」不要時代(経営者新書)


税理士大家さん流 キャッシュが激増する無敵の経営 (ぱる出版)

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