1.自宅を購入することについて
『 金持ち父さん 貧乏父さん 』のなかでは、「 自宅は収益を生まない負債 」とされています。べつに、「 賃貸併用住宅は収益を生むからよい 」といいたいわけではありません( 笑 )。その経緯を以下に紹介します。
もともと持ち家に住んでいました。一人目の子どもが生まれてすぐに買ったマンションなのですが、これが60uの狭い間取りだったのです。今は子どもが3人いるので、この狭さに耐えられなかったというのが新築を建てるにいたった本音です。
しかし、「 子どもの小学校の学区は変えたくない 」という家族の要望から、近所で探していました。地域的に賃貸物件で80u以上の物件というのは出ておらず、最初から新築を考えていました。
ところが、1年以上土地探しをしてもなかなか見つかりません…。あきらめかけたときに、同じ学区内で駅近という立地的にはベストな土地が売りに出ました。
2.土地購入の交渉
しかし、値段が高い。というのも土地の面積が広かったのです。都内の一般的な戸建て用地の1.3〜1.5倍くらいあります。豪華な自宅建てても、借り入れが増えるだけだし、どうしよう…。
考えた結果、「 そうだ!賃貸併用住宅を建てよう! 」となりました。
そうと決まっても、何とか土地の値段を下げて欲しい気持ちは同じです。交渉できないかと考えました。仲介会社さんに相談したところ、「 売り主さんは売り急いでないので、交渉は難しいですよ 」という回答。
しかし、「 難しい 」と言われるとやってみたくなる性分です。現状の問い合わせの状況をきくと、「 社宅を建てたい 」という企業から1件あったとのこと。このエリアではレアな売り土地にもかかわらず、意外に多くありません。
たぶん、立地は良いものの、土地面積が中途半端なためだろうと推測しました。自宅を建てるには広すぎて、アパート・マンションを建てるには狭すぎる広さということです。
「 この土地は私のような賃貸併用住宅を建てる人しか、買わないのではないか? それなら競争相手はいないだろう 」と判断し、私は売値から200万円を引いた金額で指値を入れました。
すると、結果は、OK! すんなり通りました。誰がこの土地の購入者になりうるかを考えたのがよかったのです。
3.融資の交渉
次に融資の交渉です。お付き合いのある金融機関で条件を出してもらいました。条件のよい2行に絞り、「 あっちの銀行ではこれくらいで融資出してくれると言ってくれました。それよりも条件悪かったら借りません 」と双方に言う戦略をとりました。
その結果、「 期間35年で金利1%未満、保証料・手数料なし 」で借りることができました。賃貸部分も含めて、です。住宅ローン控除の上限が4,000万円なので借り入れを私と妻とで分けてもらい、二人とも住宅ローン控除が適用できるようにしてもらいました。
4.差別化戦略
賃貸併用住宅は通常、自宅がメインとなるため、賃貸部分は手薄になりがちです。しかし、しっかりと差別化をしなければ入居はいずれ厳しくなると思いました。
今回の物件の賃貸部分は2部屋あるのですが、広いロフトがあるので「 2人入居可 」にすれば一定の差別化はできそうです。しかし、まだ足りない。圧倒的に差別化できる何かが欲しい!
そんな時、前にセミナーでご一緒させていただいた島根県の出雲土建株式会社さんを思い出しました。出雲土建さんは「 炭八 」という木炭を製造・販売しています。炭八を部屋に置くだけで、除湿や消臭の効果があるということで、通販でバカ売れしているそうです。
それだけでなく、その炭八を使った「 炭八マンション 」を展開されているのです。天井や床下に炭を敷き詰めることによって、除湿だけでなく、シックハウス対策や断熱、防音の効果があるといいます。

大学とも共同研究しているとのこと。私も実際に、炭がある部屋とない部屋の両方に入らせてもらいましたが、空気が全然違うことを実感できました。そこで、私から社長にお願いして炭八を直接支給してもらい、「 炭八入りの賃貸併用住宅 」を建てることにしました。
5.賃貸併用住宅の心得
もともと、子供が3人になって家が手狭になったのが家を建てる理由です。賃貸部分は2室だけになりました。家賃収入でローンを賄えるわけではありませんが、ローンの足しにはなります。
ただ、私は賃貸併用住宅のキャシュフローはあまり過信するべきではないと思っています。これまで、税理士業のお客様の大家さんで、ハウスメーカーの賃貸併用住宅を建てられている方の数字を多く見てきました。
多くの方が、最初は潤沢にキャッシュフローが回るのですが、ローンが半分を過ぎた頃から、キャッシュフローが苦しくなってきます。なぜなら、賃貸併用住宅の場合、減価償却、利息、固定資産税など経費になるものが、賃貸部分だけになるからです。
減価償却が年間300万円と計算されても、賃貸部分が建物全体の40%であれば、経費となるのは「 300万円×40%=120万円 」のみ。利息や固定資産税の経費も同様です。
しかし、借り入れの元本返済は自宅部分も含めてしなければなりません。つまり、デッドクロス(※)になりやすいのです。
(※)デッドクロスとは、年間の減価償却費と年間の元本返済額を比べて、元本返済額の金額が大きくなる時期をいいます。この時期から税金が高くなるため、キャッシュフローが悪くなります。
自宅部分の返済を賃料収入でカバーできると期待しすぎると、後々苦労する可能性が高いということです。ですので、自宅部分のローンを少し補填してもらっている程度に考えて経営するくらいがよいと考えています。
まとめると、きちんと事業計画を立てましょうということです。そこをしっかりできれば、賃貸併用住宅はよい選択だと思います。我が家の賃貸併用住宅生活は始まったばかりですが、うまく活用していきたいと考えています。
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