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法人化を無条件にオススメしない理由〜アメリカ税制から学ぶ節税の本質〜

渡邊浩滋さん_画像 第56話

これまで、不動産の買い方について、個人か法人、どちらがいいかを尋ねられた時、ある程度年収のある方には、「 法人の方がよい 」とお伝えしていました。

しかし、最近は「 不動産投資で稼いだお金をどうしたいのか 」を質問して、その答えによって、法人がよいのか、個人がよいのかをアドバイスするようにしています。

1.法人のお金を個人で自由に使えるようにするのは難しい?

法人化のメリットとして、法人税の実効税率が低いことから、低い税率を使えるということと、役員給与を支払うことで、所得分散が図れて、さらに低い税率を使えるということがあります。

しかし、法人で稼いだお金は、法人でしか使えません。法人の事業経費には使えますが、個人のプライベートの支出を法人が負担すると、役員賞与と認定されて、法人の経費にならず、個人に税金が課税される可能性があります。

法人のお金を個人で自由に使えるようにする方法としては、4つ挙げられます。

@法人から個人( 役員 )へ給与を支払う
A法人から個人( 株主 )へ配当を支払う
B法人から個人( 貸主 )へ家賃や利息を支払う
C法人から個人( 役員 )へ退職金を支払う

@の場合、ネックになるのは、社会保険です。1人会社であっても、給与が支給されているのであれば、社会保険に加入しなければなりません。

社会保険の負担は給与支給額の約30%( 個人15%、法人15%の折半 )です。給与支給による所得分散を図っても、社会保険による負担の方が大きくなって節税のメリットがでないことはよくあります。

ですから、「 法人から給与は出さなくてもよい。それよりも、物件を買い進めていきたい 」という方には、法人による物件取得をオススメしています。

しかし、「 法人から給与をもらって、個人的な支出に使いたい 」という希望があれば、法人ではなく、個人で購入することをすすめることがあります。

Aの場合、二重課税になるのがネックです。配当は法人の経費にはなりません。法人税を払った後の( 税引後 )利益を、配当の対象にします。

つまり、利益に法人税がかかり、税引後の利益から配当し、受け取った個人に対して所得税・住民税がかかることになります。

Bの場合、個人の所得税の税率に気をつける必要があります。個人は所得が高くなればなるほど、段階的に税率が高くなる超過累進税率が適用されます。

個人の税率が高いために、法人で物件を購入しようとしていたのに、個人の所得を増やすことになり、逆の対策をすることになります。

ただし、法人の所得が大きくなりすぎた場合、個人の所得とのバランスを取るために、この方法を取り入れるのは、アリだと思います。

Cの場合、個人に払う時期がネックになります。退職金で支払う場合、退職所得として税金があまりかからないように優遇されています。また退職金には、社会保険もかかりません。

この方法が、一番税負担が少なくなり、節税に向いているのですが、退職金は、勤続年数に応じた支払い以下にしないと、過大退職金として税務署から否認される可能性があります。

退職金支給限度額=月額報酬×勤続年数×功績倍率( 代表者の場合は3程度 )

※月20万円で5年しか勤務していない代表者であれば、20万円×5×3=300万円

もちろん、入社と退社を繰り返して、退職金を多くもらおうとすれば、租税回避となる可能性があります。結局は、ご自身のライフプランに合わせて、@〜Cを組み合わせていくことが一番よいと思います。

・サラリーマンで勤務しているときは、法人から給与を出さず、法人税を払って、法人にお金を貯めて買い進める
・60歳にサラリーマンを定年後に、法人から給与の支給を受ける
・75歳で子供に経営をバトンタッチするときに退職金でもらうなど

等のやり方が考えられます。法人の設計と同時に人生設計を組み合わせて、戦略を立てる必要があるのです。

2.アメリカでの節税法

アメリカではどうなのでしょうか?

一般的に、Cコーポレーション、Sコーポレーション、LLCの種類があります。このうち、Cコーポレーションは、日本の株式会社などと同じ法人税課税になります。SコーポレーションとLLCは、パススルー課税になっています。

パススルー課税とは、法人には課税されず、出資者に直接課税される制度をいいます。一度法人税で課税して、配当に対して個人に課税するという二重課税がないことがメリットになります。

このパススルー課税を使えば、所得分散ができ、低い税率を適用することが可能になります。しかも、社会保険の負担がありません。アメリカでは、この仕組みを上手く使って、税務戦略がさかんに行われています。

3.日本でのパススルー課税は?

日本でパススルー課税が適用できるのは、LLP( 有限責任事業組合 )があります。LLPには課税されず( パススルー )、出資者である組合員に直接課税されます。

有限責任事業組合は、民法組合の特例であり、法人格はありません。ですから、LLPが不動産の登記名義人になることはできず、組合員の共有名義として登記されます。

日本ではまだまだLLPの認知度が高くなく、活用法も少なく、LLPに対して金融機関が融資してくれるかどうかがネックになるところになります。

「 法人を使って節税をしたい。でも、個人でお金を自由に使いたい 」。

そんな要望を満たしたいのであれば、LLPを上手く使うことしかないのではないか。アメリカ税制に触れてみて、そう感じました。

【 監修書籍のお知らせ 】

金持ち父さん貧乏父さんのロバート・キヨサキ氏のパートナー公認会計士トム・ホイールライト氏の書籍『 資産はタックスフリーで作る 』の編集協力と解説を書かせて頂きました。筑摩書房より10月30日発売です。



アメリカの税制を中心にどのように節税を考えるのかを具体的に解説した本になります。CコーポレーションやLLCを使った税務戦略の考え方も書かれています。

「 どれだけ所有しているかではなく、どれだけコントロールできるか 」

まさに節税の本質が書かれた本です。巻末に私が日本の税制との違いを解説させて頂いております。是非、読んでみてくださいね。

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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 渡邊浩滋(わたなべこうじ)さん

渡辺税理士

税理士・司法書士・大家
渡邊浩滋総合事務所代表

サイト「大家さんの知恵袋」

■ 経歴

大学在学中に司法書士試験に合格

大学卒業後総合商社に入社。法務部にて契約管理、担保管理、債権回収などを担当

商社を退職後、税理士試験に合格
その頃、実家のアパート経営(5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚。 経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出する

資産税専門の税理士法人に勤務した後、2011年12月、独立開業

税理士の視点と大家の視点からアパート経営を支援するために活動し、税理士・司法書士のワンストップサービスを提供している

2011年、「行動する大家さんの会」を設立

2013年、「一般社団法人 大家さんの道しるべ」代表理事就任

資格専門学校の講師、賃貸住宅フェアでの講演、セミナー講師等、幅広い分野で活躍中

2017年からは日本全国の大家さんを救うべく、フランチャイズ展開を開始。
同じ志を持つ税理士を求めている。

■ 主な著書


大家さん税理士による 大家さんのための節税の教科書(ぱる出版)


大家さんのための超簡単!青色申告(クリエイティブ ワークステーション)


「税理士」不要時代(経営者新書)

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